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    あれやこれやのなんやかんや

    多趣味というか関心のあるものが多いので、趣味のことから政治的なことまで書きたいことを書きたいように書いていきます。

    Category: 音楽 > LIVEレポ   Tags: LIVEレポ  写真  

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    30 Seconds to Mars @恵比寿LIQUIDROOM ライブレポ!!

    自分が一番好きなロックバンド。超宇宙規模のスーパーバンド30 Seconds to Marsのライブに行ってきたので渾身のライブレポ書きます!
    今年はついにあのRock am Ringのヘッドライナーを務めたほどにでかくなった彼らですが、
    今回のライブは2年ぶりの来日で、一夜限り&恵比寿LIQUIDROOM(キャパ1000人ちょい)という超プレミアムなライブです!
    ちなみにRock am Ringと前回のライブについてはこちらの記事で書いてますのでどうぞ。
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    前回のライブのときはジャレッドがノドを痛めていて、アコースティック中心のライブだったので軽く不完全燃焼でした。
    だから今回こそはという期待と気合いを込めて挑みましたw

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    待ち時間長いな〜と思いながらもシャノンのセットをずっと眺めてました。
    「あ〜、おれこれだけで2時間いけるな。」「...いや、お前そりゃさすがにキツいだろ。」←この一人脳内会話がおれの興奮と落ち着きのなさを物語っています。孤独さも...。
    このタムの上とサイドスネア側と足元に組み込まれた電子ドラムのパッドでエレクトロなビートを叩くわけです。

    何度かのフェイント(BGMが止まる→せっかちな客「フォウ!」→普通に次のBGM→叫んだ奴が恥ずかしがるか文句を言う[←おれを含む])のあと、
    まずは1曲目「Birth」が流れ出しライブは幕を開けました。
    「Birth」のあの幕開け感ときたらもう、一気にテンションおかしなことになっちゃいますね!
    オープニングにふさわしい名曲です。
    そしてすぐに女性の声で「La Nuit du chasseur」 キタコレ!!!!
    2曲目「Night of the Hunter」のイントロですがこれ聴くだけでもうやばいw
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    そんでこのビート!!ドゥクドゥクタッドン!!!!タッドコドゥクドゥクタッドン!!!!←wwwwww
    シャノンはドラム上手いです。基礎がしっかりしてるしテクもそこそこあります。なによりフレーズ力・アレンジ力が素晴らしいです。そしてライブだとめっちゃパワフル&ムダな動きがでかい!!
    ライブでは原曲にないフィルを入れて間を埋めたり会場を盛り上げたりするのも上手いですね。
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    3曲目は「Search and Destroy 」
    もはや予定調和のラストコーラスでの寸止めストップw
    そして盛り上げてからのリスタート!!
    ワン・ツー!、1・2・3・4!!マガジーン!!ジャーンプ!!
    会場は「ウウォオッ オッオッウ ウォォオ!!!!」の大合唱www!!
    聴き込んでるファンが多いのかみんなコーラスかなりしっかり歌えてて、声も大きいしよく通るしでかなり気持ちよかったです。
    サーチされて破壊し尽くされました。

    そして4曲目はおれもみんなも大好きな曲「This is War」!!
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    サビはもちろん全員で大合唱!!超キモチイイ!!
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    そしてジャレッドのMC。
    前回の来日のときと同じような事を言ってました。「日本が大好き。」とか。
    「人も、文化も、親切心も」とか。(たぶん)
    「Noodles. ウドン、ソバ。」とか。これ2年前も言ってたなw 確かトモが「カキアーゲ」とか言って爆笑してたwww
    「GREEN TEAも好き。いまも飲んでるよ。」とか言って持ってきたのは、おいおいおいおい!「お〜い、お茶。」ではないですかぁ!おいぃぃぃぃ!! あぁ、決定的瞬間がブレてしまった。
    あと「日本が一刻も早く復興する事を祈ってる」みたいなことも言ってくれて嬉しかったです。
    「Closer to the Edge」のJapanese Tribute Versionの動画作ってくれたり、2011年にライブに来てくれたり、ほんとありがたいですね。

    まぁそんなこんなで、あっ、なんやかんやで
    5曲目「Conquistador」
    6曲目「Do or Die」
    とニューアルバムからの曲を立て続けに!!
    ちょうど3rdの曲多いなぁ新曲まだかなぁと思ってたとこや!!
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    ジャレッドが日本の国旗を振り回しながら走り回る姿はくっそかっこよかったです。
    ※動画がUPされてたので貼っておきます!
    HD画質です!UPしてくれた人ありがとう!


    このDo or Dieの前のMCもいいですね。RightとLeftに振って叫ばせて「こっちがベターだ」ってw
    おれはジャレッドから見てLeft側にいたので親指を下に立てられましたwww そして叫びましたw
    やっぱりみんなコーラスは大声で大合唱できてるし、手拍子もジャンプもいい感じに盛り上がれてますね。
    ジャレッドもかなりしっかり歌ってくれてます。

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    恒例の客イジリが始まったw!!
    30STMのライブは観客参加型でアットホームな雰囲気なのです。
    だから、客にサビ歌わせるし(笑)、客をステージにも上げるし、客の海の中に飛び込んでいったりもするんですね。
    ただ、逆に言えばそれだけ予習が必要になるライブなので、予習するのとしないのとでは楽しめる度合いが全く違います。過去のライブ映像をチェックしたり、人気曲のサビやコーラスだけでも歌えるようになっておくと相当楽しめるはずですよ。
    なんやかんやあってジャレッドが「そこのボーダーシャツちょっとこっちこいやオラ」と彼をステージ上へ。
    ジャレッドが質問すると30STMのライブには初めて来たとのこと。
    そしてなんと彼をそのままドラムの前に座らせて、7曲目「City of Engels」!

    やはり「City of Engels」は名曲ですね。シャノンの電子ドラムのビートも進化してたしオシャレでした。
    こんなのがステージ上で至近距離で見れるなんて、
    ファンならうれション漏らしてもおかしくない状況ですが、本人はあまりピンと来てない様子でしたw
    だれかの付き添いで来てたのかな?それとももう漏れちゃってて身動きがとれなかったのかな?
    まぁ後者でしょう。

    曲が終わるとジャレッドは懲りずにもう一人ステージ上にw。
    ジャレッド:「What's your name ?」
    アホお客さん:「Yes?」
    ジャレッド:「Where are you from?」
    バカお客さん:「Yeah!!」
    ジャレッド:苦笑い
    このやりとりはかなりおもろかったwww
    しかし2年前にも同じようなやりとりあったなぁw 
    音楽性はめちゃくちゃ進化してるのにMCが全く進化してないw!
    何かやって欲しい曲はあるかときいても「Yeah!!」しか返って来ないので、
    普通に定番の「The Kill (Bury Me) 」「Alibi」をアコースティックでやってくれました。
    The Killもみんな歌えててスゴく良かった!!みんな「Bury Me!! Bury Me!!」って大声で歌ってたので埋めて欲しかったんだと思います!!
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    このときステージに上げたのは最終的に3人でした。
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    でもこれを至近距離で見れるなら恥かいてもいいなw

    いよいよライブも終盤です!
    待ってましたよこの曲を!誰もが大好き「Closer to the Edge」!!
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    「NO! NO! NO!」
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    「NO!!!!!!!!!」
    やっぱりみんな声出てるよ!!超かっこいい!!
    思いっきり拳を突き上げて、何度も何度も力強く拒否ってました!!
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    「NO!NO!NO! NO!!!!!!!!」

    お次ぎは「Kings & Queens」!!
    以前のライブではラストを飾る定番曲でした!もうキラーチューンの嵐だな!!
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    この照明!!PVのまんまですやん!!鳥肌立った!!
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    今回のライブの何がよかったかって、ジャレッドが結構ちゃんと歌ってくれたってのももちろんあるんですが、
    一夜限り&LIQUIDROOM(キャパ1000人ちょい)の効果か、お客さんがみんなかなり聴き込んでるファンばっかりだった(たぶん)ところも大きかったと思います。しかも小さいライブハウスだからコーラスがでかいしよく通るし歌えてるしでもう完璧でした。
    観客参加型ライブだということをみんなわかっていて、その上でこのプレミアムなライブを最高のものにしようという積極的な姿勢があったように自分は感じました。

    特にKings & Queensの「オォーオォーオォー」のコーラスなんかホント素晴らしくて、この曲って最後はコーラスだけになるんですけど、最後にジャレッドが歌い終わって「アリガトウ」って言って拍手が起こったあともキレイに最後まで続いてもう鳥肌ものでした。
    ジャレッドも「Beautiful!!ここはおれたちにとって最近では一番小さい会場だけど、ライブは最近で一番ビッグなライブだ!!」(たぶんこんな感じであってるはずw)って言ってくれてもう感激でした。
    ※動画がUPされてたので貼っておきます!
    こちらもHD画質です!UPしてくれた人ありがとう!


