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    あれやこれやのなんやかんや

    多趣味というか関心のあるものが多いので、趣味のことから政治的なことまで書きたいことを書きたいように書いていきます。

    Category: 映画 > 娯楽映画、劇映画、シネコン   Tags: 映画レビュー  映画音響  写真  

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    爆音大友克洋2013 『AKIRA』デジタルリマスター版

    12/7に爆音大友克洋2013というイベントに行って『AKIRA』を観てきました。
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    爆音大友克洋2013とは、爆音映画祭を運営するboidが主催したもので、
    大友克洋さん本人の希望もあり、吉祥寺バウスシアターでの開催が決定したそうです。
    「爆音—これが正しい観賞の仕方です。 大友克洋」
    ということだそうですw。


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    12/7~12/20までやってるので、気になる人はぜひ行ってみて下さい!
    公式HP→http://www.bakuon-bb.net
    ネットでの販売は終了したみたいですが、まだ当日券が残ってる作品は窓口でチケット買えると思います。
    当日券情報ここで見れます→http://www.baustheater.com/joeichu.htm
    35mmフィルム版の『AKIRA』や今年公開された短編集『SHORT PEACE』なども上映されます。
    フィルム版『AKIRA』も貴重なので観たかったんですが、芸能山城組の大ファンでもある自分はやはりリマスターによってハイレゾ音源(192kHz/24bit)の収録が可能になり、それが5.1chにミックスされたBD版『AKIRA』を映画館のスクリーンと音響で、そしてもちろん爆音で観たいということでこっちにしました。

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    1Fのカフェスペースでは「大友克洋×河村康輔×上杉季明 コラージュ&ポスター展」が開催されていて自由に観ることができます。
    しかもなんと写真OKっぽいw! いや、実際のところわかんないんだけどw、注意書きがどこにもなかったし、みんなパシャパシャ撮ってました。
    だから自分も撮りまくりましたw!
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    ばばん!!
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    うひょー!!!!
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    た、たまらん!!!!
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    や、やっばぁぁ!!!!
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    過去作のポスターもあります。
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    そしてこれが今回の為に制作されたオリジナルポスターで、A1のビッグサイズで2000円で販売してます。
    ええ、買っちゃいましたともw。だってこれヤバ杉w。


    それではそろそろ映画の話に参りましょうか。
    自分は爆音映画祭に来るのもバウスシアターに来るのも初めてだったんですが、
    このブログでも書いてる通りIMAXとかHDCS館とか立川シネマTWOとかに行っていて、映画音響好きです。
    なので吉祥寺バウスシアターで爆音大友克洋をやると聞いて少し不安だったんです。
    「行ったことはないけど、バウスってミニシアターでしょ?」って思ってたからです。
    他の都内のミニシアターなどにはよく行ってたので、経験上スクリーンサイズや音響の点で不満が残りそうだなと。
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    でも劇場に入ってこのスピーカーを見て安心しました。
    サラウンドスピーカーもしっかりしたものが設置されてましたし、スクリーンサイズも座席数に対して程よく大きめでした。映画館のHPによると4m×9.4mだそうです。
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    ++++爆音『AKIRA』レビュー++++

    『AKIRA』は第3次世界大戦で新型爆弾によって東京が破壊されるシーンで始まる。
    スクリーンには巨大な爆発とその波動が映し出される。
    しかしその映像に音はリンクしない。音は静かなまま、映像だけが爆発の凄まじさを描き、それが逆に恐ろしく緊張感を高めてくる。
    そして「あんま爆音じゃない?」と気が抜けかけた瞬間。

    「ドゥーーーーーーーーーン!!!!!!!!!」
    !?!?!?!?!?!?!?!?


    揺れる揺れるwww!!会場も、椅子も、体も、心臓も!!

    YES!!!! 爆音!!!! YES!!!!もう大興奮!!
    超爆音じゃん!!
    鳥肌総立ち。おしっこ漏れるかと思った。

    そこからはもう、怒濤の2時間だった。
    ずーっと、にやけっぱなしw

    大友克洋はその世界観の凄まじさとそれを描き出す圧倒的な画力で知られているが、
    アニメーションでもここまでのものが作れるんだな。
    『AKIRA』は初めてじゃないし漫画原作も読んだことはあるけど、そのときはまだ子供だったのであまり内容もスゴさも理解できなかった。
    でもいまならわかる。圧倒される。
    とても25年前の1988年の映画だとは思えない。自分が生まれる前やがなw。
    なにもかもが、クリエイティビティの塊である。

    製作期間3年、制作費10億円を費やして作られたといわれているが、それも納得の神がかった作品だ。

    バイクのテールランプの残像や、躍動するスピード感。
    ネオ東京やスラム街、摩天楼、ぬいぐるみ、アキラ。
    25年経った今もなお先進的であり続けるその神懸かり的な世界観。
    大爆発シーンの巧みかつ芸術的な表現。
    スピード感がものすごいのに恐ろしく細部まで描き込まれているアクションシーン。
    一体どれだけの手間と労力がかかっているのだろうか。想像するだけでため息が出る。

    そして、それに呼応するかのように、もうひとつの天才、山城祥二と芸能山城組の音楽。
    5.1chミックスされた高周波を含むガムランとジェゴクの荘厳な響きは圧巻のひと言。
    さらにギターやシンセの加工された電子音や、芸能山城組の重要な要素である人の声や、世界の古今東西の伝統的歌唱法を取り入れたスケール感と実在感。
    縦横無尽に動き回る「ピロン」「ポロン」「ポロン」「ペロン」。
    力強く、陽気な「ラッセーラー」「ラッセーラー」!!
    涙ものの美しさのレクイエムの合唱「ねむれ アキラ ねむれ」「鉄雄 ねむれ」。

    曲としても変拍子やポリリズム、ペンタトニックや、生音と電子音の巧みな合成、幾重にも積み重ねられたオーバーダブ、録音やミックスに対するノウハウの蓄積と執念が生んだ圧倒的な音場空間やサウンドスケープ(無指向性マイクやダミーヘッドマイクを使ったり、ホール録音をしたり、通常では考えられないほどの手間と技術と機材を使っている)など、こちらも映像に全く劣らない恐ろしいほどの作り込みが伺える。

    最初に書いたように、自分は芸能山城組の大ファンでもある。

    ケチャ祭りに行って、PA席の後ろにいる山城さんにこっそりサインをねだってしまうほどw(写真右下)
    いまも写真左下の「Symphonic Suite AKIRA」を聴きながらこの文章を書いてる。
    そのブックレットには大友さんと山城さんのコメントが寄せられていて、こんなことが書いてある。
    「輪廻交響楽(写真上のCD)を聞いて、これは「アキラ」の音楽としては最も相応しい音楽ではないかという感を強めていました。」(大友さん)
    「もし音楽作りが不可能ならば、「輪廻」の一部分を使わせていただくことをお願いしてみようという思いで、」(大友さん)
    コミックス版AKIRAの大ファンでもあった山城さんは、喜びと同時に困惑し、当初は手に負える仕事ではないと断るつもりだったそうだが、
    この大友さんのラブコールを受けて、
    「「AKIRA」の音楽は、この作品のために監督が選択したアーティストが、この作品のために心血を注いで創り出したものでなければならない、こうなってはもうお断りすることはできない」(山城さん)と。
    こうして、大友克洋と山城祥二という、ビジュアルの天才と音の天才が、お互いの才能に惚れ込み、混じり合うことで、この『AKIRA』は誕生したわけである。

    大友さんが山城さんにお願いしたのは、「”劇伴”としてではなく”山城組の音楽”としての「アキラ」を創って欲しい、それを映画音楽として使う」ということだったそうだ。

    これがどういう意味か、その結果どうなったかは、映画を観た人ならわかるはず。

    ビジュアルも音楽も、どちらかがどちらかに従属することも優劣することもなく、また乖離することもなく、
    同じだけの天才的な鋭さを保ったまま、映画『AKIRA』のなかで共存し、呼応し、化学反応を起こし、互いを高め合っているのだ。


    そして、このBD版『AKIRA』を爆音映画際で観るということにはもうひとつ大きな意味がある。
    実は芸能山城組の山城祥二とはアーティストネームであり、本名は大橋力という著名な研究者でもあるのだ。
    彼の研究は音や民族文化についてのもので、近年盛り上がりを見せているハイレゾ音源の効果を実証した人でもある。すごい人なんやで。
    人間は可聴帯域外の20kHz以上の音は耳では聞こえないとされており、それを元にCDやDVDなどはデジタル化の際にその高周波部分をスッパリとカットしてしまっているのだ。
    しかし、大橋さんの研究で明らかになったことは、人間は高周波成分を体の表面で直接感じ取り、それを脳内で耳から聞こえている音と合成し補完している。という驚くべき事実。
    さらに、人間は高周波を感じとることで基幹脳が刺激を受け活性化し、音をより快く感動的に受容することや、より大きく聴く行動の促進、といった効果が現れるとのこと。
    さらには感覚が鋭敏になって、音だけでなく視覚情報についても快適性や美的感動が高まる可能性があるとのこと。
    その現象を大橋さんはハイパーソニックと名付けた。このネーミングは80年代だけどw
    でも研究はすごく真っ当なもの。英語論文がちゃんとインパクトファクターのある海外の学術雑誌に掲載されたりもしてる。
    自分の専門でもない分野について全く論文も書かず学術活動も一切せずに、自分の本の中でテキトーなデマを垂れ流すだけのような有名な科学者連中とは大違いなのである。
    詳しくはこちらをどうぞ→『AKIRA』ハイパーソニック・ワールドへようこそ

    そもそもハイレゾ音源というのはCDのフォーマットである44.1kHz/16bitを超えるクオリティの音源のことである。(この数字から言わせてもらうと、残念ながらCDの音は時代遅れであると言える。当然AACやMP3などはそこからさらにクオリティが下がることになる。)
    このBD版『AKIRA』に収録されているのは192kHz/24bitのハイレゾ音源である。
    サンプリング周波数がそれだけ高いということは、当然それだけ解像度が高く、より自然な音であるということだ。その点は家庭用の再生装置であっても誰もが比較的簡単に効果を実感できる。

