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    あれやこれやのなんやかんや

    多趣味というか関心のあるものが多いので、趣味のことから政治的なことまで書きたいことを書きたいように書いていきます。

    Category: 音楽 > LIVEレポ   Tags: LIVEレポ  

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    Oneohtrix Point Never VS. Patten @代官山UNIT


    ついに!ついに!ついに!!
    ワンおーとりっくすポイントねばぁ~~の初来日公演に行ってきました!!
    しかもゲストはWARPの大型新人ぱてん!!

    こんな、電子音楽と現代音楽の極北のような音楽が前売りでSOLD OUTというのはすごいですね。

    OPNについてはコチラでも書いてるので、いったい何者なんだ?という方は読んでみて下さい。
    極私的今年のアルバムBEST10!!
    ちなみに1位ですw

    物販のTシャツはすぐに売り切れてましたねー。

    自分はLP3枚(オウテカ、OPN、Patten)と、OPNやPattenなどのWARPのアーティストのアートワークを手がけているTim Saccentiという写真家のフォトブックを買い漁りました。げへへ、おかねきえた。
    このフォトブックがおもしろくて、300册限定らしいんですが、表紙の数字の羅列にマーカーを直接引いて通し番号にしてるみたいなんです。帯は広げるとPattenの浮遊写真のポスターになってました。
    中身はというと、なるほどねぇ~wという感じでした。あのOPNの顔の逆さ仮面の写真も入ってました。
    かなり構築的に狙いすましたフォトアートだなぁと思いました。自分には一生撮れなそうな(泣)w 
    写真をアートとして、一から(被写体の時点から)構築できる写真家って強いですね。
    自分は偶然性の芸術や自然を最解釈するような芸術が好きですが、こういうのもいいなと思えました。

    OPNは前作「Replica」と最新作「R plus 7」はLPで持っていて、PattenはOTOTOYで買ったハイレゾ(24bit/44.1kHzのHQD)で持っているので、PattenのLPとOPNの「Returnal」のLPを買いました。オウテカは比較的安かったのでノリですw ノリでオウテカ買ってる辺りアタマおかしいですが、この日UNITに集まってた人はみんなアタマおかしい人たちなのです。
    ちなみにOTOTOYではOPNとPattenのハイレゾ(24bit/44.1kHz)が購入できます。→新鋭、パテンのアルバム、そして昨年の超話題盤OPN、WARPの音源をハイレゾで!
    180g重量盤のLPと、24bit/44.1kHzのHQDってどっちがいいんだろう。かなり微妙なとこな気がします。
    実はOPNのHQDも買おうかで悩んでるんですが、そしたらOPNはCDとLPとHQDで持つことになるのでいよいよアタマおかしいなとw。
    とりあえず、しばらくはPattenで聴き比べてみます。

    さて、前置きはこの辺にして、そろそろライブレポにいきたいと思います。
    SOLD OUTということもあって、UNITはパンパンの満員電車状態で、割としんどかったですね。
    倒れてしまった人も見かけました。でも満員電車状態であろうとなかろうと、体調崩す人がいてもなんらおかしくないライブであったことはまず初めに言っておきますw。このレポもそれを覚悟の上で読んで下さいw。

    出たなPatten!!
    まず、あんな知的で不思議な電子音楽を鳴らしていたのがスマートな黒人さんであるということに驚きました。

    改めて出回っていた写真とかを確認してみても、作為的な感じが見受けられます。
    狙ってやがったなコノヤローw。
    先日、アカデミー賞作品賞の『それでも夜は明ける』を観ていたので、余計に「凄い時代になったもんだ」と思いました。

    初めはノイズが中心で、つかみ所がなかなか掴めない感じでした。音も写真も、ノイズだらけです。

    しかし、次第にクリアになってきて、ノイズの中からハッとするような音が見えるようになってきました。
    セットは、MacBookとミキサーと、ギターとヴォコーダーでした。
    ギターとヴォコーダーというのは秀逸でしたね。ヴォコーダーの正しい使い方を久しぶりに見れた気がしますwww
    ノイズの中に溶け込みながらも一定の主張を続ける生身の即興が、そのまま彼の音楽的立ち位置を示しているようでした。

    ノってきたパテンは、高速で変化していく映像と音のただ中でアサヒスーパードライをぐびぐびw。

    ただ、よくも悪くも、パテンは無邪気すぎる感じがしました。
    脱構築を試みてはいるけれど、それをものすごく無邪気に、直感的にやろうとしちゃってる。
    だから明確じゃないんです。その明確でない部分が少し退屈だったり、何をしたいのかわからないと戸惑う方もいたんじゃないでしょうか。
    あとでまた書きますが、OPNがその先の新たな地平にいるのだとしたら、Pattenはまだその狭間にいる新世代のアーティストという印象です。

    しかし、そこはやはりWARPの新鋭。アルバム曲のビートの完成度は凄まじく、
    「複雑で知的だけど、不思議とノリやすさもある。」
    そして、「だからこそ知的でもあり、野生的でもある。」といった感じで、
    もう途中からはPattenとのリズム感真剣勝負に巻き込まれてしまいましたw

    最後の方で、意味不明な映像が高速で切り替わっていく中で、ミキサーを高速でいじくって音を変幻自在に変えていく様は、まさに野性的でした。しかし鳴っている音は、めちゃくちゃ知的なのです。
    いまはまだ世代間の狭間にいて、彼なりの新たな地平への模索を続けている段階
    のように思えましたが、まだ新人なのでこれからですね。
    そして、これから先、さらに刺激的で見たこともない世界を魅せてくれるかもしれないと、勝手な期待をさせるに足るパフォーマンスであったことは間違いありません。


    いよいよ、OPN先輩の登場です!!
    Pattenがど真ん中にいて、その映像はあくまで音に従属するものであったのに対して、
    OPN先輩ははじっこによけていて、映像を音と同列の地位に置いていました。
    これも両者の印象的な違いです。

    CGシュルレアリスムと、OPN先輩のシュールな音楽が、同一線上に同等の強度で並置されていました。

    CGシュルレアリスムとミニマリズム。
    このいくつかの不思議なオブジェが配置されたなかで、真ん中のオブジェだけがミニマルに揺れながら、崩壊と再生を繰り返していました。はい。意味がわかりませんw。

    ちなみにこれらの映像は、2011年にNY近代美術館でのマルチメディアパフォーマンスでもコラボした、彫刻家でヴィジュアル・アーティストのネイト・ボイスによるものであると思われます。ただ、全てではないかもしれません。
    この日、ステージの左端の方にいて映像を操作してたと思われる人物の情報がないので、確かなことは言えませんが。

    この最初に発表されたほうの「Still Life (Excerpt)」のMVはネイト・ボイスによるものです。
    このMVに出てくるような映像がかなり使われていたと記憶しています
    CGによる、内臓のような固形物と、機械のような人工物のモンタージュオブジェ。
    めまぐるしく回転を続ける謎のロゴ。そしてミニマリズム。
    有機物と無機物の、あるいは現実の、バーチャル上での非物質としての再構築。
    そして崩壊。

    ←→
    もはや意味不明。理解不能。複雑怪奇。
    ネコに小判。ブタに真珠。
    おれの耳にOPN(爆)。

    ← →
              ↓  ↑
    (ループしてた映像はこれで全部ではないですが...。)
    なにかをつかみかけたところで、更なる追い打ちをかけてくるOPN先輩w。


    と思ったら、花瓶に一輪挿しが、最新の電動アームみたいなやつに乗ってぐーるぐる!w

    もちろん映像だけではなく音も、とても先鋭的で、知的で、あるいはどこか懐古的で、まんべんなく刺激的でした。
    代官山UNITのJBL製スピーカーの音響はやはり素晴らしく、モニター的で超明瞭かつ定位バッチリの音の粒と、横方向に音が広がっていく広い音場がより一層OPNの音世界を正確に体験させてくれました。
    解像度がとにかく尋常ではなく、OPNが聴覚に直接作用するように作り込んで配置した音が、そのまま響いていました。
    一番下は心臓から下の身体が直接震え、一番上は耳に刺さって脳に響くところまで。
    音によっては、鼓膜には振動を一切感じず、耳の周りの輪郭に振動の余波を感じたり、髪の毛だけが共振する場面なんかもありました。
    こんなに聴覚が悦んで酩酊したのは、爆音大友克洋2013のときにリマスター版『AKIRA』で芸能山城組の音楽を爆音×サラウンドで聴いたとき以来でした。
    まさに視聴覚性知的興奮大爆発でしたw
    意味わかんないですね。だって意味わかんなかったんだもん(笑)。
    でも、長い間ずっと渇望してきたものを、確かに体感させてくれたと感じました。

    彼が試みているのはおそらく、脱構築と、脱ロジック。
    それは一聴(一見)すると、複雑怪奇で意味不明です。
    音楽という枠にすら留まらない、あらゆるところからかき集めた様々な影響を、すべて同列に扱い、混ぜこぜにして、脈絡もなく並列に並べ替えてしまったかのような。
    でも実は、めちゃくちゃ緻密で超知的なのです。
    ジョン・ケージやスティーブ・ライヒ、ブライアン・イーノやエイフェックス・ツインを経たうえで、
    音楽的な脱構築を、限りなく構築的にやってのけてくれたのだと感じました。