    うおぉ!ほら!!やっぱ動画で見ても最後の部分は鳥肌モノでしょ!Beautifull!!!!!

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    前の人がトライアド作ってたのでカメラ構えたらオートフォーカス時の補助光に気付いてキープしてくれたっぽくて、良い写真が撮れました。誰か知らんが見事なトライアドをありがとう。

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    メンバーの良い表情の写真。
    最後のMCで「英語を話せる人はいる?ガイジン?」とかって聞いて、右上の写真の女性をステージ上にあげて日本語に通訳してもらってました。
    そのときに他のガイジン女性が「Jared!!」って叫んでジャレッドは「Yes?」って笑顔で答えてました。最初は...。
    そのあと何度もそのガイジン女性の声で「Jared!!」「Jared!!!!」って聞こえて、ジャレッドはついに「Shut up!」って言い出してwこのやりとりもかなりおもしろかったです。

    そのあとはお決まりのラスト。「You!! You! You! Yes You!!」とお客さんを指差してステージ上にどんどん上げていきます。
    あれは結局選ばれた人かどうかはわかんないので行ったもん勝ちなんですよねw
    自分も行きたかったけど、もう少し前じゃないと無理でしたね。
    そしてラストは新たなキラーチューン。「UP IN THE AIR」!!
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    やっぱ「Up in the Air」はキラーチューン過ぎますね!!やばい!!
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    そしてラストコーラス前でお決まりのストップ &「Get down. Get down.」 
    お客さんをしゃがませて、、、溜めて溜めて、、、
    ワァン!トゥー!! 1!2!!3!!!4!!!! 
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    「Take No More!!!!!!!!!!!!!!!!!」
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    「I'll Take No More!!!!!!!!!!!!! 」
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    いやー、最高のライブでした。
    ありがとう30 Seconds to Mars。

    ここで使った写真も含めてFlickrにUPしてあるので、よかったら覗いてみて下さい。
    30 Seconds to Mars@恵比寿LIQUIDROOM
    でもあんまうまく撮れなかったなぁ。カメラ初心者だし、結構前にいたし、手が邪魔だし、めっちゃぶれるし、ていうかおれもジャンプしたいしw
    ってな感じで上手く撮れてはいないので、そんな期待しないで見てやって下さいw。

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    テーマ : LIVE、イベント    ジャンル : 音楽

    Category: 映画 > 娯楽映画、劇映画、シネコン   Tags: 映画レビュー  映画音響  

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    『終戦のエンペラー』@立川シネマシティ

    今日は前回の記事『風立ちぬ』@立川シネマツーに続いて、
    立川シネマシティで観た『終戦のエンペラー』について書いていきます。

    都内初のシネコンで、都内初のTHX認定館を持つという歴史ある立川シネマシティ。
    シネマ・ツーとは違う建物ですが、徒歩数分の距離です。



    チケット売り場は一階の外に面した場所に! 掲示板なども歴史を感じる作りとなっています。

    下に貼ったリンクを見てもらうとわかるんですが、シネマシティはf~K studioの全6スクリーン全てで、作りや構造・音響設備などが異なっています。
    シネマシティ シアター紹介
    有名なのは都内初のTHX認定館で、いまだにTHX認定館の中でもかなりの高評価を得ているg studioですね。使用スピーカーはJBLです。
    もう一つ特徴的なのが一番小さいj studioで、ここもJBLのスピーカーを使用していて音響設備も「JBLサウンド」というものになっています。どんな音がするのかいつか行ってみたいですね。まぁなんとなく予想はつきますがw
    他のスクリーンは全て「KICリアルサウンド アナログ」という独自の音響規格です。スピーカーはMeyer社製です。
    昔は違う音響設備だったそうですがシネマツーの「KICリアルサウンド」ができてから「KICリアルサウンド アナログ」というものに変わったようですね。

    KICリアルサウンドアナログのプレート。
    自分が今回行ってきたのは「k studio」です。
    音を聴いてみたいのは断然g studioやf studioなんですが、見たい映画がやってなかったんですw。
    見たくもない映画を音響の為だけに見る程のマニアではないw。あくまで映画がメインです。


    k studioの内装です(写真がウンコでごめんなさい)
    小さめのスクリーンに、背もたれが木製の椅子(ちゃんとクッションは貼り付いてます)が横長に並んでいます。

    ++++音について++++

    一言で言えば「KICリアルサウンド アナログ」な音ですw
    迫力や重低音はなく音量も抑えめです。
    しかし、鳥の鳴き声などの細かい音の解像度や定位は非常に優れています。
    繊細な表現力があり、明瞭でありながらも「アナログ」という名にふさわしい角の取れた優しい音です。
    セリフも自然で聞き取りやすいです。

    これは明らかに客層や上映する映画に合わせた音響であり、
    シネマツーの「KICリアルサウンド」以上に特殊で個性的な音響であると思います。
    シネマシティーで上映している映画は、アニメや特撮モノだったり、邦画だったり、洋画でもややマイナーだったりB級映画だったりで、
    それを見に来る客層も、子供だったり年配の方が多いため、こういう音響にたどり着いたんだと思います。
    自分も『終戦のエンペラー』を見たとき、周りはジジイとばばあご年配の方ばかりでした。

    通常の映画音響とはだいぶ異なるので、ド迫力な爆音や重低音が好きな人は注意が必要かなと思います。
    見る映画によってもだいぶ違うと思いますね。
    そういう意味では今回見た『終戦のエンペラー』はこの音響に合っていたと思います。
    戦後の日本が舞台なのですが、爆音のシーンや重低音のシーンはほとんど無く、そのかわり非常に日本的な空気感や静けさのある映画で、音楽も含めて「KICリアルサウンド アナログ」にはマッチしていたと思います。

    ++++映像について++++

    前回の記事でも書きましたが、シネマツーのa studioに続き、このシネマシティのk studioでも予告編で「Sony Digital Cinema 4K」のトレーラーが流れて驚きました。
    しかもトレーラーだからサラウンドの音響が素晴らしかったw
    ただ『終戦のエンペラー』はIMDb(世界最大の映画情報サイト)で確認したところ、35mmフィルムで撮影してるのにデジタル処理は2Kだったので残念でした。
    これからは4K配給のある作品ならシネマシティやシネマツーで見たいですね。