    しかし、ここで問題となるのが、100kHz近い超高周波まで正確に再生できるかどうか。
    もちろん体の表面で感じとるため、ハイパーソニックを体感するにはスピーカーでなければならない。
    家庭用の一般的なプレイヤーやアンプやスピーカーで考えれば、ほとんどの再生装置は厳しいだろうw
    リンク先にはハイパーソニックを体験するための適切な機材なども紹介されてるが、
    個人レベルではなかなかそこまでやるのは難しいだろうw
    スーパートゥイーター足せばいいっつったって、よっぽどオーディオオタクじゃないとそこまでやらないよw

    そこでこの爆音上映だが、使われた機材についての情報がないので確かなことは言えないが、
    少なくとも見た感じ業務用のスピーカーなので、20kHz以上の高周波成分は確実に出ていたはずだ。
    100kHz近くまで出ていたとはさすがにちょっと思えないが、20kH以上の高周波成分はある程度まで出ていたいうことは言えるだろう。
    しかも爆音でwww。

    その結果、『AKIRA』がどう聴こえ、どう映り、どう感じたかは、観た人それぞれの中に答えがあると思う。(ニヤリ)

    滅多にできない、貴重で素晴らしい映画体験をさせてもらった。
    夢のような時間だった。
    ありがとう大友さん。ありがとう山城さん。ありがとうboid。ありがとうバウス。
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    ++++AKIRAの内容と先見性、現実との相関について++++

    『AKIRA』の舞台は第3次世界大戦によって東京が壊滅したあと、東京湾上に新たに構築され見事な復興を果たしたネオ東京だ。
    その見事な復興と近未来ぶりの影では、暴走と暴力に明け暮れる少年たちや、小汚いスラム街、暴動やデモなどが至る所で起きており、ネオ東京の歪みや空虚さを巧みに描き出している。
    西暦は1919年。翌年にオリンピック開催も控えているという状況だ。
    現実にも2020年に東京でのオリンピック開催が決まったことで、『AKIRA』に予言的な何かを感じとったり、現実と重ね合わせる向きも見られる。
    しかし、そんな中身の薄い偶然の一致なんかに頼らなくても、『AKIRA』は製作当初から常に現実と地続きであったし、現実や未来に対して様々な含蓄や示唆に富み、普遍的であり続けていた。
    2020年東京オリンピックという偶然の一致にとらわれてすぎてしまうと、逆にその本質を見落とし、『AKIRA』の普遍性を弱めてしまいかねない。

    ではその普遍性とは何なのか。自分なりの考察を書いていきたい。
    実はつい先日NHKの「ニッポンのジレンマ」で東京オリンピックをテーマに新東京論という議題での討論が行われていた。そしてその直後に「80年代の逆襲」という番組が放送された。
    両者は東京という都市や日本の文化を語る上でとても深く相関していて、ものすごく感銘を受けた。
    そこにどうしても思考が引っ張られてしまうが、なんとか頑張って自分の言葉で書いておきたい。

    戦後から高度経済成長期にかけて、東京は著しく発展した。
    それも、無秩序で、無計画で、無自覚的で、自己増殖的に、ものすごいスピードで。
    無計画に雑居ビルが建ち並び、様々なものがごった返した。
    新宿、原宿、渋谷、秋葉原などは都市ごとに自然発生的に特色を得て発展していった。
    世界中の都市を見ても、これほど無秩序な発展を遂げた都市は東京くらいだろう。

    そしてその様は、ネオ東京のカオスっぷりの中にもはっきりと見て取れる。
    同時に『ブレードランナー』で描かれるアジア的なエッセンスを含む近未来のカオスっぷりなども想起される。
    あの時代の天才たちは、同じような視点と先見性を持って世界を捉えていたのかもしれない。

    そして80年代。テクノやお笑い、漫画、サブカル、オタク、そしてAKIRA。
    非身体性を獲得し、新しいものを追い求め、バブルに湧き、自己増殖のスピードを一層早めた時代。
    そして、バブルが弾け、夢から覚めたのち、中心がなく空虚でから騒ぎだったとまで言われた80年代。

    その中心のなさや空虚さまでも『AKIRA』のネオ東京やそこで生きる人々から、はっきりと読み取ることが出来る。

    そしてその無秩序さはこれまでたびたび否定的に捉えられてきたが、
    それでもなお、その中心のなさや空虚さ、自己増殖的な発展こそが、やはりおもしかったのだし魅力的でもあるのだ、という肯定もまた、すでに『AKIRA』は内包していたと言える。
    いまでこそ、NHKの番組内で「新東京論」だとか「80年代の逆襲」だとかって取り上げられて、明快な分析と肯定的な捉え方が示されているが、それをリアルタイムで作品の中でやってのけてしまっていたというのはものすごいことだと思う。
    つまり『AKIRA』はあの無自覚的な自己増殖の時代にあって、初めから限りなく自覚的であったのだ。
    『AKIRA』は当時の東京の独自性をかなり正確に反映し、現実と地続きにある近未来としてのネオ東京を、しかも大友克洋の壮大で天才的な世界観のもとに再構築してみせたのだ。

    ちなみに自覚的ということなら、80年代を語る上で欠かすことのできないYMOにも同じことが言えるだろう。
    彼らもまたあの無自覚的で混沌とした時代にあって、限りなく自覚的かつ冷静に社会と自己を見つめ、アイデンティティーを確立していたのだ。
    だからこそ普遍性を持ち、いままた、90年代以降に生まれた若者たちの間でも再評価され、世代を超えて愛されているのだ。あの時代のものでいまも残っているものは多かれ少なかれそういう部分を持っているのではないか。

    そして同時に、『AKIRA』はさらに俯瞰的で自覚的な視点も合わせ持っており、「人間社会の行き着く先」や「文明の罠」といったものへの警鐘と問題意識さえも持っている。
    バブルに湧いてものすごいスピードで自己増殖していたあの時代に、この視点を持っていたということはスゴいことだと思う。でも考えてみたらナウシカとかも80年代なんだよね。
    それはあまり珍しくなかったのかな?それともやはり先見性のある天才に共通の視点だったから?
    うーん。生まれる前だからちょっとそこまでわかんないな。
    ちなみに芸能山城組もまた、結成当初から「人類本来のライフスタイルを模索し検証しようとする実験集団であり、文明批判の一拠点」であるというコンセプトを持っている。
    だからこそ大友克洋と芸能山城組が互いに引き寄せられたというのは、必然であったのかもしれない。


    ともかくも、物語の核となる「アキラ」の存在こそがその文明への警鐘を象徴している。
    「アキラ」とは、
    全ての人間の中にあるようなエネルギー。
    生命体やあるいは宇宙が持っているようなエネルギー。
    自然発生的、無自覚的に発現するエネルギー。
    人の手に負えないほどの巨大なエネルギー。
    (うーん。こういうこと書いてるとどうしても原発とダブるなw しかもアキラは科学者達がその謎を解明できずに後世に託すために冷凍カプセルに入れて封印したって、これまんま放射性廃棄物じゃんw)

    そしてそのエネルギーが実際に無自覚的な人間の手に渡ってしまった結果の、暴走、破壊。
    人間はそれをさらなる破壊(衛生からのSOL)によって押さえ込もうとするが、
    それは、鉄雄のさらなる破壊によって阻まれ、破壊が破壊を呼ぶ絶望的な状況に陥り、
    最後には鉄雄にさえもコントロール不能になって、全てに破滅が訪れる。
    それは人間の業とも、無限の欲望の帰結とも取れるし、
    それはもはや宇宙の遺伝子に組み込まれた繰り返す必然であるというようにすらも感じとれる。(「アキラ」について説明するケイの言葉などから)
    しかし、『AKIRA』ではそれは「懸念」であり「警鐘」ではあるが、決して「絶望」ではない。
    むしろ未来への「希望」あるいは「願い」として描かれている。

    では、それをどのように描いているか。
    ここが『AKIRA』の真にものすごい部分である。

    それらの全てを『AKIRA』では、金田と鉄雄の、複雑で愛憎渦巻きながらも、とても深い友情を描くことによって表現しているのだ。
    壮絶な殺し合いを続けていた二人だが、最後に鉄雄は金田に助けを求め、金田は鉄雄を命がけで救おうとする。
    鉄雄には金田に対するコンプレックスの前に、金田に対する憧れや友情がはっきりとあるということは、あの回想シーンが雄弁に物語っている。
    金田と鉄雄のこの複雑な関係性を物語の中であそこまで巧みに描き出すだけでもすごいことだと思うが、そこにある友情や想いなどの、人間にとっての普遍性や人間の危うさ、といったものをフィルターとして通すことで、『AKIRA』はもっと俯瞰的で自覚的な上記のような主張を、我々人間に対してとても強く深く、より直接的に訴えかけてくるのだ。

    そしてラストシーンでは、制御不能になった「アキラ」の力によって再び繰り返されてしまった壮絶な破壊と破滅の中から、
    タカシ、マサル、キヨコとそしてアキラが、自覚的に「アキラ」の力を使うことで、自分たちが犠牲になりながらも金田たった一人を救い出してみせる。
    キヨコの「未来は一方向にだけ進んでいるわけじゃないわ。私たちにも選べる未来があるはずよ。」という言葉が、頭の中でリフレインする。

    「もう始まっているわ」というキヨコの言葉が、また繰り返す破滅を想起させるが、
    これを経験した、ケイと金田の成長や二人の関係、鉄雄の最後の想いなどが、一筋の「希望」を期待させる。


    この作品を、いまこの時代に、爆音で体験することで、
    そこになにを見いだし、なにを想い、なにを受け取るか。

    作品全体が放つ芸術としての圧倒的な幸福感とともに、
    まだ、自分たちにも選べる未来があるはずだと信じて、一筋の「希望」を受け取りたい。

    DSC_0472
    右のポスターには、「我々は今、AKIRAの世紀にいる・・・」と。


    (P.S.)芸能山城組の音楽や音のスゴさについてはコチラの記事の一番下でも書いてます→音が良いCD、音楽が良いCD

        

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    テーマ : 映画館で観た映画    ジャンル : 映画

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    『マン・オブ・スティール』IMAX 3D版 @成田HUMAX