    それはものすごく現代的で、ニュートラルで、ふわふわしてて、ともすれば無責任ですらあったと言えます。
    だけど、同時代に生き、同じくニュートラルで無責任な我々を納得させるには、十分すぎるほどの強度と説得力がありました。


    それは、
    いままでに聴いたことがあるようで、聴いたことがない音楽として、
    いままでに見たことがあるようで、全く初めて目にする映像として、
    自分の脳ミソに直接届けられました。

    そしてそれは、確かな感動と幸福でした。

    ライブというよりも、紛れもない芸術を体感させてもらいました。

    OPN先輩はPattenと比較しても、そのビジュアルアートと鳴っている音が、意味不明でありながらも圧倒的に明確で、
    紛れもない確信犯であるということが伝わってきます。
    なので、彼自身の言葉に頼った方が理解しやすいと思います。
    ということで、2つのインタビューへのリンクを貼らせてもらいます。
    [INTERVIEW] Oneohtrix Point Never part1
    このインタビューでは彼の出自や、影響を受けた意外なものについての言及がなされていますが、かなり納得できます。
    重要な部分を少し紹介すると、
    「僕はアメリカ人の子どもみたいに育ったけど、家庭環境はロシア人の移民が両親という家庭だった。だから常に変な感じがした。家では僕はアメリカ人すぎたし、学校では反対にロシア人すぎた。自分がどこにも属さないように感じられた。」
    「全てのものをアラカルトで色々試してはみたけれど、本気で特定のタイプのグループにはまったりはしなかった。僕の人生そのものが、どこにも属さずに歩んできたものだったからだと思う。」
    これは、彼のアイデンティティーの希薄さ何者でもないニュートラルな感覚を、これ以上ない説得力で表しています。
    あと、このインタビューでおもしろいのはダニエル・ロパティン少年がニンテンドーの弾幕系シューティングゲームにはまっていて、『怒首領蜂』(どどんぱち)というゲームの映像や音からサイケな感覚や影響を受けていたという話。
    ゲームの映像も載せてくれてるんですが、これをダニエル・ロパティン少年がやっていたと思うと、爆笑と納得なのですw。あと「日本のジャズ・フュージョンの話をしよう。僕はT-SQUAREが大好きだ。」これも爆笑w 
    そして、「とても一般的なジャズ・フュージョンだよ。エレベーター・ミュージックみたいな(笑)」と説明しています。これが、とてもストンと腑に落ちるのです。
    part2では、彼が影響を受けたキューブリックの映画や、Georges Perecという人の文学についての話などが出てきます。
    伝統的表現方法に対する純粋な尊敬と、新たな表現に対する挑戦の姿勢と、そしてあらゆる影響を並列に扱うニュートラルな本質が読み取れます。
    そして、「「音楽の部分部分を、部分的に空いた環境と捉える」という概念が集まってこのアルバムという結果になったのだと思う。」と語っています。

    もうひとつのインタビューはWIREDが行ったものです。→イーノの正統的後継者? 2013年ベストの呼び声も高いアンビエント/エレクトロの異才”OPN”との対話
    このインタビューでは、OPN先輩がブライアン・イーノ大先生のエッセイから受けた影響などが語られています。
    あぁ、まただw。おれたちはブライアン・イーノ大先生の、あらゆるジャンルや時代をも網羅するその思想や影響から逃れることができないw
    また、『攻殻機動隊』の川井憲次氏や、『AKIRA』の芸能山城組からも影響を受けていると語っていますが、なるほど納得の音の質感と配置の作り込みです。それにしても日本大好きだなw!
    そして、無責任なほどに、本当にあらゆるものから影響を受けてそれを自分の中でまとめあげていますね。
    それが深いか浅いかも、自分の解釈が元ネタにとって正しいかどうかすらも、あまり関係ないんです。
    これは現代人としてものすごく共感できます。特に日本人の若者はかなり共感できるのではないかと思います。

    「ものごとの間にある違いを恐れるなということだね。違いこそが新しいものを生む」
    「イーノが過去のシリアスな音楽家たちの考えを踏まえながら語ったのは、音楽を、ほかの形式のアートや学問と同じようなものとして再発明できないか、ということだったんだと思うな。」「ぼくにとって音楽は、まだその幼年期にあるようなものに思えてならない。」
    「音楽は彫刻や文学といったものにより近づいていく」
    「超垂直的で濃度の高いものはつくりたくない」
    「水平でクリアな空間に、不思議なオブジェが互いに干渉しながらたゆたっているような感じ」


    ほらね、OPNの魅せる芸術は、全くこの通りなんですよ。
    完全に確信犯というわけです。

    電気が発明された以降の新しい音楽の歴史はまだまだ浅いし、これからなんだということをOPN先輩は教えてくれたのです。
    そして、構築的な脱構築という方法で、音楽を純粋な芸術として、ようやくシュルレアリスムの域にまで押し上げてくれたのです。
    そこでは、音楽と他ジャンルの芸術との境界もなく、CGシュルレアリスムと並置もすれば、美術館で彫刻家兼ビジュアルアーティストとコラボしたパフォーマンスだってするんです。

    そしてこれは、新世代である、"広義でのインターネット世代"の創作において、世界同時多発的にアンダーグラウンドで起こりつつある巨大な流れの一部であると言えるのではないでしょうか。
    ”広義でのインターネット世代”といったのは、インターネットはもちろん、それを通すことで全容がつかめないほどに膨大な蓄積と溢れ返る選択肢を得ているということと、現実の世界としても繋がりと同一化が進み、歴史的なアイデンティティーも芸術的なアイデンティティーも希薄になり、なにもかもがニュートラルになって、ふわふわ感がハンパないw、いまの世代という意味です。

    新たな"シーニアス"の世代はすぐそこまできています。
    Pattenもまた、その過度期にいる"シーニアス"の一人であることは間違いないのですから。
    (「シーニアス」とはイーノの造語です。またイーノかw。詳しくはこちらの記事の中で書いているので参照してみて下さい。→「モネ 風景をみる眼」を視た。

    そしてこの思想と閃きは、次にこのブログに書く予定の、ある無名な新世代の画家についての記事に対する布石であり、
    あるいは、もっと先の、5年後や10年後、新世代の創作が跋扈する世界に対する布石にすらもなりうるかもしれません。
    なぜなら、これはすでに有名で高尚なお固い批評家には理解しがたい、ふわふわ感のある無責任な若者世代によるものだからですw。(とはいえ、ちょっとここで書きすぎたかなw 次の記事でこれ以上さらに何かを書けるのか心配になってきたw)
    ←→      ↑ ↓
    ←→
    アンコールでは、OPN先輩は、さらっとアンビエントやドローンにも接近してみせてくれました。
    かと思えばいきなりノイズや無機的な音で裏切られる瞬間もあったり...。
    映像もこれまでとは一変し、主題であったかに思われたバイオも機械も姿を消し、石とガラスと煙をコラージュしたような映像になりました。
    軽快に。軽卒なほどに。ふわふわと...。

    あのとき、あの場にいた人は、この全く新しい芸術体験をリアルタイムで体感してしまったという事実を、
    多少戸惑いながらも、確実に、誇っていいのではないかと思います。



    以上、Oneohtrix Point Never とPattenの初来日のライブレポでした。
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    テーマ : ライヴレポ・感想    ジャンル : 音楽

    Category: 音楽 > LIVEレポ   Tags: LIVEレポ  写真  

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    新藤洋子Presents「破壊」@大宮ヒソミネ

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    3/16に、大宮のヒソミネというライブスペースで開催された「破壊」というライブイベントに行ってきました。
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    Anoiceの3rdアルバム「The Black Rain」のアートワークも手がけた、イラストレーターの新藤洋子さんの企画で、
    出演バンドはなんと、Ferri、sawako、Anoice、伊藤篤宏、という超豪華&超貴重な最高のメンツです。
    特に、海外での活動が多いAnoiceのライブを、フルメンバーで見れるなんて滅多にないことなのです。

    しかも新藤洋子さんの個展も同時開催されていました。
    まずは、その個展の様子からレポしていきます。
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    こんな感じで新藤さんの作品が展示されていたのですが……
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    大きなガラス面や、
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    バーの棚、
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    DSC_1589DSC_1590_1
    そして壁や床に至るまで、
    ヒソミネという空間の全てが新藤さんの色に塗り替えられていました。