    ++++映画について(ネタバレあり)++++

    実はせっかく立川まで来たんだからせめて2本は見たいということで『風立ちぬ』のついでに見たんですがw
    あまり期待してなかったおかげか、割と楽しめました。
    「どーせまた日本がおかしな描き方されるんだろうな」と思ってたんですが、
    アメリカが作った映画とは思えない程に違和感なく見れました。そりゃ多少は違和感ありますがw。
    というのも企画・プロデューサーを『ラストサムライ』などのキャスティングディレクターを務めてきた奈良橋陽子さんが務めたそうで、更に共同プロデューサーとしてゲイリー・フォスターと共に奈良橋さんの息子の野村祐人さんがクレジットされており、日本側の視点が多分に含まれていたみたいです。
    ちなみに奈良橋さんは、劇中に出てくる宮内次官の関屋貞三郎さんの実の孫だそうです。
    だからこそこの映画を企画し、全面的なプロデューサーとして関わり、丁寧に描きたいと思ったのではないでしょうか。
    近衛文麿を通して日本側の主張や西洋諸国の植民地の話などもでてきましたし、アメリカ映画なのに日本に対して柔軟でよかったです。これ「真珠湾の復讐」という単純な解釈が一般的となっているアメリカ人にとっては結構驚いたり考えさせられる内容なんじゃないでしょうか。
    日本の描き方も割と自然に見れて好印象でした。日本のこと、日本人のことをよく理解しているなと思いました。というか日本人の手が大きく加わっているなと感じました。

    しかし、やはり「浅さ」は否めないですね。
    全体的にだいぶ「浅い」です。アメリカで公開する分にはこれで良いかもしれませんが、日本人には浅い内容ですね。
    歴史上重要な登場人物達がたくさん登場しますが、人物描写がすごく甘いですし。
    近衛文麿、木戸幸一、関屋貞三郎、マッカーサーなどに関してはもう少し掘り下げた方が深みが増したのではないかと。東条英機に至っては一言もしゃべりませんからねwww

    そして「浅さ」に一番拍車をかけているのがラブロマンス要素。
    緑の竹が生い茂る山の中で、赤い服着た日本人女性アヤとボナー・フェラーズが「うふふふふ」「あははははー」という悪意すら感じるアホなシーンw あれは違和感爆発の全くいらないシーンでしたw
    あとボナー・フェラーズの立場を全くわきまえない公私混同ぶりwは結構致命的だったんではないかと思います。
    変に歪めちゃってるなという印象が強かったです。

    「天皇の戦争責任」を切り口にボナー・フェラーズを主役として真剣に戦後処理とGHQの統治について描くのであれば、ボナー・フェラーズやマッカーサーの日本に対する理解や平和的な統治に対する考え方、それぞれの思惑や、共産主義に対する懸念、天皇制や日本に対する分析、日本側の主張、連合国軍本部側とGHQ側の対立などの複雑な背景をもっとしっかり描写するべきではなかったかと思います。
    しかし、このラブロマンスのフィクション部分が入った事でボナー・フェラーズの誠実さや統治に対する考えや日本への理解といった部分よりも、結局は「アヤ大好き!だけどやっぱりアヤが好き!!」という部分が前に出まくってしまっていて、かなり安っぽくなってしまっています。
    史実に関してはまだまだ不明な点が多く、議論も続いているとはいえ、
    だからといってラブロマンスを取り入れて王道のエンタメ作品に仕立て、
    全く当たり障りのない描き方をしてしまったのは少し残念でした。
    最初からエンタメ仕立てするつもりだったんでしょうが、それでもリサーチや取材・研究の甘さは否めないですね。

    ただ、逆に王道のエンターテイメントとしてならある程度は楽しめる作品ではあると思います。
    それに、こうしないと売れないんでしょうね。それはわかります。
    平成生まれの自分にとっては知らなかったことも多く、勉強になった部分もあって良かったです。
    日本の戦後処理や日本についてや天皇について、そしてあの戦争についてなど、考えたり知ろうとするきっかけをくれる作品であることは確かで、それは日米双方にとってとても意義のあることだと思います。
    8月上旬の時期にこの映画を見れたことは個人的にはすごく良かったです。
    天皇の最後のシーンなどは、天皇の発言に関して現実には諸説あるみたいですが、単純に感動できる締めとしては良いシーンだったと思います。
    昭和天皇役の片岡孝太郎さんはかなり昭和天皇っぽかったですしw、マッカーサー役のトミー・リー・ジョーンズは顔は全然似てないのにあの圧倒的な存在感とカリスマ性はやっぱりすごいですね。
    しかし『リンカーン』のときのような深みはやはり感じられませんでした。

    まぁ細かい事は気にせず、右だ左だってのは閉まっといて、社会派エンタメ作品として見るべき映画です。
    そう割り切れば割とよくまとまった良い映画だと思いますよ。

    テーマ : 映画館で観た映画    ジャンル : 映画

    Category: 映画 > 娯楽映画、劇映画、シネコン   Tags: 映画レビュー  映画音響  

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    『風立ちぬ』@立川シネマツー

    先日、ずっと行きたかった立川シネマシティとシネマ・ツーに行ってきました。
    東京初のシネコンであり、東京初のTHX認定シアターを持つシネマシティと、
    その音響へのこだわりを受け継ぎ新たに作られた2番館であるシネマ・ツーの音響を体験してきました。

    今日はシネマ・ツーの音響設備などについてと、風立ちぬの感想などを書いていきます。

    外観もおしゃんてぃ。

    『風立ちぬ』を一番大きいa studio(384席)で見てきました。
    シネマ・ツー シアター紹介

    入ってみるとなんだか教会みたいでビックリしましたw
    でも、こういう非日常空間な演出は好きですし、映画館のこだわりが感じられます。
    劇場内だけでなく、ロビーやスロープ、ガラス張りの外観など、全体的に非常にデザイン性の高いおしゃれ映画館です。

    シネマ・ツーの音響は全て「KICリアルサウンド」というオリジナルの音響設備です。
    ちなみに「KIC」というのは、この幻想的な照明などデザイン全般のアートディレクターを務めた海藤 春樹氏、音響システムを開発したサウンド・スペース・コンポーザーの井出 祐昭氏、 そしてCinemaCityの頭文字をそれぞれ取って名付けられているそうです。
    [井出氏による「KICリアルサウンド」についての説明]

    特徴は、
    ・通常の映画館とは全く違う、独自の新しい音響設備であるということ。
    ・スピーカー(センタースピーカー以外)がむき出しになっていること。
    ※スピーカーは通常はスクリーンの裏や壁の内側などに隠すが、本来ならば遮蔽物はできるだけない方が音響的には好ましい。これはオーディオの世界では常識ですね。
    ・また、スクリーンも壁面ではなく宙づり状態での設置になっている。
    ・床も壁も吸音していない(!)壁が斜めに傾いていて、反射させた音を天井の吸音材で吸音している。
    吸音設備を最小限に抑えることで、より自然な音と豊かで広がりのある響きを可能にしている。
    ・使用しているスピーカーが映画館用ではない。ライブ会場やコンサートホールなどで使用されるスピーカーを使用、さらにその中でもハイクオリティで高価なアメリカのMeyer社製のスピーカーを採用。
    ※ちなみにMeyer社はTHX認定を受けているシネマ用スピーカーシステムも販売しているようなのですがMeyer Sound Products (CINEMA EXPERIENCE SERIES)
    ここで採用しているのはPA用のスピーカーということで、一体どこまでこだわるんだという感じですwww
    ・トータルとして目指したのは、スタジオで作ってるときの音をそのまま再現すること。だからPA用のモニター的な音を求めたみたいですね。

    うーむ、こだわりっぷりが尋常じゃないですねw
    映画(映画館)への愛を感じます。

    ※スマホのカメラがうんこなので全然見えませんが(「おれのニコン」は遠いし雨予報だったので持って行きませんでした。思いっきり快晴でしたけどw ごめんなさいw)
    スクリーンが宙づりになっていて、左右のフロントスピーカーも同軸状に宙づりになっている。好ましいセッティングですね。


    ウーファーもむき出しの丸見え。センタースピーカーのみスクリーンの裏側に設置。
    普通の映画館ではカーテンや壁で隠されているスクリーンの下や裏側などがいろいろとむき出しになっていて、無骨な感じがスゴく気に入りましたw