    DSC_0181
    『マン・オブ・スティール』のIMAX3D版を成田HUMAXで観てきました!
    どこで観ようか迷ったんですが、ザック・スナイダーが監督でノーランが製作なら、ビジュアル的におもしろいものになってそうだし、IMAX3D版があるならやっぱりそれが一番かなぁということでIMAX3D版を観てきました。
    成田は何度も行ってるしこのブログでも紹介してるので、他のとこで観ようかとも思ったんですが、
    木場はだいぶスクリーン小さいし、としまえんは遠いしスクリーンもやっぱり成田より小さいみたいだし、しかも自分にとっては成田が一番近いんですよねw。
    ということでまた成田のレポートですw。
    でも今回は目玉のおやじカメラ(一眼レフのこと)を持って行ったので、写真をふんだんに使ってより詳細にレポートしたいと思います!
    あといちいち「IMAXデジタル」と書くのはめんどうなので普通にIMAXと書いていきます。
    日本でIMAXフィルムはもう観れないですもんね。
    DSC_0178
    どーん!!
    IMAX!!  ®!!(小声)
    DSC_0149
    IMAX!! あいまーっくす!! みぎやじるし!!
    ®!◯アール!!まるあぁぁぁーるっ!!(小声)


    DSC_0152
    IMAX!!みぎからのうえやじるし!! あお!! 
    まぁるあぁぁぁぁるっ!!(小声)
    ここが1~8の通常のスクリーンの入り口です。
    IMAXの入り口は別で、奥にあります。というか別の建物なんですね。
    日本のIMAXは通常のスクリーンを後からIMAXデジタル規格に改造したりしていてスクリーンが小さかったり座席の傾斜が適切ではなかったりしますが、ここ成田HUMAXは設計段階からIMAXデジタル規格で作られているので、本館とは別の建物を丸ごひとつ使っていて、スクリーンも大きく座席の傾斜もいい感じなのです。
    DSC_0155
    IMAX!!IMAX!!IMAX!! 
    まぁるあぁぁぁぁぁぁぁるぅぅぅぅぅ!!!!
    ここがIMAXスクリーンの入り口になります。
    プレミアム感があっていいですね。
    DSC_0170
    IMAX!!いや、もはや愛マックス!!!!
    まるあ〜るも当然あ〜る!!(小声)

    このスクリーン入り口の横のロゴが一番気合い入ってますねw
    いちいち商標®が入ってるのがさっきから気になってしょうがないですがwww
    カナダのIMAX本社はこうやって儲けてるわけかw

    中には広々としたきれいなロビーがあります。
    DSC_0173
    プレミアム空間です。あんまり人が座ってるとこ見たこと無いけどw
    DSC_0172
    ロビーには大型テレビが設置されてて、これから公開されるIMAX作品などの予告が流されてます。
    DSC_0157
    『マン・オブ・スティール』一色だ!!
    DSC_0158
    ではいよいよ中に入って行きたいと思います。
    アイマーックス!!とうっ!!みぎうえにマルあーる!!(小声)
    DSC_0160
    左から入ると思ったか!!バカめ!!上の写真はフェイントだ!!
    おれはスクリーンには右から入る派だ!!
    そんなことより見て下さい!少しずつ見えてきたこの巨大スクリーンを!
    初めて来たときは「デカっ!」ってなって吹き出しそうになりましたw
    それでは見て頂きましょうその全容を!
    DSC_0161
    どーん!!これがIMAXだ!!いやIMAXデジタルだ(笑)!!
    これは自分が座ったJ-22の座席(プレミアムスカイシートのすぐ後ろの列)に座って撮った写真です。レンズの一番広角側18mmで撮ってるので、実際の視野もだいたいこんな感じですかね。
    DSC_0163
    J列はプレミアムスカイシートの後ろの鉄の柵が、少し視界を邪魔します。もちろんスクリーンとは被りませんが、普通の座席の背もたれよりは高い位置にあるので気になる人には気になりますね。
    まぁプレミアムスカイシートに座ったときでも前の柵は少し気になりましたけどね。
    DSC_0164
    ちなみにプレミアムスカイシートはこんな感じです。広々としてますし、リクライニングもできます。
    前後の柵はいらない気がしますが。目線の高さ的にはやはりここが見やすいですね。
    ただし通常の席より300円程高いです。
    あとは視野を全部スクリーンで埋めたい願望がある人なら、プレミアムスカイシートの一列前の列がオススメです。真ん中の通路を挟んだ前のブロックです。ただし、それ以上前に行くと映画を見ながら字幕を追うのがかなりしんどくなると思われるので個人的にはあまりお勧めしません。
    かぶりつき派の人は前に行きたがりますが、2列目とか3列目とかは「死にたいのかな?」って思われるレベルなのでオススメしませんw
    逆に後ろの方に登っていくと今度はかなり見下ろす感じになりますし、スクリーンとの距離を感じるようになるので、あまり後ろすぎるのも個人的にはオススメしません。なんのためにIMAXに来たの?って話にもなるのでw。
    まぁあとは好みの問題ですね。
    DSC_0169
    これが一番後ろの通路から撮った写真です。焦点距離18mmです。
    やっぱでかいですね。スクリーンサイズに関してはそこまで詳しくないですが、高さが10mを超えるスクリーンっていうのは日本では希少なのではないでしょうか。
    DSC_0165
    これが巨大リアスピ—カーです。後ろの壁の左右に設置されてます。
    音響に関しては何度かこのブログでも書いてますが、爆音だし低音ブルブルいって迫力あるし、普通の映画館よりは格段にいいです。ただ、立川シネマツーの「KICリアルサウンド」や幕張シネプレックスのHDCS館と比べちゃうとだいぶ雑な音ですかね。

    ++++映画のレビュー(ネタバレあり)++++
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    『マン・オブ・スティール』の感想については、もう疲れたしw、娯楽映画ですし、そんなに書くことはないです。
    ただやっぱり映像はスゴかったですね。さすが『300』のザック・スナイダーです。
    ハイスピードアクションが売りだということで期待してたんですが、バトルシーンなどは映画史上最速の映像表現だったんじゃないかなと思います。
    ただ、いくつかのシーンで「これは何年かしたら”うわ〜古いな〜”とか思われるんじゃないか」っていうシーンはありましたね。ハイスピードを表現するにあたって、上手いことカメラを動かしたりフォーカスシフトを使ったりしてスピード感をかっこよく演出していてさすがだったんですが、「ここ速いの背景だけやんw」ってシーンもいくつかありましたね。
    とはいえ、現時点では世界最高最速の素晴らしいCG映像です。日本では作れませんね。

    『マン・オブ・スティール』を一言で表すならまさに「ドラゴンボール実写版」ですw
    拾われて、地球育ちで、実は宇宙人で、超人的な強さを持っていて、地球を守るヒーローで、オッス!オラ、ケント!
    特に終盤のハイスピードバトルシーンはドラゴンボールみたいでわくわくしましたね。
    殴られて吹っ飛んでビル突き抜けてw
    衝突の衝撃派が円形に広がって地面をえぐってたのは、セル編の悟飯とセルのかめはめ波の衝突を思い出しました。
    もう攻防が早過ぎて目で追えないんですよw そしてIMAX3Dも追えてないんですよwww
    スピードが早過ぎて映像がついていけてない感じがしました。IMAX3Dは左目用と右目用の映像をそれぞれ映してそれをフィルターを通して立体視する仕組みなので、だいぶ映像があやふやでわけがわからんシーンがいくつもありましたね。
    まぁ、ハイスピードで空中戦を繰り広げる悟空とセルを観戦してたクリリンはこんな気持ちだったのかなぁというのが味わえましたw

    ノーラン製作ということで人物描写もあり、ストーリー性もありました。
    ハンス・ジマーも安定の重低音ですw。エンドロールの曲も良かったですね。
    まぁツッコミどころはいくらでもありますがw そこも含めて楽しめました。

    「これは"S"じゃない。クリプトンでは”希望”を意味する印なんだ。」←これはさすがに無理があるwww 笑ったw
    ちなみに映画見ながら松本人志の話を思い出しましたw
    スーパーマンについての視聴者からの質問に、
    「あれ真逆ですね。ドMですね。バレへんように、逆にSって書いてるだけですね。」って言ってたんですw
    何度もぶっ飛ばされながらも立ち上がる姿を見てたら、あながち間違いじゃないなとw
    とか思ってたらこんな動画もあったw 松っちゃん逆のこと言ってるw どっちだよ!

    おそらく2:16からのアクシデントはスーパーマンの仕業ですね。
    それにしてもダウンタウンおもろいな〜。

    あとビル壊し過ぎw 悟空だってその辺のことはちゃんと考えてたのにw
    あれだけ破壊しまくって人も巻き添えにしまくったあとで人間ひとり人質に取られても説得力がwww
    これはきっと、
    鳥山さんは「ビル書くのがめんどくさかったから」だけど、
    ザックは「ビル破壊シーンがたくさんある方が迫力あるしスピード表現もしやすい」ということなのかなとw

    ...なんだこれw 自分で読んでて思うけど、もうレビューでもなんでもねぇなw
    ということで『マン・オブ・スティール』は楽しんで見ましょう!以上!
    DSC_0174
    ちなみにこんなキャンペーンをやってました。
    毎日一人にグッズが当たるということで、何時の回のどこの座席に座るかで一日に一人だけ当たりが出るそうです。
    ふ〜ん。独自でこういうキャンペーンをやってくれるのは楽しくていいですね。

    DSC_0244
    当たっちゃいました(爆笑)
    ピンバッチです。ドSなのかドMなのかどっちを意味するのかはわからないままですが。
    いや、違うか、「希望」の印です!(キリッ)

    あと見終わるまで『マン・オブ・スティール』のスティールのことを「steal」だと思ってましたwww
    「盗む男」なの?バットマンの映画に『ダークナイト』とか洒落たネーミングをしたノーランが製作だから、なんか深い意味があるのかな〜?あとで調べてみよ〜とか思ってたら、
    「steel」でした。「鋼の男」です。そのまんまです。恥ずかしw。

    いやいや、だってさ「steel」ならカタカナで「スチール」のはずじゃんか!!
    『マン・オブ・スチール』じゃんか!!違うの!?

    だってさだってさ、プラスチックはカタカナで「プラッチック」じゃんか!!
    『マン・オブ・プラッチック』じゃんか!!違うの!? 違うね!!