    展示と、作品と、空間との境界がなく、
    そして客との境界すらもありませんでした。

    写真撮影は自由とのことでしたが、いったいどこをどう切り取ったらいいのかと、困ってしまいました。
    この空間を丸ごと捉えられる立体写真みたいなものがあればいいのになって感じながら、一心不乱にシャッッターを切ってシャッシーンを撮りまくりました。
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    以前は飛び出す絵本などを制作されていたそうですが、自分の感性が子供と合わないということに気付き、その道を改めたそうです。
    だから彼女の作品には(額に入っているものでも)すごく立体感があって、
    壁や床にたくさん散りばめられた蛾たちは、まるで絵本から飛び出してきたように見えました。
    ただし、その飛び出す絵本は一般的な子供向けのものではなく、とてもダークで耽美的な美しさを纏った、新藤洋子というアーティストの絵本なのです。
    それが、すごく自然なことに思えて、見ているこちらまで嬉しくなりました。
    DSC_1620
    ライブ会場の中までこんな感じでした。
    ヒソミネはライブハウスという感じでは全然なくて、会場もすごくこじんまりとしていて、キャパはおそらく数十人程度です。
    そもそもなんで大宮(というか宮原)なんだろうってのもあって、気になったので少し調べてみました。
    オープンしたのは昨年の5月で、まだ1年も経っていない新しいライブハウスなんですね。
    Ferriさんも在籍しているkilk recordsというレーベルが運営しているライブハウスで、いままでのライブハウスの常識を覆すような、全く新しいタイプのライブハウスのようです。
    「ライブハウス=黒くて煙たい」という暗いイメージを避け、ジャズバーを改装して小さいライブハウスに仕立て、全面を白色に塗った明るい印象の会場で、キャパは70~80人規模、ライブ中は2台のプロジェクターによって映像が投影されるという、斬新かつオシャレで良質な空間になっています。
    kilk社長さんへのインタビュー記事を見つけたので詳しくはコチラを読んでみて下さい→kilk recordsの奮闘から見る、音楽レーベルの未来

    これは、素晴らしい試みだと思います。
    日本の音楽界も、一部ではこうやってオルタナティブに様々な活動を展開して、良質な音楽を世に送り出してくれるレーベルや場が増えてきていて、すごくいい傾向にあると思います。
    ただ、そのどれもまだまだアンダーグラウンドで、しかも音楽市場規模が世界2位の日本よりも、海外での評価の方が高かったりするのが少し残念なところではありますが...。

    ちなみに大宮には初めて行きましたが、more recordsがあったりヒソミネがあったりと、なんだかすごくいい場所のように思えました。
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    駅前も結構栄えていて、巨大かつ意味不明な人形のオブジェを冠したパチンコ屋や、顔だけまんま過ぎておそろしい、植え込みのトーマスや、いまにも飛び立ちそうなロケットなんかもありましたw。
    西口にある「quatre cafe」というカフェが、おしゃれで落ちついた雰囲気ですごくいい感じでした。

    さて、ではここからようやくライブレポですw。

    1組目はFerriさん。
    Ferriさんは出産を経て2年半ぶりのライブらしく、超貴重でした。
    サポートメンバーを迎えてのバンド編成で、メインボーカルがFerriさん、コーラスがKotturのChiyoさん、ピアノとパーカッションがそれぞれAureoleのsaikoさんとkaoriさん、そしてギターがcellzcellarさん。
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    衰えることのないFerriさんのボーカル力と、重なって混ざって色彩を変えていくコーラスが涙ものの美しさでした。
    グロッケン、ウィンドチャイム、サスペンシンバル、フィンガーシンバルなどのパーカッションは特に秀逸でした。
    自分は高校時代に吹奏楽部でパーカッションをやっていたので、すごく懐かしくて、心地良くて、いいものを見せてもらいました。
    バックで鳴ってた音響ギターも、壁と地面を溶かすような奥行きと深みを作っていてすごかったです。
    体が空間に溶け出してしまうような、音と一緒に宙に浮いているような、あの感覚が。

    そして万全な状態ではなかったと本人が言っていたFerriさんのボーカルは、
    2年半ぶりということも、万全ではないということも、どちらも信じられないほどに素晴らしかったです。
    美しい響きの中にも一本の芯がしっかり通っていて、
    バンドによって押し広げられた音の中にあってなお、真っすぐに届いてきました。

    ピンと空気が張りつめたような緊張感があって、でもそれが歌や演奏や音楽に昇華されていたように感じました。
    ものすごく美しい音世界を構築していて、何度も目を閉じて聴き入ってしまいました。
    美しく、静かな、「破壊」でした。

    2組目はなんとあのAnoiceです!
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    なんとあのAnoiceのあの木戸さんの真横に陣取ることができました!!
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    エフェクター踏めちゃうくらい近かったですw。興奮して踏んでしまうとこだったw
    それにしても、セッティングからしてもう美しいですw
    この中央上部の、赤くてFilmsのジャケットのようなエフェクターは、他のメンバーが自作してくれたものだそうです。
    さすがのDIY精神w でも冗談抜きで、バンドなどの音楽活動においてDIY精神というのはものすごく重要なのです。
    AnoiceのメンバーはRiccoレーベルという素敵レーベルを運営していて、木戸さんはそこの社長さん代表尻拭い役でもあります。
    世界的なムーブメントとして盛り上がりまくっているポストクラシカルも、日本ではまだまだほんの一部のリスナーにしか届いておらず、そもそもそういう音楽をやっているアーティスト自体少ないのですが、Anoiceはその先駆者的存在なのです。
    特にギターのTakahiro Kidoさん、ピアノのYuki Murataさんはソロとしても世界的に活躍しているすごいアーティストなのです。
    そしてRiccoレーベルは、RiLFやMokyowやFilmsなどの良質なポストクラシカルを世に送り出してくれている素晴らしいレーベルなのです。まぁ分母が極端に少ないので、アーティストの使い回しは激しいですがw
    自分はRiccoレーベルのサンプラーCDが意味をなさないほどに、彼らの周辺から出てくる音楽を聴きまくっていますw

    そんなAnoiceのフルメンバーのライブが見れるということが、どれほどすごいことか!!
    それをわかっていただきたいw!! 
    しかもこの狭い空間に、数十人で独占状態!!もう、もったいないくらいなんですよ!!

    そんな興奮状態のなか、初めてライブで、しかも間近で見る木戸さんのプレイに注目していましたが、
    曲が始まるとすぐに、ゆきさんの演奏に目と耳が奪われてしまいました。
    奪われたどころの騒ぎじゃありませんよ。ありゃ強盗です。目と耳を強盗されました。
    それキーボードですよね?って疑いたくなるほど、ピアノでした。
    ピアノはダイナミクスの幅がとても広い楽器として知られていますが、キーボードは電気信号なので、ピアノのように繊細なプレイをしたり、ダイナミクスの幅を持たせることは難しいのです。
    それなのにゆきさんの演奏は、クラシックの一流のピアニストがグランドピアノを弾いているかのように、ppppからffffやsfzまでを表現してしまっていました。かなり衝撃でした。口開きっぱになりましたw。
    キーボ—ドで、あの繊細さと力強さとのダイナミクスの幅と、音色の多彩さかつ美しさは、もう意味がわからない(笑)。
    全身が連動して動いていて、そして指先に全神経が集中していて、音のアタックから、音の長さ、そして余韻とその切れ目にいたるまで、音の全てをコントロールしているかのような、鬼気迫る演奏でした。
    鍵盤の先に、ハンマーとピアノ線が見えてくるような、そんな演奏でした。
    もう、キーボードの概念を「破壊」してました。
    ぜひ、ゆきさんのグランドピアノでのソロライブが見てみたいです。

    ギターとピアノの他には、ドラムとベースとバイオリンという編成です。あ、あと表には出ませんが、エレクトロニクスを同期させるマニピュレーターの方もいるようです。
    ベースはエレキベースとアップライトベースを使い分けていました。ピッツィカートで弾く時の打撃音がたまに聴こえてしまっていたのはやや気になりましたが、距離が近いせいもあったかと思います。ギターのチューニングの生音だって聴こえてましたしね笑。
    ドラムはブラシやマレットも使っていて、彼の演奏もダイナミクスの幅が大きいクラシカルな演奏でした。
    ふと響きの余韻が耳に届く、ハイハットの使い方が絶妙でした。
    バイオリンは言うまでもなく、Anoiceにとってなくてはならない存在で、美しさと高貴さをバンドにもたらしています。
    ピアノとバイオリンが交差しながら奏でられる旋律は、どこか物悲しくて、3rdアルバムのアートワークや展示されていた新藤さんの作品のような、モノトーンの美しい情景を想起させます。

    木戸さんのギタープレイは、エフェクターを使って音響を作り出したり、アルペジオで小さく旋律を弾くような控えなものでありながら、バンド全体の音のことを知り尽くしているように見える確信犯的な演奏でした。
    左右のスピーカーからは、AnoiceをAnoiceたらしめているエレクトロニクスが流され、曲に深みと知的興奮とをもたらしていました。それを聴いて気がついたんですが、大宮ヒソミネはハコの大きさに対して音がすごくいいです。
    小さいハコだからこそ、下品な低音をブイブイ言わせるような音響ではなく、とてもモニター的で解像度が高く、左右の定位がばっちり決まっている音響でした。細かい音の粒の輪郭や位置までが明確に見えて、すごく良かったです。
    さすが、レーベルやアーティスト達が運営しているライブハウスです。