    ++++音について++++


    まず予告編!ド肝を抜かれました。
    マン・オブ・スティールやパシフィック・リムの予告だったんですが、爆発音や重低音の響き方や広がり具合が尋常じゃなかったです。
    映画館的な音では全くない!
    他にもいくつか音響のいい映画館には行った事がありますが、どこも「映画館の音」の延長線上にある良い音響なのに対し、ここの音響は全くの別物という感じでした。
    通常の映画館とは全く違う独自の音響設備とはいえ、ここまで違うとは。
    非常に明瞭かつド迫力、破綻も一切なく、広大な空間を感じる豊かな響きを誇っています。
    それでいて非常に自然な鳴り方をしていると感じました。
    通常の映画館の音というのは、どこか不自然さというか窮屈さというか、非現実感の伴う、こもり気味の音であるように感じていましたが、ここではそれを感じませんでした。
    高音域もしっかりと響いてきて、非常に抜けの良い音でした。
    スピーカーの違いもあるでしょうが、個人的には吸音設備を最小限に抑えていることが、かなり効果的に働いているのだと思います。スピーカーむき出しというのも大きいのでしょうね。
    サラウンドスピーカーもパワーのあるスピーカーで、広がりのある豊かな響きと相まってかなり強いサラウンド効果を感じました。

    しかし本編が始まってからは、爆音やサラウンド効果は聴けません。
    というのも『風立ちぬ』では、効果音はほとんど全て人の声!!(戦闘機も、汽車も、地震も!!)
    しかも全てモノラル録音!!
    ななななんてこっちゃ!!ものすごいこだわりっぷりです!!

    でも..、さ、サラウンド関係ねぇwww!!

    使われるのは唯一スクリーン裏にあるセンタースピーカーのみで他のスピーカーは飾りと化ぁすwwwwww!!!!

    スピーカーがむき出しとか、サラウンド効果がどうとか言ってたのに、唯一スクリーン裏に設置されているセンタースピーカーしか鳴っていないという、なかなかアリエンティな展開に...。

    ジブリの映画はモノラル録音でつくった『風の谷のナウシカ』以降、本物の音にこだわるあまり音響技術がエスカレートしてきたが、『風立ちぬ』では原点に立ち返りモノラル録音に。

    鈴木プロデューサー:「本物の音を再現することにどれだけの意味があるのか。大事なのはそれらしく聞こえること。そうしたら宮さん(宮崎監督)が声で効果音をやろうって言うから、賛成したんです。」

    ということらしいです。
    まぁ、確かにその通りですね。
    「本物の音を再現する事にどれだけの意味があるのか。」というのはアニメの音響に真摯に向き合い続けてきたジブリらしい重要な気付きであると思います。
    モノラルにしたのも5.1chだと何でも詰め込めちゃうかららしいですね。久石譲さんにも監督から「音楽はできるだけ、そぎ落としたシンプルなものを」という注文があったようです。
    実は自分はこれを知らずに見に行ったんですが(知ってたら多分立川まで行ってないw)、モノラルであるというのはすぐにわかりました。そして最初は愕然としましたw
    あと効果音が人の声だったというのは後で知って驚愕しましたがwww
    でも、アニメ映画ならではの考え方ではありますが、モノラルや人の声というのはいいかも知れませんね。
    単音源で音量も大きくないため自然に耳を澄ますようになるんです。まさに「耳をすませば」です。
    そしてモノラルといえど、その効果音や音楽は徹底的にこだわりをもって作られている事に気がつきます。
    臨場感や立体感というのは当然モノラルにはありませんが、こと音質という点に関してはステレオだろうがモノラルだろうが変わりありません。サラウンドではないため音が鳴っている一カ所に意識が自然と集中し、耳をすませば、そこから聞こえてくる音は強いこだわりをもって作られた自然で良質な効果音と音楽でした。
    作品にもとてもマッチしていると思います。
    大友克洋監督最新作のオムニバス映画『SHORT PEACE』はサラウンドや音響効果の作り込み、音とCGとの親和性が素晴らしかったですが、あれはああいう作品だからこそなんです。
    逆に『風立ちぬ』という作品にはモノラルがマッチしているんです。
    ただ、音響を期待してわざわざ遠出して行ったので、まさかモノラルだったとはwww チェック不足は否めないw
    しかし、さすがはMeyer社製のセンタースピーカーです!!(←半分ヤケw)
    でもこれはほんとですよ。モノラルであるからこそ、一つの音に対して集中するのであって、その集中にしっかりと答えてくれる良いスピーカーでした。
    人の声であると教えられるまで気がつかない程に作り込まれた効果音はもちろん、久石譲さんによる音楽も素晴らしかったです。
    メインのテーマ曲「旅路」はロシアの弦楽器「アルトバラライカ」の優しく美しい主旋律をロシアのアコーディオン「バヤン」が支える素晴らしい曲となっていますし、他の曲も少数編成だったり落ちついた曲調だったりとモノラルを意識した作りとなっていました。
    そして最後のユーミンのひこうき雲も当然モノラル。しかもLPレコード音源なのですが、これが非常に素晴らしい。
    針を落とす音から入っていて、LPならではの質感や温かみが感じられ、それでいて非常に説得力のある歌声が響き渡る。涙無しには見られません。いつものごとく自分は泣かなかったけれどw 感動しました!

    まぁ、とはいえ、次に立川にいくときはハリウッド仕込みのサラウンドに凝った作品を見に行きますがwww
    予告編でちらっと見せた、豊かで広がりのある響きやサラウンド効果を全編通してじっくり聴きに行きますけどねwww ちくしょうw


    ++++映像について++++

    映画音響マニアの人はあまり触れないこともあるんですが、映画館において映像というものは非常に重要な要素です。
    まぁ、映像ありきのものなので当たり前なんですがw 当たり前すぎて逆にないがしろになりがちだったりします。
    例えば映画館でも音響が非常に優れていても映像はDLPプロジェクターによる2K上映だったり、逆にソニーデジタルシネマの4K画質なのに音響はごく普通といったこともあります。
    その点、この立川シネマシティとシネマツーは素晴らしいです。
    音響にこだわっている映画館として有名なので音響のことばかり気にしていましたが、
    予告で「Sony Digital Cinema 4K」のトレーラーが流れて驚きました。
    しかもシネマシティのk studioでもSony Digital Cinema 4Kを導入していたので、
    もしかしたらシティもツーも全館に導入しているのかもしれません。それは確認しないとわかりませんが。
    特にa studioの384席と一番大きいメインのシアターで4K上映を可能にしているのは素晴らしいです。
    4Kは大画面でこそ生きるのですが、設備投資の問題からなのかランディングコストの問題からなのか映画館によっては4Kなのにスクリーンは小さめで、大きいスクリーンは2Kのままということも少なくありませんので。
    (※設備は4K対応でも、作品が4K規格で配給されていないと2Kでの上映となります。風立ちぬはアニメなので2Kだと思います。洋画だと35mmフィルムで撮影する監督が少なくないですが、35mmフィルムは4K相当なので4Kデジタルでの配給がされている場合が多いようです。)

    それにしても、スクリーンも比較的大きめ、独自の音響設備は文句無しに素晴らしい、映像も4Kに対応。という立川シネマツーのa studioは本当に素晴らしいですね。


    ++++風立ちぬの感想(ネタバレを含みます)++++


    見始めてまず驚いたのはやはり背景などの作画ですね。
    草や木、川、空と雲、色彩と描き込みがハンパ無いです。
    特に草や木の色彩や質感といったらもう、なにこれ!?って感じです。

    他にも、機関車の窓から見える鏡のような水面や、そこに映り込む光。
    木造の建築物の質感や、奥行きのある立体表現。
    一人一人に表情と動きのある群衆。
    メイキングがめっちゃ見たいです。そして原画が見たいです。というか欲しいですw