    もうええわ!! ありがとうございました〜。

    テーマ : 映画館で観た映画    ジャンル : 映画

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    『終戦のエンペラー』@立川シネマシティ

    今日は前回の記事『風立ちぬ』@立川シネマツーに続いて、
    立川シネマシティで観た『終戦のエンペラー』について書いていきます。

    都内初のシネコンで、都内初のTHX認定館を持つという歴史ある立川シネマシティ。
    シネマ・ツーとは違う建物ですが、徒歩数分の距離です。



    チケット売り場は一階の外に面した場所に! 掲示板なども歴史を感じる作りとなっています。

    下に貼ったリンクを見てもらうとわかるんですが、シネマシティはf~K studioの全6スクリーン全てで、作りや構造・音響設備などが異なっています。
    シネマシティ シアター紹介
    有名なのは都内初のTHX認定館で、いまだにTHX認定館の中でもかなりの高評価を得ているg studioですね。使用スピーカーはJBLです。
    もう一つ特徴的なのが一番小さいj studioで、ここもJBLのスピーカーを使用していて音響設備も「JBLサウンド」というものになっています。どんな音がするのかいつか行ってみたいですね。まぁなんとなく予想はつきますがw
    他のスクリーンは全て「KICリアルサウンド アナログ」という独自の音響規格です。スピーカーはMeyer社製です。
    昔は違う音響設備だったそうですがシネマツーの「KICリアルサウンド」ができてから「KICリアルサウンド アナログ」というものに変わったようですね。

    KICリアルサウンドアナログのプレート。
    自分が今回行ってきたのは「k studio」です。
    音を聴いてみたいのは断然g studioやf studioなんですが、見たい映画がやってなかったんですw。
    見たくもない映画を音響の為だけに見る程のマニアではないw。あくまで映画がメインです。


    k studioの内装です(写真がウンコでごめんなさい)
    小さめのスクリーンに、背もたれが木製の椅子(ちゃんとクッションは貼り付いてます)が横長に並んでいます。

    ++++音について++++

    一言で言えば「KICリアルサウンド アナログ」な音ですw
    迫力や重低音はなく音量も抑えめです。
    しかし、鳥の鳴き声などの細かい音の解像度や定位は非常に優れています。
    繊細な表現力があり、明瞭でありながらも「アナログ」という名にふさわしい角の取れた優しい音です。
    セリフも自然で聞き取りやすいです。

    これは明らかに客層や上映する映画に合わせた音響であり、
    シネマツーの「KICリアルサウンド」以上に特殊で個性的な音響であると思います。
    シネマシティーで上映している映画は、アニメや特撮モノだったり、邦画だったり、洋画でもややマイナーだったりB級映画だったりで、
    それを見に来る客層も、子供だったり年配の方が多いため、こういう音響にたどり着いたんだと思います。
    自分も『終戦のエンペラー』を見たとき、周りはジジイとばばあご年配の方ばかりでした。

    通常の映画音響とはだいぶ異なるので、ド迫力な爆音や重低音が好きな人は注意が必要かなと思います。
    見る映画によってもだいぶ違うと思いますね。
    そういう意味では今回見た『終戦のエンペラー』はこの音響に合っていたと思います。
    戦後の日本が舞台なのですが、爆音のシーンや重低音のシーンはほとんど無く、そのかわり非常に日本的な空気感や静けさのある映画で、音楽も含めて「KICリアルサウンド アナログ」にはマッチしていたと思います。

    ++++映像について++++

    前回の記事でも書きましたが、シネマツーのa studioに続き、このシネマシティのk studioでも予告編で「Sony Digital Cinema 4K」のトレーラーが流れて驚きました。
    しかもトレーラーだからサラウンドの音響が素晴らしかったw
    ただ『終戦のエンペラー』はIMDb(世界最大の映画情報サイト)で確認したところ、35mmフィルムで撮影してるのにデジタル処理は2Kだったので残念でした。
    これからは4K配給のある作品ならシネマシティやシネマツーで見たいですね。


    ++++映画について(ネタバレあり)++++

    実はせっかく立川まで来たんだからせめて2本は見たいということで『風立ちぬ』のついでに見たんですがw
    あまり期待してなかったおかげか、割と楽しめました。
    「どーせまた日本がおかしな描き方されるんだろうな」と思ってたんですが、
    アメリカが作った映画とは思えない程に違和感なく見れました。そりゃ多少は違和感ありますがw。
    というのも企画・プロデューサーを『ラストサムライ』などのキャスティングディレクターを務めてきた奈良橋陽子さんが務めたそうで、更に共同プロデューサーとしてゲイリー・フォスターと共に奈良橋さんの息子の野村祐人さんがクレジットされており、日本側の視点が多分に含まれていたみたいです。
    ちなみに奈良橋さんは、劇中に出てくる宮内次官の関屋貞三郎さんの実の孫だそうです。
    だからこそこの映画を企画し、全面的なプロデューサーとして関わり、丁寧に描きたいと思ったのではないでしょうか。
    近衛文麿を通して日本側の主張や西洋諸国の植民地の話などもでてきましたし、アメリカ映画なのに日本に対して柔軟でよかったです。これ「真珠湾の復讐」という単純な解釈が一般的となっているアメリカ人にとっては結構驚いたり考えさせられる内容なんじゃないでしょうか。
    日本の描き方も割と自然に見れて好印象でした。日本のこと、日本人のことをよく理解しているなと思いました。というか日本人の手が大きく加わっているなと感じました。

    しかし、やはり「浅さ」は否めないですね。
    全体的にだいぶ「浅い」です。アメリカで公開する分にはこれで良いかもしれませんが、日本人には浅い内容ですね。
    歴史上重要な登場人物達がたくさん登場しますが、人物描写がすごく甘いですし。
    近衛文麿、木戸幸一、関屋貞三郎、マッカーサーなどに関してはもう少し掘り下げた方が深みが増したのではないかと。東条英機に至っては一言もしゃべりませんからねwww

    そして「浅さ」に一番拍車をかけているのがラブロマンス要素。
    緑の竹が生い茂る山の中で、赤い服着た日本人女性アヤとボナー・フェラーズが「うふふふふ」「あははははー」という悪意すら感じるアホなシーンw あれは違和感爆発の全くいらないシーンでしたw
    あとボナー・フェラーズの立場を全くわきまえない公私混同ぶりwは結構致命的だったんではないかと思います。
    変に歪めちゃってるなという印象が強かったです。

    「天皇の戦争責任」を切り口にボナー・フェラーズを主役として真剣に戦後処理とGHQの統治について描くのであれば、ボナー・フェラーズやマッカーサーの日本に対する理解や平和的な統治に対する考え方、それぞれの思惑や、共産主義に対する懸念、天皇制や日本に対する分析、日本側の主張、連合国軍本部側とGHQ側の対立などの複雑な背景をもっとしっかり描写するべきではなかったかと思います。
    しかし、このラブロマンスのフィクション部分が入った事でボナー・フェラーズの誠実さや統治に対する考えや日本への理解といった部分よりも、結局は「アヤ大好き!だけどやっぱりアヤが好き!!」という部分が前に出まくってしまっていて、かなり安っぽくなってしまっています。
    史実に関してはまだまだ不明な点が多く、議論も続いているとはいえ、
    だからといってラブロマンスを取り入れて王道のエンタメ作品に仕立て、
    全く当たり障りのない描き方をしてしまったのは少し残念でした。
    最初からエンタメ仕立てするつもりだったんでしょうが、それでもリサーチや取材・研究の甘さは否めないですね。

    ただ、逆に王道のエンターテイメントとしてならある程度は楽しめる作品ではあると思います。
    それに、こうしないと売れないんでしょうね。それはわかります。
    平成生まれの自分にとっては知らなかったことも多く、勉強になった部分もあって良かったです。
    日本の戦後処理や日本についてや天皇について、そしてあの戦争についてなど、考えたり知ろうとするきっかけをくれる作品であることは確かで、それは日米双方にとってとても意義のあることだと思います。
    8月上旬の時期にこの映画を見れたことは個人的にはすごく良かったです。
    天皇の最後のシーンなどは、天皇の発言に関して現実には諸説あるみたいですが、単純に感動できる締めとしては良いシーンだったと思います。
    昭和天皇役の片岡孝太郎さんはかなり昭和天皇っぽかったですしw、マッカーサー役のトミー・リー・ジョーンズは顔は全然似てないのにあの圧倒的な存在感とカリスマ性はやっぱりすごいですね。
    しかし『リンカーン』のときのような深みはやはり感じられませんでした。

    まぁ細かい事は気にせず、右だ左だってのは閉まっといて、社会派エンタメ作品として見るべき映画です。
    そう割り切れば割とよくまとまった良い映画だと思いますよ。

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    『風立ちぬ』@立川シネマツー

    先日、ずっと行きたかった立川シネマシティとシネマ・ツーに行ってきました。
    東京初のシネコンであり、東京初のTHX認定シアターを持つシネマシティと、
    その音響へのこだわりを受け継ぎ新たに作られた2番館であるシネマ・ツーの音響を体験してきました。

    今日はシネマ・ツーの音響設備などについてと、風立ちぬの感想などを書いていきます。

    外観もおしゃんてぃ。

    『風立ちぬ』を一番大きいa studio(384席)で見てきました。
    シネマ・ツー シアター紹介

    入ってみるとなんだか教会みたいでビックリしましたw
    でも、こういう非日常空間な演出は好きですし、映画館のこだわりが感じられます。
    劇場内だけでなく、ロビーやスロープ、ガラス張りの外観など、全体的に非常にデザイン性の高いおしゃれ映画館です。

    シネマ・ツーの音響は全て「KICリアルサウンド」というオリジナルの音響設備です。
    ちなみに「KIC」というのは、この幻想的な照明などデザイン全般のアートディレクターを務めた海藤 春樹氏、音響システムを開発したサウンド・スペース・コンポーザーの井出 祐昭氏、 そしてCinemaCityの頭文字をそれぞれ取って名付けられているそうです。
    [井出氏による「KICリアルサウンド」についての説明]

    特徴は、
    ・通常の映画館とは全く違う、独自の新しい音響設備であるということ。
    ・スピーカー(センタースピーカー以外)がむき出しになっていること。
    ※スピーカーは通常はスクリーンの裏や壁の内側などに隠すが、本来ならば遮蔽物はできるだけない方が音響的には好ましい。これはオーディオの世界では常識ですね。
    ・また、スクリーンも壁面ではなく宙づり状態での設置になっている。
    ・床も壁も吸音していない(!)壁が斜めに傾いていて、反射させた音を天井の吸音材で吸音している。
    吸音設備を最小限に抑えることで、より自然な音と豊かで広がりのある響きを可能にしている。
    ・使用しているスピーカーが映画館用ではない。ライブ会場やコンサートホールなどで使用されるスピーカーを使用、さらにその中でもハイクオリティで高価なアメリカのMeyer社製のスピーカーを採用。
    ※ちなみにMeyer社はTHX認定を受けているシネマ用スピーカーシステムも販売しているようなのですがMeyer Sound Products (CINEMA EXPERIENCE SERIES)
    ここで採用しているのはPA用のスピーカーということで、一体どこまでこだわるんだという感じですwww
    ・トータルとして目指したのは、スタジオで作ってるときの音をそのまま再現すること。だからPA用のモニター的な音を求めたみたいですね。