    3rdアルバム「The Black Rain」の曲を中心に、静かに、淡々と、そのダークな世界観で会場を満たしていき、
    そしてラストはもちろん「Finale」でした。
    「怒り、憎しみ、悲しむべき全ての感情の消化に捧げる。」という帯付きで売られていた「The Black Rain」という恐ろしいタイトルのアルバムの中でも、一際異彩を放っているのがこの「Finale」で、アルバムの曲リストの中でもこの曲だけ赤い字でクレジットされています。
    モノトーンだった彼らの世界のなかで唯一、赤い色彩も持った曲なのです。

    Anoiceではいままで使われていなかったプロジェクターも、この曲のときだけ、このPVの映像(特に戦闘機や戦艦)を映し出していました。
    ※最初はPVの映像を貼っていたのですが、なんとこのときのライブ動画がRiccoレーベルさんからアップされたので、貼りかえさせて頂きました。こっちのほうがライブの空気感も含めて、Anoiceというバンドと「Finale」という曲の凄まじさが、きっと伝わると思います。ちなみに、記録用の映像とのことで、ギターの木戸さんとバイオリンの藤原さんと、マニピュレーター(PCなどでスピーカーに音を流して演奏と同期させる人)の方はほぼ移っていません。でも、ぜひゆきさんの手や指先や全身の動きに注目して見てみて下さい。すんごいからw。


    そしてサビの部分では、ドラムとベースは強烈な4分アクセントのビートをたたき出し、おとなしかったギターは歪んだ轟音ノイズをかき鳴らし、ピアノはミニマルな旋律を指の筋が見えるほどに力強く叩き、その中心でバイオリンはまるで叫びのように弦をおもいっきり震わせます。
    それが2回、しかも2回目はさらにエスカレートして、会場全体をビリビリと震わせてくるのです。
    この音を聴きながら、「あぁそうか。音って、楽器って、バンドって、音楽って、、、
    ものすごくシンプルなことなんだな。」って思いました。

    「人間にとって、音楽ってもっとずっとシンプルで、もっともっと直接響くものだったんだな。」と。
    でもそのシンプルで当たり前のようにも思えるものを、最高の形で音に具現化しているバンドを見たのは、生まれて初めての経験でした。
    どこまでも幸福な音でした。どこまでも幸福な時間でした。

    顔の筋肉が弛緩して、自然に笑みがこぼれ、ものすごく気持ち悪い顔になっちゃうくらいw、幸せでした。
    身震いするような寒気を感じていたのですが、今までに感じたことのある寒気とは全く異なる寒気で、終わったあともしばらく立ち尽くしたまま、腕をさすり続けていました。
    あまりのすごさに感受性が「破壊」されました。

    終わったあとに、木戸さんともゆきさんとも話せたことが、感激でした。
    その鬼気迫る演奏や世界的な評価などからは、とても想像できないくらい、すごく緩くて、穏やかで、ますます好きになってしまいました。
    今年出るっぽいお二人のソロ作が待ち遠しいです。
    あと次は、RilFやMokyowのライブも見てみたいです。
    2ndアルバムが尋常じゃない完成度だったFilmsは、4月にモスクワでついに初ライブ(Anoiceも出演)だそうですが、日本ではライブをやる予定はないと、ゆきさんがおっしゃってました。寂しい。
    しかし、いまロシア行って大丈夫なのかw 
    気をつけて行って、ロシアの人の度肝を抜いてきて欲しいとおもいます。
    プーチンに聴かせてやりたいですねw

    3組目はsawakoさん
    sawakoさんはフィールドレコーディングで集めた音素材を加工・ミックスして、オーガニックなエレクトロニカの音響作品を作り出しているアーティストですが、今回はモロにノイズが全面に押し出されていて、少し驚きました。
    これは新藤さんのリクエストで、企画名「破壊」にちなんでの、ノイズバージョンだったそうです。
    その音楽は、まさに「破壊」のサウンドトラック。
    フィールドレコーディングで集められた質感と立体感のあるおもしろい音達が、
    轟音のノイズに飲み込まれたり、ノイズの水面から顔を出したり、またノイズの海の中に潜ったりを繰り返していました。
    すっごいノイズのただ中にいるのに、しばらくするとなぜかだんだん心地よくなってきて、下を向いて目をつぶり、
    立ったまま少し寝てしまいましたw。
    あの轟音のノイズの中心で、こっくりこっくりしていたと思うと、我ながら意味がわかりませんw。
    自らの人体のコントロールすら「破壊」されていたのかもしれませんね。


    そしてラストは伊藤篤宏さんです!!
    DSC_1681_1
    蛍光灯を改造して自作したという、とてつもなく凶悪な楽器OPTRONを巧みに操る、
    光と影の支配者、伊藤オプトロン篤宏です!!www

    DSC_1670_1_01
    自分は伊藤さんを見るのは3回目になります。でも実はソロで見るのは初めてです。
    伊藤さんは誰かとコラボしてることが多いと思うので、これまた貴重なライブですね。
    DSC_1791_1 DSC_1793_1
    こうやって蛍光灯を点灯させたり消したりさせながら、その電気信号をノイズとして音に変換して演奏しているのです。
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    足元にはエフェクターがたくさんあり、音を変化させたりしていました。
    DSC_1691_1_01
    また、このテルミンのような機械に蛍光灯のヘッド(?)を近づけたり遠ざけたりすることで音を歪ませ、変化させていました。
    ところで、伊藤さんは写真撮るのが難しいです。彼自身が発光体なので、露出とシャッタースピードの関係が難しくて、明る過ぎたり暗過ぎたりします。カメラマン泣かせのアーティストですね。でも同時にカメラマンが一番喜ぶタイプのアーティストでもあります。なぜなら、うまくいったときはめちゃくちゃおもしろい写真が撮れちゃうからw
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    ソロの演奏を見て改めて思ったのですが、このOPTRONは紛れも無く"楽器"であり、
    伊藤さんのパフォーマンスはまさに"演奏"なのです。
    視覚と聴覚をパンクさせるような、その圧倒的なビジュアルと音のパフォーマンスは、一見すると無秩序のようにも思えますが、実はかなり正確に制御されたものなのです。リズムに乗ることだってできるほどに。
    DSC_1887DSC_1867_1
    ソロの演奏を間近で見て再認識したのは、このOPTRONという楽器の凄まじさです。
    その圧倒的な存在感、ひくほど図太く荒々しいノイズ、暗闇の中に走る一本の閃光。
    エフェクターによる、次元を歪めるようなノイズのうねり。


    自分の視覚と聴覚、おまけに触覚までもが、目の前で起きていることを必死で理解しようとフル稼働していました。
    まばゆい閃光と、心臓に響くノイズ。次の瞬間には、完全なる暗闇と無音。
    まさに「破壊」という言葉にピッタリの、この企画のトリを飾るに相応しいパフォーマンスでした。
    DSC_1879_1
    新藤さんの「破壊」のコンセプトに基づいて。たくさん散りばめられていた蛾は、伊藤さんのオプトロンの光に群がるのをイメージしてるらしいのです。
    そして伊藤さんのパフォーマンスはそれ自体がまさに「破壊」そのものでした。
    DSC_1883

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    DSC_1829_1
    終演後は伊藤さんのもとに人が集まり、オプトロンについて質問する場面も。このテルミンみたいなやつは、加速度センサーや距離センサーを利用したエフェクターとのこと。
    「あ、じゃあ蛍光灯の光に反応してるというわけじゃなくて、蛍光灯そのものに反応してるんですね。」と聞いたら、「でも明るい照明が当たってる中でギターのヘッドを近づけるのと、暗闇のなかで発光してる蛍光灯を近づけるのとじゃおそらく違うんだよね。」「だからこれはオプトロンにはうってつけなの。」ということをおっしゃっていました。
    なるほど。単純そうに見えて、ものすごく複雑ですね。電気やセンサーが絡むものの複雑さは割と理解しているほうだと思うので、この話は直感的にすごく納得しました。
    DSC_1882_1
    そして、このイベントを企画した新藤さんが、オプトロンを触らせてもらって、伊藤さんに教えてもらっていました。
    新藤オプトロン洋子です!!(by Anoice 木戸さん命名)
    DSC_1825_1_01
    そして最後に、この楽器と伊藤さんのパフォーマンスの凄さと、企画してくださった新藤さんと、このイベント全体に対しての、暖かい拍手をみんなで送りました。 完全にまぐれで撮れたけど、これはすごくいい写真。
    こういう、少人数だからこそのアットホームな雰囲気もヒソミネのいいところだと思います。

    伊藤さんが帰るときに外で少し話せたのも、すごく嬉しかったです。
    自分が見にいっていたFREEDOMMUNEのときとE-MAFのときの、貴重な裏話を聞くことができました!
    まぁ半分は愚痴でしたけどねwww!!

    もう、展示もライブも、そのすべてが自分にとってはドンピシャで、企画をしてくださった新藤さんには、
    感謝感激雨アラレちゃんなのです!! んちゃ!!