    関東大震災のシーンのアニメならではのうねるような巨大な揺れの表現もすごかったですね。
    ちなみにあのシーンの絵コンテは3.11直前の3.10に完成したそうで、監督はこのまま出して良いか迷ったそうです。それに対して鈴木プロデューサーは、

    「映画は時代の産物だし、映画が時代をつくることもある。だからといって、そのことにとらわれすぎるのはおかしい」と変更に反対した

    そうです。 なるほど~。
    しかし3.11以前にあれだけのアニメ的描写力とリアリティを兼ね備えた震災のシーンを描いてしまうとは恐ろしい。
    「機関車が爆発するぞ!」というデマが飛び交い、パニックになり皆が我先にと逃げ惑うシーンなどは、ハッとさせられました。


    ストーリーは大人向けと言われていますが、子供でも見れば、わからないなりに確実に何かを感じ取り、何かが心に残り、大人になって忘れた頃に見返すと、それが蘇って鮮やかに色づくような、そんな作品でもあると思います。
    大人は当然楽しめますし、全編を通してメッセージ性の強さや示唆の豊富さ、ラストシーンの強力なメッセージに
    感動すること間違いなしです。
    何やら賛否両論激しいようで、酷評も多々見かけますが、酷評している人の意見を読むとちゃんと映画を咀嚼していないように感じます。
    ジブリの今までのファンタジー作品がそうだったように、わかりやすさを求めてしまっているのでしょうが、この映画はそういう映画ではありません。
    この映画は、行間を読み、ひとつひとつのシーンを解き、登場人物の行動の意味を考え、観終わった後に振り返って咀嚼すべき映画です。
    そして、じわじわと理解や解釈が深まると同時に観終わった後も自分の中で成長していく映画です。そしてふと、もう一度見たくなってしまう。 良い映画とはそういうものです。
    全てを説明してしまうわかりやすい映画ばかりになってしまったせいか、そういうことをしなくなってしまう人が多くなってしまったようで残念ですが、ここにきてジブリのあの宮崎駿監督がこういう映画を作ったというのはすごいことですね。敬意を表します。

    実在の人物をモデルにしたという事や、昭和初期の震災・戦争・貧困という激動の時代の日本を描いているということ、戦闘機の設計をするエンジニアを題材にしていることなども大きく作用して、ファンタジーでは表せないとてもリアルで強烈なメッセージ性を帯びています。
    そのメッセージとはポスターにもある「生きねば。」というもの。
    そのシンプルなメッセージが、映画を通して伝えられることによって、非常に深く、重みと現実味を帯びて、受け取り手によって様々な意味と解釈を含む、「生きねば。」になるのです。

    そもそも映画に対して、「何を言いたかったのか」という問いはうんこクエスチョンなわけです。
    それが言葉にできるなら映画なんて作らないんです。
    この映画では、非常に複雑な時代背景や、菜穂子の病気や、二郎の仕事と夢、それらが絡み合うことで、言葉では表せないほどに深く広い意味を持った、それでいてただただ前向きな「生きねば。」に集約するのです。
    映画としてはだいぶわかりやすくて親切なほうだと思います。
    これを「難しい」「つまんなかった」「何が言いたかったの?」とか言ってしまうようでは、とてもじゃないけど想田監督の観察映画なんて見せられないじゃないですかwww
    いっこ前の記事→観察映画『選挙2』の観察

    別に語る言葉は持たなくてもいいんです。
    自分は自己満でずらずらだらだらとつまんねー感想や解釈を書いてますが、映画を見終わった直後はだいぶボケーっとしてますwww
    良い映画を見終わった後はいつもそうです。理解が追いつかないんです。
    それでも映画を見て直接的に何かを感じ取っている。だからラストで感動したり、ユーミンの歌で涙を流したりするんです。でもその「何か」はすぐにはわからない。いつまでたっても言葉にできないことだってある。でもそれでいいんです。
    だから『風立ちぬ』を見て「上手く感想は言えないけど感動した。」「わからない部分もあったけど最後はジーンときた。」という人はそれで良いんだと思います。
    言葉では表せない複雑なものを、映画を通して確かに受け取れているはずです。輪郭は掴めなくても「何か」を受け取ったということが重要で、それこそが良い映画の持つ力です。
    見終わって「ああ〜楽しかった!」という感想しか出てこずにその瞬間に自分の中で完結してしまうような映画は
    下痢グソ映画です。ブバババッー!っと出してクイッ!っとひねってジャーッ!!っと流しておしまいです。何にも残りません。くさいニオイだけが残りますw

    まぁ自分は自己満でこれを書いてるので、いまから自分が受け取ったものについてだらだらと文字にしてみようと書いていきますけどねw
    自分の解釈では、「生きねば。」とは、ただメシ食ってクソして寝るだけの「生きる」ではなく、自分の人生を「生きねば。」ということだと思います。ひとりひとり、それぞれ自分の信じる道を、懸命に。
    それがたとえ、どんな時代のどんな状況下においても。
    だから、菜穂子は山から下りてきたし、最後は山に帰って行くんです。
    だから菜穂子は手を握ったまま、二郎にタバコを吸わせるんです。
    それがあの状況下での菜穂子にとって「自分の人生を懸命に生きる」ということなんです。泣けますね。
    二郎もカプローニの言う「想像的人生の持ち時間」の10年を懸命に生きるのです。
    エンジニアとして美しい飛行機を作るために、今を懸命に生きるのです。
    だから、遅く帰ってくるし、帰ってからも菜穂子の手を握りながらも仕事をするのです。
    それがあの状況下のあの時代背景での設計者としての二郎にとって「懸命に生きる」ということなんです。切ないですね。

    その「結果として」零戦が戦争の道具となってしまうことから、反戦のメッセージが弱いとか、好戦映画だとか、戦争のシーンがほとんど無いとか、ガヤガヤ言われてますが、そういうことを言う人はそもそものテーマを読み違えているのです。

    ひとりの人間として、ひとりのエンジニアとして、あの時代を懸命に生きて夢を実現させたということが重要なのであって、
    その零戦が戦争の道具として使われたことは、また別の問題です。
    まぁ、目の前のことに没頭し今を生きるということを、零戦の設計者という視点で描いているからこその複雑性によって解釈が難しい部分も確かにありますが、そこが上手いところでもあり、映画的なおもしろさであり、なにより監督が今描くべきだと思った部分でもあると思います。
    しかしながら、二郎や本庄を通して、その矛盾に対する葛藤や、ラストの「一機も帰ってこなかった」という言葉からは、ソフトではありながらも、戦争の愚かしさに対する明確な姿勢をしっかりと描いていることが伺えます。
    これは、メインのテーマから考えれば十分すぎる程の描写で、そこに監督の政治的な意志や時代のうねりに対する警鐘のようなものも同時に感じ取れました。
    いろんなところで「監督が作りたくて作ったのではないか」という意見も目にします。自分もそういう部分はあるだろうと思います。しかし同時に監督の中には「いま作らねばならない」という部分もあったのではないでしょうか。
    劇中で描かれる昭和初期の時代。震災・不況・貧困・戦争。
    いまの日本の状況ともかなり近いものがあります。自分はそこに監督の意志を感じました。
    しかし、それを描いておきながらも、メッセージはつまらない反戦でも権力批判でもなく、あくまで個々人に向けた「生きねば。」であり、
    再び激動の時代に揉まれながらも前を向いて生きようとする我々ひとりひとりの背中を、力強く押して大空に飛び立たせてくれるのです。