    うーむ、こだわりっぷりが尋常じゃないですねw
    映画(映画館)への愛を感じます。

    ※スマホのカメラがうんこなので全然見えませんが(「おれのニコン」は遠いし雨予報だったので持って行きませんでした。思いっきり快晴でしたけどw ごめんなさいw)
    スクリーンが宙づりになっていて、左右のフロントスピーカーも同軸状に宙づりになっている。好ましいセッティングですね。


    ウーファーもむき出しの丸見え。センタースピーカーのみスクリーンの裏側に設置。
    普通の映画館ではカーテンや壁で隠されているスクリーンの下や裏側などがいろいろとむき出しになっていて、無骨な感じがスゴく気に入りましたw

    ++++音について++++


    まず予告編!ド肝を抜かれました。
    マン・オブ・スティールやパシフィック・リムの予告だったんですが、爆発音や重低音の響き方や広がり具合が尋常じゃなかったです。
    映画館的な音では全くない!
    他にもいくつか音響のいい映画館には行った事がありますが、どこも「映画館の音」の延長線上にある良い音響なのに対し、ここの音響は全くの別物という感じでした。
    通常の映画館とは全く違う独自の音響設備とはいえ、ここまで違うとは。
    非常に明瞭かつド迫力、破綻も一切なく、広大な空間を感じる豊かな響きを誇っています。
    それでいて非常に自然な鳴り方をしていると感じました。
    通常の映画館の音というのは、どこか不自然さというか窮屈さというか、非現実感の伴う、こもり気味の音であるように感じていましたが、ここではそれを感じませんでした。
    高音域もしっかりと響いてきて、非常に抜けの良い音でした。
    スピーカーの違いもあるでしょうが、個人的には吸音設備を最小限に抑えていることが、かなり効果的に働いているのだと思います。スピーカーむき出しというのも大きいのでしょうね。
    サラウンドスピーカーもパワーのあるスピーカーで、広がりのある豊かな響きと相まってかなり強いサラウンド効果を感じました。

    しかし本編が始まってからは、爆音やサラウンド効果は聴けません。
    というのも『風立ちぬ』では、効果音はほとんど全て人の声!!(戦闘機も、汽車も、地震も!!)
    しかも全てモノラル録音!!
    ななななんてこっちゃ!!ものすごいこだわりっぷりです!!

    でも..、さ、サラウンド関係ねぇwww!!

    使われるのは唯一スクリーン裏にあるセンタースピーカーのみで他のスピーカーは飾りと化ぁすwwwwww!!!!

    スピーカーがむき出しとか、サラウンド効果がどうとか言ってたのに、唯一スクリーン裏に設置されているセンタースピーカーしか鳴っていないという、なかなかアリエンティな展開に...。

    ジブリの映画はモノラル録音でつくった『風の谷のナウシカ』以降、本物の音にこだわるあまり音響技術がエスカレートしてきたが、『風立ちぬ』では原点に立ち返りモノラル録音に。

    鈴木プロデューサー:「本物の音を再現することにどれだけの意味があるのか。大事なのはそれらしく聞こえること。そうしたら宮さん(宮崎監督)が声で効果音をやろうって言うから、賛成したんです。」

    ということらしいです。
    まぁ、確かにその通りですね。
    「本物の音を再現する事にどれだけの意味があるのか。」というのはアニメの音響に真摯に向き合い続けてきたジブリらしい重要な気付きであると思います。
    モノラルにしたのも5.1chだと何でも詰め込めちゃうかららしいですね。久石譲さんにも監督から「音楽はできるだけ、そぎ落としたシンプルなものを」という注文があったようです。
    実は自分はこれを知らずに見に行ったんですが(知ってたら多分立川まで行ってないw)、モノラルであるというのはすぐにわかりました。そして最初は愕然としましたw
    あと効果音が人の声だったというのは後で知って驚愕しましたがwww
    でも、アニメ映画ならではの考え方ではありますが、モノラルや人の声というのはいいかも知れませんね。
    単音源で音量も大きくないため自然に耳を澄ますようになるんです。まさに「耳をすませば」です。
    そしてモノラルといえど、その効果音や音楽は徹底的にこだわりをもって作られている事に気がつきます。
    臨場感や立体感というのは当然モノラルにはありませんが、こと音質という点に関してはステレオだろうがモノラルだろうが変わりありません。サラウンドではないため音が鳴っている一カ所に意識が自然と集中し、耳をすませば、そこから聞こえてくる音は強いこだわりをもって作られた自然で良質な効果音と音楽でした。
    作品にもとてもマッチしていると思います。
    大友克洋監督最新作のオムニバス映画『SHORT PEACE』はサラウンドや音響効果の作り込み、音とCGとの親和性が素晴らしかったですが、あれはああいう作品だからこそなんです。
    逆に『風立ちぬ』という作品にはモノラルがマッチしているんです。
    ただ、音響を期待してわざわざ遠出して行ったので、まさかモノラルだったとはwww チェック不足は否めないw
    しかし、さすがはMeyer社製のセンタースピーカーです!!(←半分ヤケw)
    でもこれはほんとですよ。モノラルであるからこそ、一つの音に対して集中するのであって、その集中にしっかりと答えてくれる良いスピーカーでした。
    人の声であると教えられるまで気がつかない程に作り込まれた効果音はもちろん、久石譲さんによる音楽も素晴らしかったです。
    メインのテーマ曲「旅路」はロシアの弦楽器「アルトバラライカ」の優しく美しい主旋律をロシアのアコーディオン「バヤン」が支える素晴らしい曲となっていますし、他の曲も少数編成だったり落ちついた曲調だったりとモノラルを意識した作りとなっていました。
    そして最後のユーミンのひこうき雲も当然モノラル。しかもLPレコード音源なのですが、これが非常に素晴らしい。
    針を落とす音から入っていて、LPならではの質感や温かみが感じられ、それでいて非常に説得力のある歌声が響き渡る。涙無しには見られません。いつものごとく自分は泣かなかったけれどw 感動しました!

    まぁ、とはいえ、次に立川にいくときはハリウッド仕込みのサラウンドに凝った作品を見に行きますがwww
    予告編でちらっと見せた、豊かで広がりのある響きやサラウンド効果を全編通してじっくり聴きに行きますけどねwww ちくしょうw


    ++++映像について++++

    映画音響マニアの人はあまり触れないこともあるんですが、映画館において映像というものは非常に重要な要素です。
    まぁ、映像ありきのものなので当たり前なんですがw 当たり前すぎて逆にないがしろになりがちだったりします。
    例えば映画館でも音響が非常に優れていても映像はDLPプロジェクターによる2K上映だったり、逆にソニーデジタルシネマの4K画質なのに音響はごく普通といったこともあります。
    その点、この立川シネマシティとシネマツーは素晴らしいです。
    音響にこだわっている映画館として有名なので音響のことばかり気にしていましたが、
    予告で「Sony Digital Cinema 4K」のトレーラーが流れて驚きました。
    しかもシネマシティのk studioでもSony Digital Cinema 4Kを導入していたので、
    もしかしたらシティもツーも全館に導入しているのかもしれません。それは確認しないとわかりませんが。
    特にa studioの384席と一番大きいメインのシアターで4K上映を可能にしているのは素晴らしいです。
    4Kは大画面でこそ生きるのですが、設備投資の問題からなのかランディングコストの問題からなのか映画館によっては4Kなのにスクリーンは小さめで、大きいスクリーンは2Kのままということも少なくありませんので。
    (※設備は4K対応でも、作品が4K規格で配給されていないと2Kでの上映となります。風立ちぬはアニメなので2Kだと思います。洋画だと35mmフィルムで撮影する監督が少なくないですが、35mmフィルムは4K相当なので4Kデジタルでの配給がされている場合が多いようです。)

    それにしても、スクリーンも比較的大きめ、独自の音響設備は文句無しに素晴らしい、映像も4Kに対応。という立川シネマツーのa studioは本当に素晴らしいですね。


    ++++風立ちぬの感想(ネタバレを含みます)++++


    見始めてまず驚いたのはやはり背景などの作画ですね。
    草や木、川、空と雲、色彩と描き込みがハンパ無いです。
    特に草や木の色彩や質感といったらもう、なにこれ!?って感じです。

    他にも、機関車の窓から見える鏡のような水面や、そこに映り込む光。
    木造の建築物の質感や、奥行きのある立体表現。
    一人一人に表情と動きのある群衆。
    メイキングがめっちゃ見たいです。そして原画が見たいです。というか欲しいですw

    関東大震災のシーンのアニメならではのうねるような巨大な揺れの表現もすごかったですね。
    ちなみにあのシーンの絵コンテは3.11直前の3.10に完成したそうで、監督はこのまま出して良いか迷ったそうです。それに対して鈴木プロデューサーは、

    「映画は時代の産物だし、映画が時代をつくることもある。だからといって、そのことにとらわれすぎるのはおかしい」と変更に反対した

    そうです。 なるほど~。
    しかし3.11以前にあれだけのアニメ的描写力とリアリティを兼ね備えた震災のシーンを描いてしまうとは恐ろしい。
    「機関車が爆発するぞ!」というデマが飛び交い、パニックになり皆が我先にと逃げ惑うシーンなどは、ハッとさせられました。