    あまりの喜びのあまり、我を忘れてはしゃぎすぎてしまっていたことは、後で冷静になってみたら恥ずかしかったので少し反省ですw。まぁこのブログを読み返してみたところ、まだまだ反省が足りていないのは明らかですがw
    でも、本当に幸福な夢のような時間でした。
    新藤さん、Ferriさん、sawakoさん、Anoiceのみなさん、伊藤篤宏さん、ありがとうございました。
    ヒソミネの方や、関係者のみなさん、一緒にライブを見てくれて、幸福な時間を共有し増幅してくれたみなさん、ありがとうございました。

    フォトセットはこちらです→http://www.flickr.com/photos/83797896@N02/sets/72157642599652864/

    テーマ : ライヴレポ・感想    ジャンル : 音楽

    Category: 美術館/絵画/芸術   Tags: ---

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    「モネ 風景をみる眼」を視た。


    上野の国立西洋美術館で開催中の「モネ 風景をみる眼 -19世紀フランス風景画の革新-」に行ってきました。
    特設HP→http://www.tbs.co.jp/monet-ten/

    もーね!モネ大好きだから大コーフンでした!
    なにあれ!なにあの色彩!なにあの光!なにあの水面!やっぱモネやばすぎるぜー!
    16時過ぎには入ってたはずなのに何度も順路逆走したりしてじっくり見まくってたせいで、20時の閉館時間を過ぎてから最終組と一緒に出てきました(笑)
    4時間近くいたことになりますねw 我ながらアホやw
    どうりで足が「テーマパーク足」になるわけだwww

     
    これは入る前に撮った写真です。国立西洋美術館の外には、ロダンの有名な彫刻の鋳造品が置いてあるのです。
    これは「地獄の門」と「弓を引くヘラクレス」です。
    出てきた後に撮った写真を最後に貼るので時間の経過を見てみて下さいw
    ちなみに国立西洋美術館というのは、この鋳造品も含めて、松方幸二郎という造船所の社長さんが集めていたコレクション(松方コレクション)を基に構成されているそうです。
    個人が買い集めて保管してたコレクションが100年後に国立美術館になってるってすごいことですねw
    中には当時まだ評価が定まってなかったものとかもあるわけで、収集家って実は芸術の歴史に対する役割が大きいんじゃないかって気付かされましたね。
    今回の展示はポーラ美術館との合同企画ですが、ポーラ美術館もまた鈴木常司という実業家のコレクションが基になっているんだそうです。

    モネは4年くらい前にボストン美術館展に行ったときに、その色彩と光の表現に度肝を抜かれてから大好きな画家なのです。
    そのときは様々な時代の様々な様式の絵画や芸術作品が展示されていて、
    「写真かよ!」っていうレベルの写実画とか、「もうわかんねーよ!(笑)」っていうレベルの抽象画とかも展示されてました。
    でもその中で自分が一番度肝を抜かれたのはモネの風景画だったのでした。


    今回のこの展示ではモネの初期から後期までの多くの作品とともに、
    写実主義の後の印象派の始まりから、印象派の変遷や進化、そしてさらに次世代のポスト印象派の作品までがほとんど時系列に数多く展示されてます。

    「モネはやばい!」「色彩と光と影と水面がやばい!」という、ほとんど第一印象のみでモネが好きとか言っちゃってた自分にとっては(つまり無知w)、すごく勉強になる展示でした(笑)


    理解を深めるために図録や音声ガイドも買ったんですが、それでも基本的な知識が足りなくてわからないことも多かったです。
    だからウィキペディア先生に印象派について教えてもらいました(笑)
    http://ja.wikipedia.org/wiki/印象派
    http://ja.wikipedia.org/wiki/クロード・モネ
    こんな感じでネット上で簡単に学んだことと、この展覧会を観て感じたことや考えたことなどを自分なりにまとめてみたいと思います。
    また長くなりそうな予感が…笑

    当時(19世紀後半までのフランス)は、絵画というものは写実的であることが当たり前だったそうです。
    写真がそれまでなかった(一般的に普及していなかった)時代だったということも大きく関係しているようです。
    経済的な面を見ても、当時は肖像画の需要が多く、やはり写実的に正確に描くことが求められました。
    それが産業として成り立っていて、遠近法や細部を忠実に描く技術などが発達し、絵の学校なども数多く建てられたそうです。

    1927年に写真が初めて開発されると、絵画よりもはるかに正確で納期の早い写真が肖像写真として使われるようになり、画家達はだんだん職にあぶれていくようになります。
    それに一瞬の映像を記録した写真のかつてない視覚も、当時の画家達に大きなインスピレーションを与えたそうです。

    またちょうど同じころから、画材道具の発達に伴って屋外で絵を描くことが可能になります。
    しかし屋内のように同じ条件下でゆっくり絵を描くことができないため、細部を省略し素早く絵を描く技法が生まれました。そのときに屋外の絵を描いた画家たちのことを1830年派やバルビゾン派と呼ぶそうです。

    モネは1840年生まれで、17歳のころウジューヌ・ブーダンに出会い、屋外で絵を描くことを教わったそうです。
    ブーダンは1824年生まれの画家で、1830年派やバルビゾン派から影響を受け、その後の印象派に多大な影響を与えた世代です。モネら印象派より一世代前の画家なんですね。
    ブーダンは、同世代のボードレールコローから「空の王者」と評された画家です。
    この展示では有名な「トルヴィル=シュル=メールの浜(1867年)」が展示されていて画面の大半を埋め尽くす空の描写と、浜でのパーティーの精緻な描き込みに眼が釘付けになりました。
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    ※画像はWikipediaより。
    コローは屋外の風景を印象的に描いた最初期の画家であり、印象派に多大な影響を与えたとされていました。
    この展示のモネの最初の絵「並木道(サン=シメオン農場への道)(1864年)」はコローからの影響が色濃く感じられる1枚でした。しかしこの時点ですでにモネの光や影に対する興味や、より風景そのものを直感的に捉えたいという姿勢が見て取れます。
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    「並木道(サン=シメオン農場への道)クロード・モネ(1864年作)(国立西洋美術館)」

    この展示では唯一写実主義的な風景画で目立っていたクールベも1819年産まれの一世代前の画家です。
    だからこそのあの絵なのでしょう。ロマン主義的な絵がにわかに盛り上がり始めていた1855年ころに、「自分の眼に移る現実のみを描く」という写実主義的な「レアリスム宣言」をしたことでも知られいるそうです。しかしそれは懐古主義ではなく、あくまでも自らの眼に移った現実を感じたままに描くということであり、それだけでも当時は革新的なことだったそうで、印象派らと交わることは決してなくとも彼らに大きな影響を与えたことは容易に想像できます。
    また世界初の個展を開催した画家でもあったとか。
    特に「世界の紀元」という作品は衝撃と爆笑なのでぜひ検索して見てみて下さい。ここにはあまり大きく貼りたくないです。理由は見てもらえばわかりますw この展示では「波」という作品の荒波の瞬間を写実的に描き切った荘厳さと迫力に度肝を抜かれました。絵の前にしばらく貼り付いてました。
    また、印象派とは直接的には交わらなかったものの、印象派に多大な影響を与え、印象派の起源のような存在でもある1932年産まれの有名な画家マネもクールベと並んでこの展示では外せない画家です。

    モネは1859年から1862年ころに、後の印象派の仲間となる若き日のピサロシスレールノワールらと知り合います。
    特にルノワールとはその後も共に旅行して共に同じ風景の絵を描くほどの仲になったそうで、モネとルノワールの二人の絵画からも、大きな共通点とそれぞれにしか出せない強い個性とが感じられます。

    そして、なんと日本美術からの影響も大きかったようです。
    1867年のパリ万国博覧会では日本の幕府、薩摩藩、佐賀藩が万博に出展し、日本の工芸品の珍奇な表現方法が大いに人気を集めました。その後「ジャポニズム」は一大ムーブメントとなります。
    日本画の自由な平面構成による空間表現や、浮世絵の鮮やかな色使いは当時の画家に強烈なインスピレーションを与え、何よりも「絵画は写実的でなければならない」とする制約から画家たちを開放させる大きな後押しとなったのです。
    モネは浮世絵のコレクターとしても知られており、その絵画には浮世絵からの影響(特に構図)が見て取れるそうです。
    また、日本の衣装を着た妻カミーユをモデルにした『ラ・ジャポネーズ』という作品も描いており、晩年のジヴェルニーの庭の池には日本風の橋が架けられています。松方コレクションとして日本にモネの絵が多くあったことも、モネの日本との繋がりを感じさせます。

    そして、モネは1874年に仲間らと共に、記念すべき「第一回印象派展」を開催します。
    Claude_Monet,_Impression,_soleil_levant,_1872-2
    「印象・日の出(クロード・モネ)(1873年)※Wikipediaより」
    この作品が「印象派」という名前の由来となった有名な絵です。
    この絵を見た当時の評論家が「なるほど!印象的に下手くそだな!」といって「印象主義の展覧会」と悪意を込めて評したのが由来だそうですwww