    実に深みのある、素晴らしい映画でした。


    ++++キャスティング++++


    ちなみにエヴァの監督の庵野さんが主役の二郎の声をやっていますが、こちらも色々言われていますw
    それについてはいろんなレビューを読んでみて下さいw。
    自分としては、「牛ガイル(棒読み)」など吹き出しそうになるシーンもありましたがwww
    声は二郎のキャラクターにすごく合っていたと思います。あと、棒読み加減がなぜかマッチしていると感じるシーンもありましたね。そこを高く評価している方もいるようです。良くも悪くもとにかく耳に残りました。
    しかしながら個人的な感覚では結構ATフィールド全開な感じの印象でしたねw
    庵野さんも「恥ずかしい」とか「次からは役者にもっと優しくしようと思った」とか言ってるしw
    それでも「逃げちゃダメだ!」ってな感じで逃げなかった庵野さんは偉いと思います。

    ちなみに、庵野さんはやはり監督としての血が騒ぐのか、映像を見ていると修正を加えたくなってしまうようでw
    宮崎駿監督が「庵野が下にいていろいろ言うもんだから『下の監督』と呼んでいたが、そのうち『中の監督』になり、最後には『上の監督』になってしまい、いろいろおせっかいと助言を受けました(笑)」と語っています。
    中でも庵野さんの助言によるラストシーンのセリフ変更は作品の意味すら決定づける重大な変更ですw
    当初は、二郎の夢に出てくる菜穂子のセリフは「きて」と2回繰り返すものだったそうで、庵野さんは「何じゃこりゃ!?」と思ったそうです。「これだと死んで終わりみたいになっちゃう。」と。
    そして最終的には菜穂子のセリフは「生きて」に変更され、カプローニの「君は生きねばならん」というセリフが加えられたそうです。
    意味が真逆になってますやん!(冷や汗)
    危ないとこやった。この功績だけでも庵野さんを二郎役に起用した意味はあったと、綾波の盾ばりに彼を擁護したいw。
    「あなたは叩かれないわ、わたしが守るもの。」

    ...だめだやっぱり守りきれないぃぃぃwww すぐに盾溶けちゃうwww!!

    滝本美織さんは及第点の演技でした。かわいらしい声ですよね。
    西島秀俊さん(本庄役)はさすがに安心して聴けますね。しっかりと本庄の役が出来上がってました。
    本庄はだいぶズカズカしてるキャラクターで結構好きですねw。

    ◆P.S◆
    メイキングが見たいと書きましたが、なんとドキュメンタリー映画として今秋に見れそうですよ!
    実父が余命宣告後に死に支度をする様を追って大きな話題となった『エンディングノート』の砂田麻美監督が、なんと新作としてジブリの舞台裏を追ったドキュメンタリー映画『夢と狂気の王国』を製作中で、今年の秋に公開予定だそうです!これは絶対見なければ!!
    まだ予告編はできてないみたいですが、TVで一部が公開されたものがありました。ちょうど庵野さんを主役に決めるまでの経緯のシーンで、めちゃくちゃおもしろいですw 公開が待ち遠しい!

    テーマ : 映画館で観た映画    ジャンル : 映画

    Category: 映画 > ドキュメンタリー、ミニシアター   Tags: 映画レビュー  

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    観察映画『選挙2』の観察

    7/19にステキミニシアターのイメージフォーラムに想田和弘監督の最新作『選挙2』を観に行ってきました。
    参院選の投票前になんとか観たいと思っていたので、ギリギリ観れてよかったです。

    おしゃんてぃな外観ですよねw 
    イメフォはよく行くんですが良質な映画をかけてくれるオススメのミニシアターですよ。
    想田監督との結びつきも強いみたいですね。

    もう結構な有名人になられたので説明不要かとも思いますが、知らない人のために簡単に説明すると、
    想田和弘監督は、ドキュメンタリー映画界では世界的に高く評価されている監督で、ナレーション・テロップ・台本・BGMなどを一切排し、被写体をただただ観察するという「観察映画」という手法を提唱・実践されている監督です。
    『いのちの食べかた』『眠れぬ夜の仕事図鑑』のニコラウス・ゲイハルター監督の手法にも近いものがありますね。
    もとはドキュメンタリー界の巨匠フレデリック・ワイズマン監督を習ってのことらしいのですが、自分はまだワイズマン監督の作品は観た事がないので、いつか観てみたいです。

    近年では想田監督はTwitterやブログや誌面などで積極的に自身の政治的な主張を発しているので、そっちで知った方も多いかと。自分もよくRTさせてもらってますw。
    そういった自身の主義主張をはっきりするところも、リベラルな主張やそのバランス感覚も、もちろん映画の素晴らしさも含めて、いまの日本において数少ない尊敬できるお方だと思います。
       
    ここに貼った3作品と昨年同時公開された『演劇1』『演劇2』が想田監督の過去作品となりますが、さすがに輝かしいですね。ここまで成功してるドキュメンタリー監督って日本では稀じゃないでしょうか。

    『選挙2』の前作となる『選挙』では、想田監督の東大時代の友人の山さんこと山内和彦さんが、ひょんなことから小泉自民党の公認候補となり川崎市議会議員補欠選挙に立候補し、党の強力な組織力と徹底的なドブ板選挙によって見事に初当選する様子を観察し、日本の選挙のおかしさや民主主義の実像を見事にあぶり出すことに成功しています。
    この『選挙』を観てから『選挙2』を見た方がより楽しめるし発見も多いと思うので、未見の方はぜひ『選挙』も見てみて下さい。いまならイメフォで8/16まで公開してるみたいですよ!http://www.imageforum.co.jp/theatre/

    そして『選挙2』では、政治からしばらく離れていた山さんが、3.11後に再び川崎市議会議員選挙に完全無所属で脱原発を掲げて怒りの再出馬!
    前回とは打って変わって、組織もカネも選挙カーも事務所も用意せず、タスキや握手も封印!
    選挙費用はポスターとハガキの印刷代として8万4720円のみ!!という極端な変貌ぶり!
    これはおもしろくないわけがない!笑 ということで前置きが長くなりましたが、以下レビューを書いていきます。


    ++++レビュー、というか観察して自分なりに発見したこと++++

    映画を見始めて(いや、たぶん見始める前の予告の情報の時点からすでに)山さんに親近感(または安心感)が沸いてきて、観察する視線が好意的になっていたと思う。
    『選挙』を観たのはずいぶん前なのであまり詳細に覚えているわけではないが、『選挙』のときは自分は山さんを好意的には観れていなかったと思う。それは『選挙』での山さんが自民党の組織力の下で徹底的なドブ板選挙を繰り広げていたからだろう。名前を連呼し、おじぎし、握手を求め、「改革を進めます」しか言わないw。まるでピエロだw。
    その光景がとても奇妙で滑稽で、おかしかった。
    それを「滑稽」「おかしい」と思う感覚は、あの映画を観た多くの人が共有してると思うし、あの映画が高く評価された所以でもあるだろう。
    そして、この『選挙2』では山さんはもちろん、全登場人物・全編を通してその『選挙』を観たときの日本のおかしな選挙に対する「普通の感覚」が通底しているのだ。
    ここがこの映画の非常におもしろい点。
    『選挙』で想田監督があぶり出してみせた日本の選挙や民主主義のおかしさに、『選挙2』では観客も登場人物の政治家さん達も(同じ川崎市議会議員選挙だということも大きいと思う)、気付き、認識し、意識し、おかしい(または恥ずかしい)、という感覚を共有してしまっているのだ。
    明らかに、前作『選挙』が今作に多大な影響を及ぼしており、それは被写体にも撮影者である想田監督自身にも及んでいて、「観察」行為そのものにまで影響を及ぼしている。
    これについてはあとで詳しく書いてみたいと思う。

    つまり最初に書いた「山さんに対する親近感(または安心感)」は山さんが初めから『選挙』での選挙を反省・否定し、「普通の感覚」を持って今回の選挙に望んでいるという点からきているんだと思う。
    それはつまり、有権者(普通の感覚の人々)との距離が近いという事でもある。
    それは山さんの政策「脱原発」「子供にツケをまわさない」などにもあらわれている。言うなれば「価値観」そのものが一般市民と近づいたのだ。(自分はここまで言ってしまって差し支えないと思うが...どうだろうw)