    ストーリーは大人向けと言われていますが、子供でも見れば、わからないなりに確実に何かを感じ取り、何かが心に残り、大人になって忘れた頃に見返すと、それが蘇って鮮やかに色づくような、そんな作品でもあると思います。
    大人は当然楽しめますし、全編を通してメッセージ性の強さや示唆の豊富さ、ラストシーンの強力なメッセージに
    感動すること間違いなしです。
    何やら賛否両論激しいようで、酷評も多々見かけますが、酷評している人の意見を読むとちゃんと映画を咀嚼していないように感じます。
    ジブリの今までのファンタジー作品がそうだったように、わかりやすさを求めてしまっているのでしょうが、この映画はそういう映画ではありません。
    この映画は、行間を読み、ひとつひとつのシーンを解き、登場人物の行動の意味を考え、観終わった後に振り返って咀嚼すべき映画です。
    そして、じわじわと理解や解釈が深まると同時に観終わった後も自分の中で成長していく映画です。そしてふと、もう一度見たくなってしまう。 良い映画とはそういうものです。
    全てを説明してしまうわかりやすい映画ばかりになってしまったせいか、そういうことをしなくなってしまう人が多くなってしまったようで残念ですが、ここにきてジブリのあの宮崎駿監督がこういう映画を作ったというのはすごいことですね。敬意を表します。

    実在の人物をモデルにしたという事や、昭和初期の震災・戦争・貧困という激動の時代の日本を描いているということ、戦闘機の設計をするエンジニアを題材にしていることなども大きく作用して、ファンタジーでは表せないとてもリアルで強烈なメッセージ性を帯びています。
    そのメッセージとはポスターにもある「生きねば。」というもの。
    そのシンプルなメッセージが、映画を通して伝えられることによって、非常に深く、重みと現実味を帯びて、受け取り手によって様々な意味と解釈を含む、「生きねば。」になるのです。

    そもそも映画に対して、「何を言いたかったのか」という問いはうんこクエスチョンなわけです。
    それが言葉にできるなら映画なんて作らないんです。
    この映画では、非常に複雑な時代背景や、菜穂子の病気や、二郎の仕事と夢、それらが絡み合うことで、言葉では表せないほどに深く広い意味を持った、それでいてただただ前向きな「生きねば。」に集約するのです。
    映画としてはだいぶわかりやすくて親切なほうだと思います。
    これを「難しい」「つまんなかった」「何が言いたかったの?」とか言ってしまうようでは、とてもじゃないけど想田監督の観察映画なんて見せられないじゃないですかwww
    いっこ前の記事→観察映画『選挙2』の観察

    別に語る言葉は持たなくてもいいんです。
    自分は自己満でずらずらだらだらとつまんねー感想や解釈を書いてますが、映画を見終わった直後はだいぶボケーっとしてますwww
    良い映画を見終わった後はいつもそうです。理解が追いつかないんです。
    それでも映画を見て直接的に何かを感じ取っている。だからラストで感動したり、ユーミンの歌で涙を流したりするんです。でもその「何か」はすぐにはわからない。いつまでたっても言葉にできないことだってある。でもそれでいいんです。
    だから『風立ちぬ』を見て「上手く感想は言えないけど感動した。」「わからない部分もあったけど最後はジーンときた。」という人はそれで良いんだと思います。
    言葉では表せない複雑なものを、映画を通して確かに受け取れているはずです。輪郭は掴めなくても「何か」を受け取ったということが重要で、それこそが良い映画の持つ力です。
    見終わって「ああ〜楽しかった!」という感想しか出てこずにその瞬間に自分の中で完結してしまうような映画は
    下痢グソ映画です。ブバババッー!っと出してクイッ!っとひねってジャーッ!!っと流しておしまいです。何にも残りません。くさいニオイだけが残りますw

    まぁ自分は自己満でこれを書いてるので、いまから自分が受け取ったものについてだらだらと文字にしてみようと書いていきますけどねw
    自分の解釈では、「生きねば。」とは、ただメシ食ってクソして寝るだけの「生きる」ではなく、自分の人生を「生きねば。」ということだと思います。ひとりひとり、それぞれ自分の信じる道を、懸命に。
    それがたとえ、どんな時代のどんな状況下においても。
    だから、菜穂子は山から下りてきたし、最後は山に帰って行くんです。
    だから菜穂子は手を握ったまま、二郎にタバコを吸わせるんです。
    それがあの状況下での菜穂子にとって「自分の人生を懸命に生きる」ということなんです。泣けますね。
    二郎もカプローニの言う「想像的人生の持ち時間」の10年を懸命に生きるのです。
    エンジニアとして美しい飛行機を作るために、今を懸命に生きるのです。
    だから、遅く帰ってくるし、帰ってからも菜穂子の手を握りながらも仕事をするのです。
    それがあの状況下のあの時代背景での設計者としての二郎にとって「懸命に生きる」ということなんです。切ないですね。

    その「結果として」零戦が戦争の道具となってしまうことから、反戦のメッセージが弱いとか、好戦映画だとか、戦争のシーンがほとんど無いとか、ガヤガヤ言われてますが、そういうことを言う人はそもそものテーマを読み違えているのです。

    ひとりの人間として、ひとりのエンジニアとして、あの時代を懸命に生きて夢を実現させたということが重要なのであって、
    その零戦が戦争の道具として使われたことは、また別の問題です。
    まぁ、目の前のことに没頭し今を生きるということを、零戦の設計者という視点で描いているからこその複雑性によって解釈が難しい部分も確かにありますが、そこが上手いところでもあり、映画的なおもしろさであり、なにより監督が今描くべきだと思った部分でもあると思います。
    しかしながら、二郎や本庄を通して、その矛盾に対する葛藤や、ラストの「一機も帰ってこなかった」という言葉からは、ソフトではありながらも、戦争の愚かしさに対する明確な姿勢をしっかりと描いていることが伺えます。
    これは、メインのテーマから考えれば十分すぎる程の描写で、そこに監督の政治的な意志や時代のうねりに対する警鐘のようなものも同時に感じ取れました。
    いろんなところで「監督が作りたくて作ったのではないか」という意見も目にします。自分もそういう部分はあるだろうと思います。しかし同時に監督の中には「いま作らねばならない」という部分もあったのではないでしょうか。
    劇中で描かれる昭和初期の時代。震災・不況・貧困・戦争。
    いまの日本の状況ともかなり近いものがあります。自分はそこに監督の意志を感じました。
    しかし、それを描いておきながらも、メッセージはつまらない反戦でも権力批判でもなく、あくまで個々人に向けた「生きねば。」であり、
    再び激動の時代に揉まれながらも前を向いて生きようとする我々ひとりひとりの背中を、力強く押して大空に飛び立たせてくれるのです。

    実に深みのある、素晴らしい映画でした。


    ++++キャスティング++++


    ちなみにエヴァの監督の庵野さんが主役の二郎の声をやっていますが、こちらも色々言われていますw
    それについてはいろんなレビューを読んでみて下さいw。
    自分としては、「牛ガイル(棒読み)」など吹き出しそうになるシーンもありましたがwww
    声は二郎のキャラクターにすごく合っていたと思います。あと、棒読み加減がなぜかマッチしていると感じるシーンもありましたね。そこを高く評価している方もいるようです。良くも悪くもとにかく耳に残りました。
    しかしながら個人的な感覚では結構ATフィールド全開な感じの印象でしたねw
    庵野さんも「恥ずかしい」とか「次からは役者にもっと優しくしようと思った」とか言ってるしw
    それでも「逃げちゃダメだ!」ってな感じで逃げなかった庵野さんは偉いと思います。

    ちなみに、庵野さんはやはり監督としての血が騒ぐのか、映像を見ていると修正を加えたくなってしまうようでw
    宮崎駿監督が「庵野が下にいていろいろ言うもんだから『下の監督』と呼んでいたが、そのうち『中の監督』になり、最後には『上の監督』になってしまい、いろいろおせっかいと助言を受けました(笑)」と語っています。
    中でも庵野さんの助言によるラストシーンのセリフ変更は作品の意味すら決定づける重大な変更ですw
    当初は、二郎の夢に出てくる菜穂子のセリフは「きて」と2回繰り返すものだったそうで、庵野さんは「何じゃこりゃ!?」と思ったそうです。「これだと死んで終わりみたいになっちゃう。」と。
    そして最終的には菜穂子のセリフは「生きて」に変更され、カプローニの「君は生きねばならん」というセリフが加えられたそうです。
    意味が真逆になってますやん!(冷や汗)
    危ないとこやった。この功績だけでも庵野さんを二郎役に起用した意味はあったと、綾波の盾ばりに彼を擁護したいw。
    「あなたは叩かれないわ、わたしが守るもの。」

    ...だめだやっぱり守りきれないぃぃぃwww すぐに盾溶けちゃうwww!!

    滝本美織さんは及第点の演技でした。かわいらしい声ですよね。
    西島秀俊さん(本庄役)はさすがに安心して聴けますね。しっかりと本庄の役が出来上がってました。
    本庄はだいぶズカズカしてるキャラクターで結構好きですねw。

    ◆P.S◆
    メイキングが見たいと書きましたが、なんとドキュメンタリー映画として今秋に見れそうですよ!
    実父が余命宣告後に死に支度をする様を追って大きな話題となった『エンディングノート』の砂田麻美監督が、なんと新作としてジブリの舞台裏を追ったドキュメンタリー映画『夢と狂気の王国』を製作中で、今年の秋に公開予定だそうです!これは絶対見なければ!!
    まだ予告編はできてないみたいですが、TVで一部が公開されたものがありました。ちょうど庵野さんを主役に決めるまでの経緯のシーンで、めちゃくちゃおもしろいですw 公開が待ち遠しい!

    テーマ : 映画館で観た映画    ジャンル : 映画

    Category: 映画 > 娯楽映画、劇映画、シネコン   Tags: 映画レビュー  映画音響  

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    IMAX版『レ・ミゼラブル』観てきた!

    成田HUMAXでドラゴンボールとレ・ミゼラブルを続けて観てきました。
    レミゼがIMAXでやるってニュースが出てから「レ・ミゼラブル IMAX」って検索してきちゃう人が増えたから、IMAX版とIMAXデジタルについての記事レ・ミゼラブルのIMAX上映とIMAXデジタルについてを書いたのに、
    公開が始まってからは「レ・ミゼラブル IMAX 感想」って検索してきちゃう人が増えてしまったwww
    「あ、そうなるのね。でもまだ観てないよw。」ってなって心苦しかったですがw
    やっと観れたので、感想を書きますとも!

    IMAXデジタルとは何か、というのは上にリンク貼ったIMAXデジタルについての記事を読んで下さい。
    成田HUMAXのIMAXデジタルの設備についてとかは今までにいろいろ書いてるんでそっちを見て下さい。
    『ライフ-オブ-パイ トラと漂流した227日』〜IMAX3D版を成田HUMAXにて〜
    IMAX版『DRAGON BALL Z 神と神』観てきた!