    この当時の絵画もたくさん展示されていてどれも素晴らしかったのですが、その中でもモネの絵は、色彩、奥行き、立体感や瑞々しさがズバ抜けていると感じました。
    筆触分割と呼ばれる印象派を象徴する技法もモネはこのころからズバ抜けていたように見えます。
    筆触分割とは、絵の具は混ぜれば混ぜるほど暗くなってしまうという性質を回避するために、光のプリズムである7色を基本とし、色をできるだけ混ぜずに違う色を繊細なタッチ(筆触)で細かく並置していくことで、離れたところから見たときに多くの色が一緒に眼に飛び込んできて錯覚を起こすことで、色が混じったように見えるという、なんとも恐ろしく難しそうな技法のことです。

    モネの絵はこの筆触分割がハンパないんですw
    近づいて見ると、カオスなほどに細かい色が重ねまくってあって、何を描いてんのかすらわからないほどなのに、
    絵の全体が見渡せるくらい離れて見ると、光の複雑な色彩や反射や投影が、空いた口が塞がらないほどに緻密に再現されてしまっているのです!
    水面の反射なんかもう神がかってます。アタマおかしいw

    そしてその細かく重ねまくった油絵具の膨らみすらも表現の一部なのです。だから油絵は立体感がスゴいんですが、モネの絵の立体感ときたらそりゃあもうw
    モネに限らず優れた画家の油絵はもはや立体作品と呼べるほどなので、生で見ないとそのスゴさを真に感じることはできないのです。おみやげのポストカードなどにプリントされた絵の「これじゃない感」は尋常じゃないですw

    そんなことを感じながら見ていたら、突如ゴッホ(1853-1890)の
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    「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋(1888年)(ポーラ美術館)」に度肝を抜かれました。
    目ん玉飛び出したw 
    近くに展示されてた絵よりも10年後の作品とはいえ、笑いが止まらなくなりましたw
    青、黄色、赤という原色系の色で非常にビビッドに描いてあり、筆触分割も狂気の重ね塗りも「やり過ぎだろ!!笑」ってツッコミたくなるくらいでしたw
    原色系の色をとても鋭く使って、人物の輪郭を赤で浮かび上がらせたりしてるのがわかると思うんですが、実物を見ると腰抜かしますよw 「油絵は油絵具の盛り上がりも表現の一部で、もはや立体作品だ」と書きましたが、
    ゴッホのはもはや彫刻なのですwww
    もう飛び出してるやんw!輪郭ぶぅわってなってる!
    川の波が膨らんでる!!橋が浮き出してる!!

    ってな感じで大興奮でしたw
    印象派からの影響を受け、さらに独自に芸術的な表現や技法を追求していったゴッホセザンヌのような画家達を「ポスト印象派」と呼ぶそうです。

    ただ、初期からの印象派の画家達も、どんどん独自の表現や技法を追求していったので「ポスト印象派」として紹介される画家もいますし、だから「ポスト印象派」ではなくて「後期印象派」という呼ばれ方をしたりもするようです。
    セザンヌだってモネと同世代ですしね。
    セザンヌは初期のころはモネらと共に印象派として活動していましたが、1880年代以降は印象派の仲間のもとを離れ、独自の構築的な描き方を追求していったそうです。

    1880年代に入ると筆触分割をさらに押し進めた技法として、点描画が生まれます。
    点描画では新印象派としてスーラが有名ですが、初期からの印象派のピサロやルノワールも点描画や点描画に近い絵を描いています。
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    「グランカンの干潮(1885年)(ジョルジュ・スーラ)(ポーラ美術館)」

    少し逸れますが、シャヴァンヌの絵画とピカソの絵画も展示されていました。
    Chavannes_Poor_Fisherman.jpg img_023914911.jpeg
    左「貧しき漁夫(1887-1892年頃)(ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ)(国立西洋美術館)」
    右「海辺の母子像(1902年)(パブロ・ピカソ)(ポーラ美術館)」
    シャヴァンヌはクールベやマネと同世代ですが、その画風は写実主義とも印象派とも大きく異なっている特異な画家です。フレスコ画からの影響が大きいとされています。
    白を混ぜた中間色で、背景に人物像が溶け込んだような絵を描いています。
    その絵に表現されているのは、その人物の内面であり精神性です。
    ピカソの初期「青の時代」のこの絵画からはシャヴァンヌからの強い影響が感じられます。

    こうして、絵画は写実主義を脱し、印象派やポスト印象派、精神性や内面の描写、そして抽象絵画やシュルレアリスムへと発展していくのです。
    ここで重要なのは、それら全てが地続きであるということです。

    また、「絵画」からすらも話が逸れていきますが、フランスの作曲家クロード・ドビュッシーの音楽は、印象派の画家達からインスパイアされた「印象主義音楽」と呼ばれています。
    それまでのロマン派音楽に見られるような主観的表現を避け、感情の表現や物語性の描写よりも、気分や雰囲気を表現し喚起することに比重を置いた音楽様式であるとされています。
    もっともドビュッシー自身は「印象主義」と呼ばれることを嫌っていたそうですがw
    作曲技法的にも、印象主義音楽は多くの新しい技法を試み、確立させています。

    ここで名前を挙げたような人物は、誰もが時代に名を刻んだ「天才」と呼ばれるような人たちですが、
    環境音楽(アンビエント)の始祖であり、またU2やCOLDPLAYのプロデューサー業でも知られ、現代の音楽シーンに多大な影響を与え続けている天才、ブライアン・イーノ大先生のおもしろい言葉があるので紹介します。
    それは"シーニアス"という造語です。
    イーノ大先生はある時代のロシア絵画が好きで、その時代の絵画に対する知識もまぁまぁ豊富だったそうで、
    ちょうどその時代のロシア絵画を集めた展覧会が開かれていたので行ってみたそうです。
    そしたら、名前を聞いたこともないような画家の絵がいっぱいあったそうです。
    しかもそれらの絵が、一緒に展示されてる有名画家の絵画と大差ないほど素晴らしかったんだそうです。
    そこでイーノ大先生は考えた。一人の"ジーニアス(天才)"が突然ポッとでてくるんじゃない。ある時代のあるシーンの流れの中でこそ、クリエイティブなものが生まれてくるんだ。そのシーン全体こそがクリエイティブなのだ。
    そこで、そのことを表す造語として“シーニアス”という言葉をつくったそうです。
    これは、モネを目当てにこの展示を見にいったのに、モネ以外のあらゆる画家の絵やその繋がりに衝撃を受けた自分にとっては、ものすごく共感し納得させられる言葉とエピソードでした。
    モネも、ドビュッシーも、ピカソでさえも、一人では時代を変えられなかったし、あの境地には到達できなかったのです。
    そして、19世紀末のフランス絵画の急速な進化と発展を表すのに、これ以上ピッタリな言葉はないのではないでしょうか。
    あの時代の芸術は、最高にシーニアスだったんだと思います。

    では、最後に肝心のモネについて書いていきます。
    ポール・セザンヌはモネに対して、
    「モネは眼にすぎない。しかしなんと素晴らしき眼なのか。」
    というモネにぴったりの賛辞を寄せています。
    これがこの展示の説明文の冒頭にくる言葉で、この展示の全体を象徴する言葉なのです。
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    「ラ・ロシュ=ギュイヨンの道(1880年)(国立西洋美術館)」
    モネは同世代や次世代の画家達が、どんどん新しい表現技法などを模索していっているときも、ただひたすらに印象派の画家として、刻々と変わりゆく光の描写を追い求めていきました。
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    「セーヌ河の日没、冬(1880年)(ポーラ美術館)」
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    「ジヴェルニーの積みわら(1884年)(ポーラ美術館)」
    この3作品はこの展示の第2章「光のマティエール」に展示されていたもので、その色彩と、光の捉え方がハンパないですw。「積みわら」の連作は「睡蓮」と並んで有名ですね。この明るさは反則ですw。
    モネの筆触分割はとんでもないISO感度ですw。
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    「陽を浴びるポプラ並木(1891年)(国立西洋美術館)」
    第3章の「反復と反映」ではモネの自然の切り取り方、構図に対する象徴主義的な試みが見て取れます。
    特にこの絵の構図と奥行き、モネの主観的な自然の捉え方は素晴らしいと感じました。

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    「睡蓮(1907年)(国立西洋美術館)」と「睡蓮(1916年)(ポーラ美術館)」
    そしてモネの集大成である『睡蓮』の連作へと続きます。
    第4章「空間の深みへ」の展示では、「船遊び」と「バラ色のボート」の2つの大作も展示されていました。
    「船遊び」では水面に映るボートと人物の影を水面の揺らめきと共に捉え、「バラ色のボート」では水中の水草を水の動きとともに捉えようとしています。
    この2作には人物が描かれていますが、これは「風景を描くように戸外の人物を描く」ことを試みているそうです。
    人物さえも、風景を構成するひとつの要素として扱ったのです。モネはどこまでいっても風景画家なんだなw