    ただ、ここでもう一つおもしろいのが、最初に書いたように山さんに対して「親近感または安心感」は確かにあり、『選挙』のときよりはるかに好意的に観れているのだが、それでも『選挙』とはまた違った形で、山さんの行動や考えが、おかしくも見えるのだwww
    彼はどこまで行ってもピエロなのかwwwwwOrz
    なんというか、極端すぎるんだよねw 前回の反省の根拠や価値観は共有できていても、それに対する山さんの回答が極端過ぎて、またおかしいwww なんか...愛すべき主人公ですねwww
    選挙ポスターは『選挙』のジャケットのパクリだしwww それを撮る想田監督は笑ってるしwww

    まぁとにかく山さんは、方法や行動は理解できない部分もあるがw 選挙に対する感覚は普通の人に近い。
    「なんであんなことをするんだろう」「握手されたからって投票しないでしょ」「なんで原発の事を誰も言わないんだ」
    その山さんを出発点として、他の候補の選挙活動も想田監督がカメラに収めていくのだが、それぞれの候補者のカメラ(想田監督)に対する反応を見ると、選挙活動からはわからないその候補の実像や選挙に対する考え方や有権者との距離が見事に浮き彫りになるのだ。

    ある候補はカメラに向かって「政策を主張したくても法律上できなくなっているんです。だからこうしてただ挨拶をして名前を連呼するしかないんです。本当はこんな選挙やりたくないんです。」と言い訳をかましてみたりw
    ある候補は「『精神』っていう映画好きでした」と言ってくれたりw
    ある候補は笑顔で手を振りながら「あ、また映画にするの?山内君によろしく」と言ってきたりw

    そしてこの映画の大きな見せ場でもある自民党の浅野市議や持田県議との一悶着のシーン。
    浅野市議の選挙運動員に「通行の邪魔になるので撮らないで下さい」「社会人としてどうなんですか?」とか言われるwww
    想田監督も全く引かない「え、どこが通行の邪魔になってるんですか?(学生が運動員を避けて通って)あなたの方が邪魔になってるじゃないですか(笑)」とかwww
    見ててヒヤヒヤするw
    そのあとの持田県議とのシーンもおもしろい。数日前は笑顔でカメラに写っていたのに、ここまで変わるのかというくらい豹変してカメラに敵意を剥き出しにしてくる。「いいんですか?」「問題になりますよ」と。もはや脅しだ。

    この一連のシーンを見て思い出したyoutube動画がある。
    映画の話からは少しそれるが、つい先日の参議院選の東京選挙区の候補に一般人の方が取材をしてみた結果が公開されている。記事→参院選東京選挙区の候補者にアポなしで聞いてみた【動画】【候補者の動き】
    遊説中や事務所の中で直接候補者と会えてすんなり取材に成功していたり、
    共産党の吉良よし子氏や山本太郎氏は忙しいながらも事務所のスタッフが撮影者と何度か連絡を取り合ってくれて、直接取材に成功していたりする。
    その中でおもしろいのが自民党の武見氏の事務所スタッフの反応。
    事務所スタッフに趣旨を説明すると「それはやっていいの?」「おっしゃってることの意味が摑めないんだけど」「それをやる意味は?」といったことを言われたそうだw。
    そのあと「3期務めている議員であり取材の場合、マスコミでも書面を出してもらっているので、意図、質問内容、どこに公開するか、などを記した書面を出して欲しい」との指示があり、メールで依頼したが、返答はなくNGだった。とのこと。
    この反応を『選挙2』でのあのシーンを見ながら思い出した。

    どちらの映像も選挙活動からはわからないその人物の実像や有権者との距離感が、撮影されるということに対する反応からだけでも見事に浮き彫りになっている。
    選挙制度や選挙戦に対して一番違和感や恥ずかしさを感じていて、そこに踏み込んで欲しくないのは、その選挙制度を作り上げ当選を重ねてきた自民党議員達なのではないだろうか。
    そして、これからも当選を重ねていくためにもこの愚かな選挙制度は維持されるべき既得権のようなものなのだろう。

    と、そんなことを『選挙2』を観察しながら考えていた。
    候補者達の選挙戦をおもしろがり、日本の選挙の滑稽さに笑い、その制度を作り上げてきた政党の候補者が最もカメラを拒んでいるのを失笑する。
    しかしふと我に返り、その視点が外部からの第三者としての観察でしかなかったということに気付いたとき、この映画は観客にも牙を剥き、笑えない映画に豹変する。
    自分もこの国の有権者のひとりであり、この選挙はまさにいま劇場の外で行われている選挙であり、いまおもしろがって笑いの対象にしていたものは、この国の民主主義そのものだ。そしてそれを許してきたのは、他ならぬ我々有権者でもある。ということに気付いたとき、急に恐ろしくなり戦慄した(想田監督風w)

    この映画は『選挙』の続編であり、カメラが捉えあぶり出しているものも大体同じようなものだったりする。
    しかし、そこで大きな意味を持つ違いが3.11後だという事実だ。これは3.11についての映画でもあるのだ。
    マスクをしている人、ラーメン屋の「当店で使用している水は安全です」的な張り紙、会話に出てくる放射性物質、「節電」の文字、募金箱を持った街頭演説、自粛ムードなど。その違いは映像にも如実に現れている。なにせ撮影は2011年の4月だ。
    そういう小さな変化ははっきりと映像からも読み取れるのに、こと選挙に関しては『選挙』とほぼ同じ問題が浮き彫りになっている。
    政策について語らない。特に原発のことを言ってるのは驚くべき事に山さんひとりだけだ。
    有権者達はそのことに対して、いや、それどころかまず選挙自体にいまだに関心を示さない。
    「やっぱりこの国の選挙はおかしい」と再認識させられると同時に、ひとりの有権者として情けなくなる。

    『選挙2』の観察から得られる最も重大な気付きとは何か。
    それは前作『選挙』を経て、多くの人が日本の選挙に対し同じ気付きを共有し、
    さらにあの3.11を経ているというのに、
    いまも『選挙』のときと本質的になんら変わりのない日本のおかしな選挙と民主主義の実像ではないだろうか。
    時が経っても、問題意識があっても、3.11が起こっても、結局この国は変われていない。という信じがたい事実。
    戦慄せざるをえない。(監督風w)

    ラストシーンでは、山さんが防護服を着て、最初で最後の街頭演説をする。
    「私に投票してくれとは言いません。どうか皆さん、選挙に行って下さい。」と訴える。
    人は全く集まらない。足を止めて聴く人はいない。
    その横では息子の悠くんがカンフーで見えない敵と激戦を繰り広げているwww
    まるで山さんと一緒に闘っているかのよう。
    カメラはしばらくして山さんを映しながら引いて行く。
    駅構内に入るまで引き、雑踏の中に入ると、山さんの声はかき消されてもう届かない。
    山さんの声をかき消したのは、いつもの駅の「日常の音」。

    素晴らしいラストシーンだった。素晴らしいとか言ってらんないんだけどw
    本当に良いラストショット。

    暗転したあとに字幕で選挙結果が映し出され、あの自民党議員達の当選と山さんの落選が知らされる。
    「まぁ、そうだろうね」という落胆と絶望と、この国の有権者の一人としての恥ずかしさを背に劇場を後にした。


    ++++観察映画の進化++++

    この映画を読み解くためには、今までの観察映画全てを見る必要がある。それくらいこの映画は今までの観察映画の方法論や気付きが詰まっていると思う。
    想田監督はまず『選挙』で監督デビューすると同時に「観察映画」というジャンルを作り上げた。
    『選挙』では、想田監督は黒子のようにただただ被写体を観察する。
    透明人間の術を使えるのではないかというくらいの黒子ぶりで、カメラの視点のみに監督を感じる。