    映画音響が最高の幕張シネプレックスのHDCS館で『レ・ミゼラブル』を観てきた感想はこちら。
    『レ・ミゼラブル』 ~シネプレックス幕張のHDCS館にて~
    今回のIMAX版『レ・ミゼラブル』はこのHDCS館で観た通常版との比較になります。
    2回目なので、映画自体の感想についても詳しく書いてみようかと思います。
    なんか書いてたら雑な「あらすじ」みたいにもなっちゃったなw


    ++++レビュー++++


    まずでかい!というのが第一印象w
    海中から浮いて漂っているフランス国旗を映すショットから始まります。でかいですw。
    海面より上、スクリーンの奥の方で音が鳴っています。囚人達のかけ声です。
    そして海中から出ると、その音が一気に大きく明瞭に聞こえてきます。音もでかいですw。
    ここでバカでかい帆船の美しい映像とどでかい音の迫力にびっくりしました。振動が伝わってきます。
    「おお、でかい。映画館で映画観てるぅ〜。」って感じましたw 自宅では味わえない感覚です。
    「Look Down」の大合唱。男達のでかくて野太い声のかけ声や合唱はやはり大迫力ですね。
    バルジャンが見上げるとジャベールがいて、その前を水しぶきが左右に激しく飛び交っています。オープニング全体を通して素晴らしいスケール感と映像美です。

    その後バルジャンの仮釈放から、司教様との出会い、そしてヒューの見せ場となるソロのシーンへと進んでいきます。身分証の代わりに「危険人物」の烙印を押された仮釈放証を持つバルジャンには仕事も無く食べるものも得られず、子供に石を投げつけられる始末www
    司教はそんな身も心も疲弊しきったバルジャンに優しく接し宿と食事を与えますが、バルジャンは銀器を盗んでしまいます。憲兵に捕まって連れてこられたバルジャンを司教は咎めず「銀の燭台を忘れていったね」と手渡します。そして「正しい人」になるようにと説きます。
    この司教は実はミュージカル版のレ・ミゼラブルで初代ジャン・バルジャンを演じていたコルム・ウィルキンソンなんです!すごいお方なんですw!それを知るとより一層象徴的なシーンですね。
    本家のミュージカルから他にもちょいちょいすごい人たちが脇役として出演しているとこからもこの映画版の本気度が伝わってきます。

    ヒューのソロは素晴らしいの一言。感情がしっかり乗っています。エモいw。
    バルジャンは自らの行いを悔い、生まれ変わると誓います。そして仮釈放証を破り捨てるのです。
    トム・フーパー監督の、演技中の歌をライブで録音するという手法はやはり大成功ですね。
    これが無ければ全く違う映画になってしまっていたでしょう。

    映像も思ってた以上に鮮明でした。この前色々調べてIMAXデジタルは解像度が2Kだということを知って少しがっかりしていたんですが、IMAX DMRのリマスタリングでアップコンバートしてるからなのか、プロジェクターによる映写自体は2Kのはずなのに、視覚的な感覚では2K以上あるのではないかと思えるくらい鮮明でした。
    ヒューの毛穴やヒゲの毛先まで見えますw
    でかいから粗が目立つということの無いようにIMAX DMRがあるわけで、2Kの普通の映画館より映像はでかい上にきれいだったかなと思います。

    ただ、この時点ですでにやはりというか、気になっている点がひとつ。音質です。
    音量、迫力、低音の量などに不満はありませんが、やはり音質や解像度、表現力や繊細さには不満が残ります。
    ある程度はクリアだけど、あとは音量と迫力重視で、繊細さに欠けるという印象です。
    爆音で音楽が鳴っているときはそこまで気になりませんが、ヒューのソロパートの伴奏などを注意深く聞いているとそういうことがやや気になります。楽器の音の響きも、楽器的ではなくて上品さに欠ける印象です。
    爆発音とかアクション映画の効果音みたいなのは得意なんでしょうが、オーケストラの演奏の再生はやはりオーディオ的ではないです。映画館ではそれが当たり前かもしれませんが、シネプレックスのHDCS館はすごくオーディオ的な豊かな響きだったと記憶しています。
    音響はやはりHDCS館の方が上でしょうね。ただし普通の映画館よりはIMAXデジタルの方が抜群に良いと思いますよ。

    バルジャンが仮釈放の紙を破り捨て空に向けて投げ捨てます。空高く舞い上がっていくその紙切れをカメラが追い、雨でその紙が地上に落とされていくのをカメラが追い地上に帰ってくることで時代が転換します。この辺の舞台転換の繋ぎの編集が素晴らしいです。さすがトム・フーパー監督です。
    他にもいくつか時代の転換がありますが、繋ぎ目はどれも秀逸で素晴らしいです。
    色彩や色調のカラーグレーディングも見事でとても美しいです。全体的に見事なカメラワークと編集です。

    8年後、ジャン・バルジャンはマドレーヌと名を変え、工場の経営者であり市長でもあるという見事な生まれ変わりぶりです。すげえなこの人w。そこにジャベールが警部として着任してきます。そしてジャベールは市長がジャン・バルジャンではないかと疑うようになります。この辺のヒューとクロウのやり取りを見ていると細かい仕草やセリフなどの巧みさがよくわかります。

    その工場を追い出されたファンテーヌ(アン・ハサウェイ)は宿屋に預けた娘のコゼットを養うために港で身を売るようになります。そこでのアンのソロ「I Dreamed a Dream(夢やぶれて)」はマジで圧巻です。
    この映画は名曲のソロのシーンがいくつも出てきて、そのどれもが素晴らしいですが、アンがやはりズバ抜けています。感情をここまで乗せられるのは本当にすごい。もらい泣きしちゃいます。まぁしなかったけどw
    あの演技を見れば、アカデミー賞助演女優賞は当然の結果だったと言えるでしょう。
    主演のヒューも素晴らしかったしアカデミー賞ものでしたが、ダニエル・デイ・ルイスがいたから無理でしたねw
    ダニエル・デイ・ルイスは史上初の3つ目ですからね。
    2つ獲ってる人も数人しかいないのに3つとかw あのおっさんはおかしいwww 
    リンカーン楽しみ過ぎるな!話がそれましたなw 

    ジャベールは市長がジャン・バルジャンであると通報しますが、既にジャン・バルジャン(実は別人)は捕まっていて裁判にかけられていたところでした。そして逆に市長を疑ったジャベールに罪状が届きます。
    ジャベールはそれを市長に伝え、自らが罰せられなければならないことを告げます。
    こういうところからも、ジャベールは単なる悪役ではなく、ただただ実直な法の番人であるということがわかります。
    自分でも言っていますが、彼は「牢獄の中で生まれた子」なのです。そんな悲しい生い立ちから「法こそ全てである」という価値観を心に刻み付けられて生きてきたのでしょう。
    バルジャンは「間違いは誰にでもある。君は責務を果たしただけだ。」と告げジャベールを不問とすると同時に焦ります。
    そしてソロ「Who am I」のシーンです。
    「どゆこと!?おれ捕まったことになってんの?いやいやそいつ別人だからw!つーかこれチャンスじゃね?おれが黙ってりゃそいつ身代わりにできんじゃん!ヒャッッホイ!」という考え(※多少の脚色がありますw)と、
    正直に「自分がジャン・バルジャンであると名乗り出るべきか」とで悩みます。
    その善悪の2択だけではなく、さらに工場長という立場から「自分が名乗り出れば従業員を飢えさせてしまう」という複雑な問題も出てきてしまい悩みに悩み抜きます。ここのソロパートもバルジャンの苦悩が実に上手く表現できていて素晴らしいシーンです。
    この自問は司教さんに救ってもらった後の「独白」と似た部分があり、「良心」や「選択」がテーマとなっているように思います。そしてバルジャンは裁判所に行き名乗り出るのです。
    このシーンを見てて『クラウド・アトラス』を思い出しました。そういえばあれも観てたんだったなw あとで書かなきゃw あれもなかなか示唆に富む哲学的なテーマの良い映画でしたよ。

    しかしファンテーヌに娘(コゼット)を託され、そのファンテーヌは死んでしまいます。ここで死んであとは最後まで出てこないです。それなのに強烈なインパクトを残したアン・ハサウェイの演技はやはりすごいです。

    その後バルジャンは子供のコゼットのもとへいきます。子コゼットかわいい!大人コゼットもいいけど、子コゼットもかわいい!!でもこれ以上言ってるとおまわりさん呼ばれるからやめとく!
    ここでテナルディエ夫妻の登場です。サシャ・バロン・コーエンとヘレナ・ボナム=カーターという豪華キャスト!
    ヘレナはやっぱりスウィーニートッドのまんま過ぎてめっちゃウケますw
    そしてこの映画のために新たに作曲されたバルジャンのソロ曲「Suddenly」もかなりいいです。

    そのあと時代が変わりガブローシュ(ダニエル・ハトルストーン)やマリウス(エディ・レッドメイン)やアンジョルラス(アーロン・トヴェイド)やエポニーヌ(サマンサ・バークス)が出てきます。みんな上手いです。
    大人コゼット(アマンダ・セイフライド)もこの辺りで出てきますがかわい過ぎますね。
    やはり子コゼットより大人コゼットのほうがいいですな。コゼットの顔のアップをIMAXの大画面でまじまじと観れることが、IMAX版最大の効果と言っても過言ではないでしょう。...おまわりさんわたしです。

    この映画のスゴいところのひとつはキャスティングが素晴らしいことでしょう。
    映画スターだから起用するなんてことはなく、役は全てオーディションを行って決められているんです。
    そして選ばれた後の役作りもすごくて、ヒュー・ジャックマンは大幅な減量と同時にジムにも通い、19年間牢獄にいながらも力持ちとして描かれるバルジャンを演じる為の努力をしていたそうです。
    役作りの為に冒頭のシーンの撮影前の36時間は水分を採らなかったという逸話もあります。死んじゃうよーw。
    アン・ハサウェイは母親が舞台版の『レ・ミゼラブル』で活躍していてファンテーヌ役をやったこともあり、それを子供の頃から観てきていたので、この役に懸ける想いは大きかったようです。
    役作りも凄まじく、自前の髪を映画のシーンの中で実際にバッサリ切ったり、結核による死をリアルに描く為にもともと細いのに5週間で11キロ以上減量したそうです。死んじゃうよーw。
    そんな大人達もスゴいんですが、自分がすごいと思ったのはガブローシュ役の子。彼の演技力と、この映画にもたらしているものの大きさには驚かされます。名前が出る役者は大人達ばっかりですが、彼はもっと評価されてしかるべきだと思います。
    もともと舞台で活躍してるからか、エポニーヌとアンジョルラスは歌も素晴らしいです。
    エポニーヌのソロ「On My Own」は圧巻でした。
    というかエポニーヌも普通にかわいいし、コルセット着てるんだけど腰細過ぎやろw!
    マリウスとコゼットの恋とそれを後ろから見るエポニーヌの切ない片思いが悲しいです。
    なんて罪な男なんだマリウス!このイケメンが!アホー!ボケー! ...悲しくなってくるのでやめますw。