    モネが晩年に作り上げたジヴェルニーの庭は有名ですが、モネはその庭の池の睡蓮を狂ったように描き続けますw
    この画像や絵だと小さく見えますが、どちらの絵もとてつもなくでかい大作です。
    人間より軽くでかいキャンバスの全面を、水面の描写にのみ使うというキチガイ的構図のもとに、
    睡蓮の池の水面の静かな揺らめきや、光の描写、反射、投影、影を描き切っているのです。
    しかも晩年のモネは白内障を煩い、2度も眼の手術をしているそうです。
    それでも生涯描き続けたのです。
    モネは当時の時代を考えると、かなり長生きしたほうだというのも、彼の絵の到達点に大きく関係していると思います。
    というかそもそも、光の複雑さや水面の反射や投影みたいなものを、生涯を懸けて油絵で描き切ろうとしちゃってる時点でアタマおかしいんですよ(笑)
    そして描き切っちゃってるんだからもう人間じゃないですよあいつ(笑)

    ちなみに同じ第4章ではエミール・ガレの美しくて不思議なガラス工芸作品や、
    モネと深い親交があり2人で共同の「モネ−ロダン展」を開いたほどの関係であったオーギュスト・ロダンの彫刻も展示されていました。
    それらの作品もまた、見るものの感性を刺激する素晴らしく芸術的なものでした。
    彼らもまた、あの時代の芸術における“シーニアス”なのでしょう。
    全てが繋がっているということが重要で、だからこそ我々はその歴史を学ぶ意味があるのです。

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    「ルーアン大聖堂(1892年)(ポーラ美術館)」「サルーテ運河(1908年)(ポーラ美術館)」
    第5章では「石と水の幻影」というタイトルで、晩年のモネがロンドンやヴェネツィアなどの都市へ旅行に行った際の風景画の連作の中の一部が展示されていました。
    モネは当時のヨーロッパの都市らしい石造りの対象物を、決まった構図と視点から時間を置いて描き分けることで、
    霧や水蒸気そして光の変化によって見せる様々な表情を、連作として捉えたそうです。

    上部には夕日があたり赤らみ、全体はおぼろげにぼやけ、幻想的な輝きを放つ「ルーアン大聖堂」。
    「サルーテ運河」は、まさに円熟の極みと呼ぶべき筆触分割、明るい色彩、モネの眼というこれ以上ないフィルターを通して描かれた印象的な水面と投影の描写、差し込む光と、それによって豊かに表情を変える石造りの建物。
    もうずっと見てたいwww

    「睡蓮」を見る前にガレの作品を見てた辺りで、閉館15分前のアナウンスが流れたときは耳を疑いましたねw
    「うっそだろおい」「まだ子供が見てるでしょーが!」って思いましたね。
    子供じゃないけど。
    この展示の意図とモネという画家についてしっかり理解したいという想いと、なかなか直で見るチャンスのない絵とそれを見たときの自分の感覚を記憶したいという想いがあったので、たぶん普通の人の倍かそれ以上の時間をかけて回ってしまっていたんだと思います。
    だから、「睡蓮」も含めてそこから先の展示は時間が全然足りませんでした(泣)。
     
    だからほら。外に出たらこの暗さですよw
    タイムマシンにでも乗ってたのかと思いました。
    次に美術館に来る時は、朝イチで来ます。←絶対ムリw


    さて、「モネ 風景をみる眼 -19世紀フランス風景画の革新-」を視たうえでの、全体の感想というか総評ですが、

    モネの風景画は、印象派の枠も、カメラの描写力も、人間の知覚すらも超えている。
    写実ではなくあくまでも印象派的な描き方なのに、その光や水面は恐ろしいほどの実在感に満ち、それでいて人の内面に強く迫るものがあり、それはもはや、「モネの風景画」という風景として、我々の眼前に無限の広がりを魅せてくれる。

    セザンヌの賛辞であり、この展示の冒頭に来る言葉、
    「モネは眼にすぎない。しかしなんと素晴らしき眼なのか。」には、
    完全なるド素人ながらあえて異を唱えたい。あるいはそれだけでは足りないと言いたい。

    モネの風景画は、唯一無二の、まったく新しい、この世界に対する人類の知覚であったのだ。
    写実画だって、写真だって、自分の眼だって、自分の脳ミソだって、あんな捉え方はできない。
    そして、おそらくは、モネの眼と知覚をもってしても、あんな風景を捉えることなどできなかったのではないか。
    しかし、その風景は絵画として我々の眼前に確かに具現化された。
    いや…もしかすると、モネですら、その風景を完全には描き切れていなかったのかもしれない。
    「睡蓮」や「積みわら」などの光の変化を何枚も描いて連作として捉えていたことや、生涯を通して風景画を描き続けたことからも、モネの描きたかった風景は、モネの絵画よりもさらに先にあったのかもしれない。
    モネの生涯を通して描いた絵画作品を時系列に視てきたいま、そう思えてならない。

    「モネの風景画」という風景は、モネの眼とその知覚すらも超えたところで、あるいは彼の並外れた絵画表現すらも超えたところで、ただ風景として存在していたのではないか。

    「モネは眼にすぎない。しかしなんとすばらしき眼なのか。
    そして、その眼でさえも捉えきれないとは、なんと素晴らしき風景なのか。」


    自分はセザンヌの言葉にこう付け加えることで、「モネの風景」を讃えたい。

    テーマ : 絵画    ジャンル : 学問・文化・芸術

    Category: 音楽 > LIVEレポ   Tags: LIVEレポ  

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    indigo jam unit "Milestone" release tour 2014@渋谷クラブクアトロ


    ついにindigo jam unitの「Milestone」リリースツアーに行ってきましたヨ!

    「Milestone」のCDとLPのストイックな作り込みと作り分けに心底感動した先日の記事はこちら
    indigo jam unit / Milestone

    それではサクサクっとライブレポ書いていきますよー。

    会場は「柱が邪魔だっ!」でお馴染みの渋谷クラブクアトロです(笑)!

    あー、みなさんわくわくしてますね!伝わってきますw

    上に貼った記事にもあるように自分はindigo jam unitのライブは新参なので、より一層わくわくでしたw。

    メンバーが出てくると「Milestone」の1曲目「Windscreen Rain」の美しいピアノイントロを樽栄さんが繊細に弾き始めます。そして次に清水さんのドラムの片手16ビートが加わり、さらに笹井さんの絶妙なベースラインが重なります。
    一度ピアノだけになり、次の頭で和佐野さんのラテンパーカッションが加わり4人のアンサンブルとなります。
    (ちなみにメンバーのプロフィールはこちら→http://www.basisrecords.com/indigo/profile.php#sasai
    これだけでもうすごい!4人のアンサンブルが絶妙すぎるのです!
    一発録りの編集無しで作品をリリースし続けているだけあって、音量や音色やグルーヴのバランス感が素晴らしい!
    静かな曲なんですが、4人が独立してそれぞれの色を保ったまま、全く同じブレンドで混ざり合っていて、
    繊細さと緊張感と一体感がすごかったです。そして聴く側には圧倒的な安心感を与えてくれます。

    間髪入れず2曲目は「Zeus」!!
    「Zeus」は清水さんのドラムが大暴れで「Milestone」の中で一番激しい曲!
    メイキングのDVDでもこの曲の一発録りに清水さんが相当苦労されてる様子が収録されていましたねw。
    さっきとは打って変わって、清水さんのフロアタムの6連符で始まり一気にハイテンション!
    会場も大盛り上がりです!!
    やはり特に、ベースをインターバルに挟んだドラムソロ!!
    CDとは比べ物にならないほど暴れまくっていて、CDとは比べ物にならないほどちょーかっこいいです!!野性的!!
    お客さんももう騒ぐ騒ぐw 歓声が自然に引き出されていきますw

    3曲目は「Hunt」(あってる?)
    この曲もドラムの基本ビートがタイトで緊張感のある曲です。
    バスドラとスネアのダブルストロークを絡めた手数の多いビートに、
    さらに和佐野さんがカウベルでダブルを重ねてくるのです。ノリノリになります。

    そして、ここで笹井さんの爆笑MCが入りますw なんだこのゆるさw
    エモいインストバンドのMCはどこもゆるいんですね。ギャップがおもしろいですw
    これからやる4曲の解説をしてくれましたが、テキトーすぎて解説になってないw
    「次にやる「Naja」はですねー。え〜、これはコブラです!(終了)」 会場爆笑(笑)
    「Milestoneは〜えー、Trickは〜まぁトリックみたいな〜、Watercolerは〜あのぉ〜水彩の〜」
    みたいな感じで全然わからんwww 
    あ、あとメンバー紹介もしてくれました。やっぱり清水さんがすごい人気だった。シミーねw


    そして4曲目は「Naja」(あってる?記憶が曖昧なのですw)
    「Naja」はタイトなベースラインがリズムをぐいぐい引っ張る7/8拍子です!!変拍子楽しすぎる!
    ベースすごい!アップライト・ベースと呼ばれるエレキのウッドベースなんですが、アンペグの上にもなにやら色々重ねられて、もう照明に届くんじゃねぇかってくらい高くなったアンプタワーに繋がれたその図太いサウンドが前面に出てバンドを引っ張る様はくそかっこよかったです。
    驚いたのはもうベース以外がちょー自由なところwww 
    笹井さんが支えるボトムの上で、ドラムすらも含めて全員がのびのびと暴れてました!
    これも笹井さんのテンポ感とグルーヴに絶対的な信頼があるからなのでしょう。
    なんでしょうね、なんか力強くグイグイと前進する重厚な貨物列車の上で、激しい乱闘をのびのびと繰り広げているようなw
    もちろん悪役はジョン・トラボルタ的なw そんな光景が見えてくるようです! 意味わかんないですね!すいません!