    その次の『精神』では、『選挙』で確立した手法を踏まえながらも、想田監督の存在が『選挙』よりも明らかに出ている。
    こらーる岡山の患者さんに話しかけられたり、監督が話を聴いたりしているからだ。
    当然、想田監督の問答や相づちの音声も入っている。
    カメラに向かって良い事を言ってみて、笑って「はいカット!」って言う人まで映ってるwww
    これを想田監督は「参与観察」と呼んでいる。
    そもそも本当に透明人間になれるわけはないし、被写体と撮影者との関係性というものもドキュメンタリーにおいては重要な要素なので、こうなったのは当然とも言えるだろう。

    『Peace』は観察映画では自分が一番好きな映画だ。『選挙』や『精神』が、ある程度は最初から監督の仮説の上に成り立っているのに対し、『Peace』は偶然性が非常に強い。
    そもそも「平和」をテーマとした映画を作れと言われても、仮説なんか立つわけないし、何を撮れば良いのかが明確にわかるわけがないのだ。監督も「ぼくにイラクに行けって言ってるのか(笑)」とか言ってたし、最初は断ろうとしてたそうだ。
    しかし想田監督は何を血迷ったのか猫を撮り始めたwww
    ちなみに猫は想田監督作品には全て出演している。想田監督と猫は、もはやティム・バートンとジョニー・デップの関係だw が、監督は重度の猫アレルギーだそうだwwww
    義父の飼っている(?)猫たちと、義父と義母の福祉の仕事をとにかく観察していく。
    『選挙』や『精神』のように、撮るべきものが明確ではないし、次に何を撮ってどう解釈すれば良いのかもわからない。そんな状況の中で、とにかく目の前のものを撮りまくって観察していく。
    すると、橋本さんとの出会いや、彼の口から発せられる戦争の話。ネコのネクタイ。
    「これだけが楽しみ」と言ってタバコを吸う。その銘柄は「Peace」。しかし橋本さんは肺を患って亡くなってしまう。
    足の悪い猫の背中にはハートマーク。義父の猫達と泥棒猫とのけんか。そして許しと共存。
    偶然が偶然を呼び、出来上がったものは紛れもなく平和についての観察映画。
    この偶然性こそがドキュメンタリーの醍醐味であり、観察映画の最大の魅力だろう。
    監督自身も撮影と観察を通して、新たに発見し気付きを得ているのだ。あらかじめ何かを準備してはこの映画は撮れない。

    そして『演劇1』『演劇2』では、人を観察するということに対して深く踏み込んで行く。
    「人は演じる生き物である」と言う平田オリザ氏と彼の演劇の舞台や舞台裏を観察していくのだが、
    まさにどこからどこまでが演じていて、どこが素なのかがわからない。
    舞台での役者としての完璧な演技、カメラの前で撮られてるという意識の下でのふるまい(演技?)、カメラのないところでも本来「人は演じる生き物である」というオリザ氏の言葉。
    そしてそれを全てひっくるめてカメラで観察しようとする監督。
    そもそも演じるとはなにか、素とはなにか、というか人間って何だ?みたいな迷宮にぶち込まれるwww

    そしてこの『選挙2』は『選挙』の後の同じ選挙区での選挙。『選挙』の影響が色濃く残っていて、『選挙2』の観察の中に『選挙』が前提として含まれている。
    そして当然、想田監督自身の存在も大きな意味を持つようになっていて、今までで一番の「参与観察」にならざるを得ない。想田監督が自分の主張を山さんにはっきり言うシーンまであるし、自民党議員と揉めるシーンは監督の政治的な立場や考え方すら明確にしている。
    登場人物達はみんなカメラが初めてではなく、前作を見ていたりする。それをふまえてカメラの前で演じてみせる。
    「撮られている」「自分はこう映される」という意識下でそれぞれの反応を見せる。
    かといって、それらの全ては狙ったわけでもなんでもない。
    それどころかこの選挙を撮ろうと決めた経緯からして偶然性の塊だ。
    事実、監督は何の選挙活動もしない山さんを前に、「一体何を撮ればいいんだ」と思ったそうだ。
    そして、結論を仮説立てたり、シーンをイメージすることなく、ただただ徹底的に観察してみせる。
    その結果、偶然が重なってあの自民党のシーンやラストショットが生まれている。

    撮影から公開まで2年もあいたのは、監督もこの映像をどう解釈してどう編集すればいいかわからなかったからだそうだ。
    しかし、昨年末の衆議院選挙の結果を受けて、一気にこの映画の形が見えて編集作業を終わらせたそう。
    全てわかったうえで予定調和として映像を撮って作られるTV番組などとは完全に真逆だ。
    監督すら映像の意味を理解できずに、ただただ観察し、やがて発見し、気付きを得る。
    映像に意味を見い出し、作品としてのまとまりを得る。
    すごいとしか言いようがない。これが「観察映画」の現在地か。
    まだまだ先がありそうで恐ろしいな。
    次回作にも期待!!



    (P.S.)
    ++++山さんと想田監督++++

    最後にちょこっと山さんと想田監督について。
    パンフレットのインタビューで想田監督は山さんのことを「『選挙2』での山さんのほうが山さんらしい」というようなことを言っている。
    あっ、『選挙』のあの山さんが変わったというより、むしろこっちが本当の山さんなのかぁと妙に納得した。

    と思えば、山さんはインタビューで「『選挙』のときの想田監督はノンポリの観察者という立場を崩さなかったけど、『選挙2』では前作の影響もあって彼は自分の政治的なスタンスを明示せざるを得なくなった。
    でも大学時代を知っている僕としては“これでこそ想田だよ”と思った。」と語っているwww

    なるほどwww 名コンビな訳だwww

    ちなみに想田監督は「僕がずっと批判してきているマイケル・ムーアに近づいたなぁと思って(笑)」と言っている。
    マイケル・ムーアを尊敬しかけている自分としては(奴を尊敬していると言い切ってしまうと敗北感ハンパ無いので言い切らないようにしているw)、これはちょっと意外な言葉だった。
    まぁ確かに映画の方法論は真逆だし、反発するところもあるだろうけど、、、ずっと批判してたのか。
    マイケル・ムーア嫌いなのかなw。
    でも自分としては、Twitterで積極的に政治的な話題に対して発言して、一貫してリベラルな姿勢を貫いてる想田監督は日本のマイケル・ムーアだと勝手に尊敬していたのでwww 想田監督のこの反応はおもしろいw 
    山さんと同じで、自民党議員と揉めるシーンを見て「それでこそ想田監督だ」って思ってたのでw、
    これからもどんどんマイケル・ムーア的になってもらいたいと思うwww
    ただ観察映画の中ではできる限り冷静な観察者でいて欲しいがw

    テーマ : ドキュメンタリー映画    ジャンル : 映画

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    Sohei.S

    Author:Sohei.S
    多趣味というか関心のあるものが多いので、政治的なことから趣味のことまで、書きたい事はなんでも書いていこうと思います。
    ちなみに主な趣味は映画、音楽、オーディオです。3つとも割とどっぷりいってると思います。あと最近、写真も趣味に加わりました。
    映画は単館系のドキュメンタリーから、シネコンの娯楽映画や映画音響やIMAXの話まで。
    音楽はジャズ/クラシック〜ポストハードコア/メタルコア〜エレクトロニカ/ポストロック/ポストクラシカルまで、かなり雑食にオールジャンル聴いてます。ドラムとパーカッションやってたので演奏や音楽史にも興味あります。あとミックスやマスタリングなどにも興味があります。
    オーディオはポータブルとホームオーディオ両方です。ケーブルとかポタアン自作したりもしてます。
    拍手、ツイート、コメントなど大歓迎です。
    それではよろしくどうぞ〜m(_ _)m。

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