    ただ、この辺で気になるのが雨の音。「On My Own」や「恵みの雨」のシーンなど、HDCS館で観たときは音場の左右へのだだっ広さとその繊細な表現力から、まるで外で雨が降っているかのように聞こえましたが、IMAXデジタルではクリアな雨の音がスピーカーから流されているだけというような印象でした。
    ただ、「One Day More」や「民衆の歌(The Peoples Song)」など、多パートだったり合唱だったりするような曲は大音量で迫力があります。IMAXデジタルはやはり表現力や繊細さに欠けるという印象ですね。

    あと、この時代の美術は本当にすごい!全体を通して美術やメイクや装飾が素晴らしいんですが、この時代のパリの町並みや、バスティーユの像(象の像w)など、全て作ったそうです!すげえな!
    約200人の大工、木彫り師、画家を動員して作り上げたんだとかw。
    こういう「本物」にこだわる監督は好きですね。リドリー・スコット好きなのでね。

    そして将軍の葬儀からバリケードの銃撃戦(1回目)のシーンへと進み、エポニーヌがマリウスを庇って撃たれてしまいます。「恵みの雨」のシーンです。死にゆくエポニーヌはコゼットからの手紙をマリウスに「(隠していて)ごめんなさい」と言って渡します。そして「いまあなたが傍にいてくれるだけで私は幸せ」みたいな負け惜しみ無償の愛とでも言えるような言葉とともに力尽きます。マジで泣けます。泣かなかったけどw

    バルジャンは、マリウスからの手紙の返信を読み、マリウスとコゼットが恋に落ちたこと、そしてそのマリウスがバリケードで無駄死に死んでしまうかもしれないことを知ります。そしてマリウスを犬死に死なせない為にバリケードにやってきます。そこで学生達に捕まってしまっていたジャベールを逃がしてやります。

    その後、バリケードの銃撃戦(2回目)のシーンへと進みます。
    一回目の銃撃戦もそうだけど、発砲が始まった瞬間、IMAXデジタルの効果を強く感じましたね。
    かなり音量と迫力があります。やはり爆発音のような音は得意なようです。ビビビっときますw。
    ガブローシュは死の演技も素晴らしいですね。
    銃撃戦の最後、敵に囲まれたアンジョルラスが赤い旗を掲げて撃たれ、アンジョルラスの体が窓から外へと垂れ下がるシーンは見事な演出でした。とても印象深いシーンです。
    死体が並べられているところにジャベールが来て、ガブローシュに自分の胸のバッジをつけてやるシーンも印象深いです。この時点ですでにジャベールに迷いが生まれているのがわかります。

    バルジャンは撃たれたマリウスを連れ下水道に逃げます。この辺りも顔の汚れ具合とか下水道への沈み具合などから本気度が伝わって来ますね。IMAXで観ると余計にきったねぇなw。顔洗えw
    ジャベールの鼻の良さは本物で、下水の出口に先回りしてバルジャンを追いつめます。
    しかし、今度はジャベールがバルジャンを逃がしてやってしまうのです。
    ラッセル・クロウはもうちょっと歌が上手いと完璧なんですけどね、ジャベールの役自体ははまってました。
    ここでのジャベールのソロの「自殺(Javert's Suicide)」はバルジャンの「独白(Valjean's Soliloquy)」と同じメロディーで歌われます。
    共通するテーマは「自問」や「価値観」や「選択」といったものでしょうか。バルジャンは生まれ変わり新たな人生を生きることができたのに対し、ジャベールは価値観の崩壊に耐えられず死に救いを求め身を投げてしまいます。こういうジャベールとバルジャンの対比がもっと描かれてもよかったかなと思います。
    ジャベールは実直すぎたんでしょうね。悲しい男です。
    他にも『レ・ミゼラブル』の中には同じメロディーで違う曲の違う歌詞を歌う部分が多く入っていて、メロディーにテーマがあったりもするようです。
    音楽はやはり長年愛されてきた名曲揃いだし、そのオーケストラも素晴らしいのでこの映画において音楽は非常に大きなウェイトを占めていますね。

    コゼットとマリウスは結婚し、バルジャンはマリウスだけに自分の過去を告白し2人の前から去ることを告げます。
    そのときの「Who am I ?」という問いにマリウスが「You are ...Jean Valjean」と答えるシーンも印象的です。

    結婚式でマリウスはテナルディエ夫の話から、自分をバリケードから救い出してくれたのはバルジャンだったと知ります。そしてコゼットを連れてバルジャンがいる教会へと急ぎます。
    そこでコゼットもバルジャンが自分の為にマリウスを生きて帰してくれたということを知ります。
    ここでファンテーヌが再登場します。魂だけどね。
    そしてその苦難の人生を祝福され、命を祝福され、バルジャンはファンテーヌに連れられて天に召されます。
    ようやく彼の人生の全てが報われます。
    もうみんな号泣です。コゼットもマリウスもバルジャンも。観客も号泣ですよ。
    おれは泣いてないですw。だって観るの2回目だしw。でも1回目はかなり泣きそうになりましたよw!
    泣いてないんかい!というツッコミが聞こえてきますがw、これはスゴいことなんです!パトラッシュが召されていくシーンを爆笑しながら見るようなこのおれが、バルジャンが召されるシーンを観て泣きそうになるなんて、ものすごい感動ですよ!

    そしてラストの「民衆の歌」のリプライズ!
    救われたバルジャンやファンテーヌやエポニーヌやアンジョルラスやガブローシュ、そして民衆達の魂。
    彼らが高らかに、そして力強く、民衆の歌を歌い上げて映画は幕を閉じます。
    人間の感性に直接響いてくるこの普遍的なメロディーを、この普遍的な物語のラストで、ここまで高らかに歌い上げられたらもう感動せずにはいられませんね。

    この映画というか物語がなぜこんなにも普遍性を持って愛され続けてきたのかといえば、ひとつは宗教的(キリスト教)な教えとテーマのため。そしてもうひとつはやはりこの物語が民衆のためのものだからでしょうね。

    「民衆の歌」はどの時代にもいる、貧しく苦しい生活をしたり、権力に虐げられている民衆や一般ピープル達のための歌で、それでも前をむいて明日を信じ、自由の為に戦い、懸命に今日を生きる彼らへの讃歌であるように思います。
    最後のシーンでは、激動の時代を懸命に生き、天国に行ってようやく自由と祝福を得たバルジャンやファンテーヌや学生達が「民衆の歌」を高らかに歌っているのだと思うとホント泣けてきます。......泣かなかったんですがw。



    最後にIMAXデジタル版としての総括ですが、
    映像は普通の映画館(2K)と比べれば大きさも鮮明さもIMAXデジタルの方が上です。
    ただ元が4K相当の35mmフィルム撮影なので、ソニーデジタルシネマを導入している劇場なら4Kで上映していたはずなので、そっちの方がきれいな映像かも知れません。自分は4Kでは観てないのでわかりませんが。
    ただ、普通の映画館のDLPの2KよりはIMAXデジタル版にリマスタリングされたものをIMAX用のDLPの2Kで映す方が大きくて明るくて鮮明だったのではないかと思います。

    音響は、音量や迫力はすごいものがありますが、音質面で多少不満が残ります。音場の広さや表現力や繊細さなどはシネプレックス幕張のHDCS館の方が上だったと思います。
    IMAXデジタルはド派手なアクションものを観るのには適しているかもしれませんが、『レ・ミゼラブル』のようなオーケストラの演奏や、細かい感情表現を求められるソロパートなどは苦手なようです。
    ただしこちらも、音響にこだわりの無い普通の映画館と比べれば、圧倒的に高音質・大音量であることは間違いないです。

    普通の映画館でしか観たことが無い人、IMAXデジタルを知らなかった人、『レ・ミゼラブル』が大好きで何度も観てるような人、はぜひIMAX版『レ・ミゼラブル』を観て欲しいと思います。
    IMAXデジタルで観たい映画がやってくれること自体そう多くはないですし、IMAX未体験の方は絶対に驚きますし感動もひとしおだと思います。

    THX館やHDCS館、ソニーデジタルシネマ導入の4K画質などで既に観た方、映画音響や画質にとても強いこだわりを持っている方、は近場にIMAXがないのであればそんなに無理して観ることもないと思います。
    通常版が日本で大ヒットしたからIMAXデジタル版の上映が決まったわけで、当初からIMAXデジタル版を配給しなかったのは、IMAXデジタルで得られる恩恵が派手なアクション映画や3D映画よりも劣るという判断からだと思いますし、事実そうだったと感じています。あくまでミュージカル映画ですからね。

    以上。だいぶ長くなりましたがIMAX版『レ・ミゼラブル』の感想でした。

    テーマ : 映画館で観た映画    ジャンル : 映画

    プロフィール

    Sohei.S

    Author:Sohei.S
    多趣味というか関心のあるものが多いので、政治的なことから趣味のことまで、書きたい事はなんでも書いていこうと思います。
    ちなみに主な趣味は映画、音楽、オーディオです。3つとも割とどっぷりいってると思います。あと最近、写真も趣味に加わりました。
    映画は単館系のドキュメンタリーから、シネコンの娯楽映画や映画音響やIMAXの話まで。
    音楽はジャズ/クラシック〜ポストハードコア/メタルコア〜エレクトロニカ/ポストロック/ポストクラシカルまで、かなり雑食にオールジャンル聴いてます。ドラムとパーカッションやってたので演奏や音楽史にも興味あります。あとミックスやマスタリングなどにも興味があります。
    オーディオはポータブルとホームオーディオ両方です。ケーブルとかポタアン自作したりもしてます。
    拍手、ツイート、コメントなど大歓迎です。
    それではよろしくどうぞ〜m(_ _)m。

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