    「Milestone」は王道スウィングジャズであり、彼ららしいプレイもあって、
    現時点でのindigo jam unitの"マイルストーン"のような曲なのでしょう。
    ...あんまり"マイルストーン"の意味と使い方がわかってませんが(笑) あってる?
    とにかく樽栄さんの軽快なピアノのメロディとスウィングするビートが心地いいんです。
    ピアノ始めたのが20歳からとか信じられん。

    「Trick」は手数が減ったドラムでのスネア16分ずらしのシンコペーションがかなり効いていて、そこに絡むベースのループも前の小説を食っているので常に裏ノリを感じられるホッピングな曲です(笑) 
    basisの解説には「よく見ると不思議なトリックアートのように、一拍目の位置がどちらでもとれるような曲です」とありますが、それは自分にはどうゆうことかわかりませんでした。。。
    一拍目はどう考えても一カ所だと思うんだけどな。。。
    ベースのループの頭のことをいってるのか、それともドラムが最初に裏から入ってるからってことなのか、これはちょっとわかりませんでした。表だと思ってる部分が実は裏のまま進んでますよーってこと?でもベースのループが目印になるしな。この言葉の意味は何度聴いて考えても自分の無知さとリズム感のなさではわからなかったので、わかる方いたら誰か教えて下さい(切実)。

    「Watercolor」はピアノとベースは静かで美しいのに、ドラムは子気味よく軽快でおもしろい曲です。
    この曲では、わっさんこと和佐野さんがドラムでビートを叩いて、シミーこと清水さんはシンバルやタムで装飾的なドラミングを披露してくれます。ツインドラムです。素晴らしいです。見てて楽しいったらありゃしないw
    サウンドも楽曲も幅がめちゃくちゃ広いですね。さすがのキャリアを感じます。

    そしてここで、ゲストのFlexlifeの二人を迎えます。
    青木さんきゃわいい!笑
    大倉さんのアコギは、カッティング(かな?)のキレが鋭くて軽快かつグルーヴィーです!
    新作アルバムの中から、東京にいたときに作曲したという「Wild Cat Blues」と、
    震災のことについて考えながら作ったという「らんなうぇい」の2曲を披露してくれました。
    全部は聴き取れなかったけど「らんなうぇい」の歌詞はすごく気持ちが伝わってきました。
    青木さんの声が特徴的で、歌唱力も素晴らしくて、すごくよかったです。
    バックバンドの演奏はもちろんindigo jam unitで、支える役目に徹しながらも彼らのグルーヴになっていてよかったです。
    あとコラボしたカバーアルバムの「Vintage Black」からも1曲やってくれたような。かっこよかったです。
    ちなみにFlexlifeの新作はマイク2本のみで録音しているんだそうです!!(!?)
    しかも一発録りの編集無し!これはもう狂気の沙汰と言っていいw
    じゃあどうやってレベルを調整するかといったら、マイクとの距離だそうですw きょり!?!?!?www
    ドラムなどのでかい音の楽器は遠目にセッティングして、うまいバランスで収まるように調整してるんだとか。
    もうね、やり過ぎでしょw どんだけオーガニックサウンドなんだwww 無添加・自然農・生産者直送サウンドですね。
    ストイックすぎで、すばらしすぎで、ステキすぎです。


    「Corazon」は陽気でラテンなノリの曲です。和佐野さん大活躍です。
    そしてアルバムでも最後を締める美しいバラード曲「Shiosai」
    ピアノの繊細な...いや"潮騒"な旋律が美しくてドラムのブラシがまた美しい。
    そして和佐野さんのトライアングルに目がいきます。わっさんは高校で吹奏楽をやっていたそうで、自分も高校の頃は吹奏楽部でパーカッションをやっていたのでコンガやボンゴのプレイも含めてわっさんの存在感に目が奪われました。

    そしてカバーアルバム「impressions」から「Silverflame」という曲。
    デンマークの3ピースDizzy Mizz Lizzyというバンドのカバーらしいんですが、
    演奏の技術的な面ではこれが一番の衝撃だったかもしれません。
    美しく優しいピアノのゆったりとした旋律が軸なのに、
    倍のBPMのフィールでドラムが細切れのように断続的に崩したビートで暴れ回るんです!!
    でもピアノはピアノのフィールを決して崩さないんです。決して混ざることがないまま並列して、でも曲の中で確かに共存していて、そのままの状態でテンションだけがどんどん上がっていく!
    なんだこれ!!くっそかっこいいぜ!!

    そしてまたおもしろMCタイム。
    「最後はindigoらしく、ボカンボカンボカンとね!いきますよ!」と笑
    お客さんも大興奮。

    ラストの3曲は宣言通りボカンボカンボカンの怒濤のパフォーマンス。
    超絶技巧の圧巻のソロ回しや掛け合いがあって、最後はツインドラムで、リズミカルで軽快なピアノとタイト過ぎるベースを巻き込んだまま、ドラムも奏者も観客もぶっ壊れるほどの暴れっぷりで、エモさ爆発!!
    そんな曲が3曲連続ですよ!!もーね、興奮しすぎてアタマのネジがすっ飛ぶね!
    噂には聞いてたけどツインドラムの掛け合いやばすぎ!!
    踊る踊る。騒ぐ騒ぐ。ちょーエモい。
    その中でも一番ヤバかったのは、わっさんのドラムと笹井さんのベースで作るパートと、清水さんのドラムと樽栄さんのピアノで作るパート(組み合わせ逆かも)が、交互に1小節ごとに引き渡していって、それが2拍ずつになって、それが1拍ずつになって、半拍ずつになって、それがもう混ざり合って、なにがなんだかわかんなくなって、なんだこれめっちゃ楽しい!!
    もうすごすぎて爆笑w 笑いがとまらなくなるw

    アンコールでは、Flexlifeが再登場してカバーアルバムから名曲「Love Love Love」!
    そしてラストにもういっちょ、indigoの真骨頂である本能的なツインドラム破壊ジャムセッションを見せつけてくれました!!

    ソロや暴れっぷりで一番ヤバかったのはやはり清水さんです。樽栄さんの超絶即興プレイもすごかったけど、やはりラストのダイナミクスを一番支配していたのはドラムの清水さんだと感じました。
    あのjizueの粉川さんが「直感的なドラムに魅せられて」師事したというほどの清水さんは想像以上のヤバさだった。
    それが和佐野さんとのツインドラムによって増幅されて、ドラム一人では絶対に到達できない地点にまで押し上げられて、
    巨大な音圧の壁になってぶち当たってきて、心臓破裂するかと思った。



    総評:jizueよりも超絶プレイの掛け合いがスゴくて、Nabowaよりもダンサブルで、mouse on the keysよりもハイテンションで、
    そして!toeよりもエモかった!!!!
    いや、マジです。

    まぁtoeはエレクトロ要素あるしポストロックだから毛色が違ったりするんだけど、
    でも終わってみて「toeよりもエモいインストバンドがこの世に存在したんだな」って率直に思いました。

    感動と興奮と未知の体験をありがとうindigo jam unit。


    PAさんも、プロデューサーの立川さんもおつかれさまでした。ありがとうございました。

    以上、indigo jam unit「Milestone」リリースツアー@渋谷クラブクアトロのライブレポでした。

    (iPhoneで写真いじってたら止まんなくなったから遊んでみた。)

    テーマ : ライヴレポ・感想    ジャンル : 音楽

    プロフィール

    Sohei.S

    Author:Sohei.S
    多趣味というか関心のあるものが多いので、政治的なことから趣味のことまで、書きたい事はなんでも書いていこうと思います。
    ちなみに主な趣味は映画、音楽、オーディオです。3つとも割とどっぷりいってると思います。あと最近、写真も趣味に加わりました。
    映画は単館系のドキュメンタリーから、シネコンの娯楽映画や映画音響やIMAXの話まで。
    音楽はジャズ/クラシック〜ポストハードコア/メタルコア〜エレクトロニカ/ポストロック/ポストクラシカルまで、かなり雑食にオールジャンル聴いてます。ドラムとパーカッションやってたので演奏や音楽史にも興味あります。あとミックスやマスタリングなどにも興味があります。
    オーディオはポータブルとホームオーディオ両方です。ケーブルとかポタアン自作したりもしてます。
    拍手、ツイート、コメントなど大歓迎です。
    それではよろしくどうぞ〜m(_ _)m。

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